樹 恒近

気まぐれ更新。池袋生まれの池袋育ち。読書人間かつ文章人間。見た目は健常者の内部障害で障…

樹 恒近

気まぐれ更新。池袋生まれの池袋育ち。読書人間かつ文章人間。見た目は健常者の内部障害で障害者手帳持ち。ウルトラ級の紆余曲折、経験を栄養にして文章書きしてます。物語こそ人生だ。

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  • トーストの表裏

    多くを考えずに、ただ書き連ねただけの駄文の極み。 役に立たないことは保証済み。保証書はついてません。

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    個人的な読後連想の記録

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    脈絡もなく浮かんだ小説の断片を集めました。ここから何かが始まるのか、このままでいるのかわからない、体裁も整えないままのレアな状態。断片だから研がれもせず、丸められもしないままの何かが現れているように思う。

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    80年代の洋楽を中心に、自分を形作ってきた音楽についてのエッセイ

記事一覧

今朝の夢見

こうしないとダメ、こうすべき、これが普通、こんなのを選ぶのは異常……とあれこれ注文を付けてくる女の鼻先に指を突きつけ「貴様の価値観を俺の人生に持ち込むな」と最強…

樹 恒近
7日前
2

プロセスを愉しむ

名のある仏師は一本の木を目の前にして、掘り出すべき仏の姿を目にすることができたと聞く。 見えたなら、あとは余計な部分を削ぎ落としていけば、やがて仏の姿だけが残る…

樹 恒近
2週間前
2

ひどい夢見と、夢の分析

かなり頻繁に夢を見る。 夢の典型のような支離滅裂な夢もあれば、2時間もののドラマのように不出来ながらちゃんと完結しているものまで、見る夢の様相はいろいろだ。 夜…

樹 恒近
2週間前
1

興味があるのは情景だけ

年齢と体調と暑さのトリプルパンチで、日々のエネルギーは毎日夕方には空っぽ同然になる毎日。 それはそれで嫌でも嫌いでもないのだけれど、他に何もできない——日々のプ…

樹 恒近
3週間前
5

なるほど、ブレイキンというのは盛大に筋肉と体幹を使いまくった非言語の口喧嘩みたいなものなのだな。

樹 恒近
1か月前
3

ポメラ、買うか、買わざるか

ここ10日ほど、相も変わらずポメラを買うかどうかの逡巡を繰り返していた。 以前なら迷わず買ってしまったところなのだろうが、ポメラには勢いで買ってしまうのを踏み止ま…

樹 恒近
1か月前
15

ロートレック

仕事を終えて駅まで歩いていく途中、週の終わりの開館時間延長中のそんぽ美術館へ立ち寄ってロートレック展を鑑賞。 ロートレックを画家と一括りにするのは昔からちょっと…

樹 恒近
1か月前
8

誕生日

七夕の今日は誕生日。 まったく自覚も実感もないが、なんと還暦なのである。 ミック・ジャガーが80歳超えてるのが信じられないのと似たり寄ったりの信じられなさだ。 子供…

樹 恒近
2か月前
2

珈琲とコーヒー飲料

ようやく創作期は終わったようで、このところは読書期に移行しつつある。 創作期の間は小説をまったく受け付けなくなっていたのが嘘のように、ここ1週間で小説を8冊読み…

樹 恒近
2か月前
2

週末の早朝、雨

昼間の疲れで早々に寝てしまった土曜の夜には、なぜか時間を浪費してしまうような悔しさがある。 昨晩はまったくその見本のような夜だった。 昼間、久しぶりのスポーツ観戦…

樹 恒近
2か月前
4

京都で考えた

吉田篤弘さんの『京都で考えた』はことさら好きな一冊で、頻繁に読み返している。 大仰ではなく、軽妙でもなく、頭に浮かんだささやかなことから連想が広がっていく浮遊感…

樹 恒近
3か月前
5

そして絵画期へ

工作期が一段落して、さて次はようやく文章期かと思っていたら、絵画期がやってきてしまった。 絵画といってもイーゼルを立てて、筆を握ってキャンバスに向き合うような類…

樹 恒近
4か月前
1

【全部嘘日記】 2024.4.30.

 連休の狭間と油断をしていたら月末なのであった。  支払いを済ませなければとスケジュール帳のメモを見ているのにもかかわらず、意識が月末とまったく紐付けできていな…

樹 恒近
4か月前
1

【全部嘘日記】 2024.4.29.

ゴールデンウィーク前半の三連休最後の日。 昭和天皇の誕生日で昭和の日。 自分ではそれほど長い時間が経ったようには感じなくて、40年前の事ですら4〜5年前の出来事のよう…

樹 恒近
4か月前
3

結局、周りの目は気になるもの

先日作った文庫本を解体、再利用したメモパッドを見た友達から、自分も作って欲しいと頼まれてしまった。 自分一人で使うメモの量などたかがしれているし、でも作るのは楽…

樹 恒近
4か月前

工作期の終わり〜風姿花伝のメモパッド

工作期も終わりが近づいたのか、趣味の循環は創作期に入る兆候が見えている。 偏西風に流されて移動する気圧みたいに予測がつけばいいのだけれど、法則性も季節性もないみ…

樹 恒近
4か月前
1

今朝の夢見

こうしないとダメ、こうすべき、これが普通、こんなのを選ぶのは異常……とあれこれ注文を付けてくる女の鼻先に指を突きつけ「貴様の価値観を俺の人生に持ち込むな」と最強の語気で言い放つ夢を見た。 自分の有り様が露見しているような夢だったけれど、どうしてそんな夢を見たんだか。 そして相変わらずのハリネズミ体質らしい。

プロセスを愉しむ

名のある仏師は一本の木を目の前にして、掘り出すべき仏の姿を目にすることができたと聞く。 見えたなら、あとは余計な部分を削ぎ落としていけば、やがて仏の姿だけが残る。 こうして一体の仏像が彫り上げられるというわけだ。 言わんとしていることは何となく判る気はする。 だが、名仏師のごとく最初から決着点、到達点が見えていることなど例外中の例外で、凡庸な自分には求めるべくもない。 手を動かして何かを作る時など(僕は日用大工からノートのリフィルまで、割といろいろなものを拵える趣味がある)

ひどい夢見と、夢の分析

かなり頻繁に夢を見る。 夢の典型のような支離滅裂な夢もあれば、2時間もののドラマのように不出来ながらちゃんと完結しているものまで、見る夢の様相はいろいろだ。 夜中に夢から覚めて、まだしっかりと記憶に残っていた時には、まれにメモを残すこともある。 状況や夢に出てきた人間、誰かが口にした言葉などを簡単に記しておくようにしているのだが、後から読み返すと書いておく必要があったのだろうかと思うことも少なくない。 元々が断片的で脈絡も生合成も最初から無視して出来上がっている夢をさらに断

興味があるのは情景だけ

年齢と体調と暑さのトリプルパンチで、日々のエネルギーは毎日夕方には空っぽ同然になる毎日。 それはそれで嫌でも嫌いでもないのだけれど、他に何もできない——日々のプラスアルファ、余禄、余白がゼロ同然というのはいささかキツい。 日によっては夕飯を作ることすら放り出してしまうほどの疲弊では何かを作ることなどできるはずもない。 できることと言ったら考え事ぐらいのものだ。 身体を動かすこともなく、じっと座って頭の中だけをひたすら動かすだけだから、毎日の残りエネルギーだけでもどうにかなる。

なるほど、ブレイキンというのは盛大に筋肉と体幹を使いまくった非言語の口喧嘩みたいなものなのだな。

ポメラ、買うか、買わざるか

ここ10日ほど、相も変わらずポメラを買うかどうかの逡巡を繰り返していた。 以前なら迷わず買ってしまったところなのだろうが、ポメラには勢いで買ってしまうのを踏み止まってしまう何かがある。迷いを払拭できずによろよろ、おろおろと決断できないまま今日に至っている。 「道具はすべからく手にフィットするべし」というのが信条だ。持った瞬間に「これだ!」と感じないものはどこかしらに問題が潜んでいる。これはもう理屈ではない。ただの直感だ。でもその直感は7〜8割の確率で的中する。 ポメラは優秀

ロートレック

仕事を終えて駅まで歩いていく途中、週の終わりの開館時間延長中のそんぽ美術館へ立ち寄ってロートレック展を鑑賞。 ロートレックを画家と一括りにするのは昔からちょっとした違和感がある。 もちろん描くことは素晴らしく上手かったのだろうけれど、絵画というものに対する執着心、どろどろとした熱みたいなものが他の画家と比べると希薄な感じがして、いつも「この人は程度の良い趣味人だったんじゃないか」と感じることが多かった。 伝統のある伯爵家に生まれ、きっとそこそこちゃんとした教育を施された素地

誕生日

七夕の今日は誕生日。 まったく自覚も実感もないが、なんと還暦なのである。 ミック・ジャガーが80歳超えてるのが信じられないのと似たり寄ったりの信じられなさだ。 子供の頃、7月といえばやっていた競泳のシーズン突入直後で、誕生日が特別な1日だったことなんて全然なかった。 お誕生会はもちろん、小学校も高学年になってからは合宿で家におらず、プレゼントをもらった覚えもない(きっと何かしらはもらっていたはずだが)。 そんなわけで年齢がひとつ増えることに妙な感慨があったのは19歳になった

珈琲とコーヒー飲料

ようやく創作期は終わったようで、このところは読書期に移行しつつある。 創作期の間は小説をまったく受け付けなくなっていたのが嘘のように、ここ1週間で小説を8冊読み終えた。 軽いものが混ざっていたのも確かだけれど(書店の売上に貢献著しい「成天」「成信」もこの1週間で読んだ中に入っている)、軽かろうが重かろうが、本来、楽しんで読めた小説にはどこかしら発見があるものだ。 そして今週読んだ小説から発見したものは打ち捨てられた金山から拾える砂金よりもさらに少なかった。 「新刊書店に行っ

週末の早朝、雨

昼間の疲れで早々に寝てしまった土曜の夜には、なぜか時間を浪費してしまうような悔しさがある。 昨晩はまったくその見本のような夜だった。 昼間、久しぶりのスポーツ観戦で4万人のうちの一人になり、試合の興奮と熱気にすっかり当てられて、崩れ落ちるようにベッドに入ってしまった。 ベッドサイドの灯がぼんやりと部屋を照らすのを眺めながら、ランプを消すのも忘れてそのまま眠りに落ちた。 そして目が覚めた日曜日の朝、4時20分。 カーテンの向こうから雨音が聞こえて初めて、ランプを消さずに眠ってし

京都で考えた

吉田篤弘さんの『京都で考えた』はことさら好きな一冊で、頻繁に読み返している。 大仰ではなく、軽妙でもなく、頭に浮かんだささやかなことから連想が広がっていく浮遊感が心地いい。 本来あるタイトルは記されないまま、短い文章がアスタリスクのみで区切られ、綴られていく。タイトルを隠したことが文章に余白を生んだようにも思える。一人の読者である僕は生まれた余白の間をふわふわと漂うような気分になる。 大きな病気をしたせいもあるのだろうが、年齢とともに体力の衰えは顕著で、集中が続く時間は年々

そして絵画期へ

工作期が一段落して、さて次はようやく文章期かと思っていたら、絵画期がやってきてしまった。 絵画といってもイーゼルを立てて、筆を握ってキャンバスに向き合うような類ではなく、手を出してしまったのは版画。 木版画は昔から遊び半分で時々彫刻刀を握ることもあったのだけれど、今回は銅版画の応用のようなシロモノだ。 銅版画などと書くと、どこか本格的で、何やら本気モードみたいに見えてしまうが、全然そんなことはない。どこまでも趣味で、遊びの範囲から一歩も出ることはない。趣味の道具に金を注ぎ込

【全部嘘日記】 2024.4.30.

 連休の狭間と油断をしていたら月末なのであった。  支払いを済ませなければとスケジュール帳のメモを見ているのにもかかわらず、意識が月末とまったく紐付けできていない。  おかげで昼休みにのんびりと会社を出て、銀行のATMに着いたときには、数台しかないATMに長い列が出来上がっていた。  それでも今日はいくらかツキがあったようで、キャッシュを引き出すまでにはそれほどは待たずに済んだ。  これが商店がひしめく地元だったら、月末の支払いに奔走する店主やらおかみさんやらがATMを占拠

【全部嘘日記】 2024.4.29.

ゴールデンウィーク前半の三連休最後の日。 昭和天皇の誕生日で昭和の日。 自分ではそれほど長い時間が経ったようには感じなくて、40年前の事ですら4〜5年前の出来事のように思えるのだけれど、それはきっと精神年齢が実年齢の1/3ほどしかないせいなのかもしれない。 「勝手に時間ばっかり流れていきやがって」と悪態の一つも付きたくなる。 何かしらテーマを掲げて書くことに飽きてしまって、単なる雑文ですら書く気が失せてしまった。 となればただの日記を書くことが最も簡単で、最も意味があること

結局、周りの目は気になるもの

先日作った文庫本を解体、再利用したメモパッドを見た友達から、自分も作って欲しいと頼まれてしまった。 自分一人で使うメモの量などたかがしれているし、でも作るのは楽しいし(実は文庫本を解体するのがいちばん楽しい)、二つ返事で引き受けた。 一人からは新潮文庫の「シャーロック・ホームズの事件簿」と岩波文庫の「墨汁一滴」の2冊、作って欲しいと頼まれた。 メモを使い切っても、自分でリフィルを作れば表紙は使い回しできるようにしてある。果たして2冊もいるんだろうかと思いつつ、それだけ何かし

工作期の終わり〜風姿花伝のメモパッド

工作期も終わりが近づいたのか、趣味の循環は創作期に入る兆候が見えている。 偏西風に流されて移動する気圧みたいに予測がつけばいいのだけれど、法則性も季節性もないみたいで、ある日突然変化の兆候が現れる。 根拠はないけれど、好き勝手に作ったものに妙な愛着を感じたり、変に満足度が高かったりすると、そこで一旦ブレーキがかかるみたいな感じはある。 世阿弥の「風姿花伝」を読み終えて、解体してメモパッドに改造した。中身はサイズに合わせて切ったコピー用紙なのだけれど、妙に格好いい。 A4を四