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嘘つきの処方箋

それはそれは甘い贅沢に
脳みそはあっという間に肥満し膨れ上がった

誰かの優しさも寂しさも
すべて
食い散らかしては、食べ残す

メレンゲに卵黄と見栄と砂糖を入れて泡立てたら
嫉妬と小麦粉をサックリ混ぜて
バターと自尊心を溶かして流し込む

恋の擬似エッセンスで香り付け
オーブンでこんがり妬いて
美味しく頂けば、

ほら。

気分はHappy 満たされて。

愛とか、推しとか、
ジェネリックで親身なドクターを
いつもこの掌に

白く柔らな嘘に包まれて
どこまでも傲慢な私は 繭の中で眠る

白昼夢の堂々巡り


そう、それは甘い贅沢
心はあっという間に疲弊し苦しくなった

誰かの忠告も心配も
すべて
見て見ぬふりして、見失って

ほら。

朝焼けの終幕、全ては幻

それでもあの味が忘れられないから
鏡に写った真実から目を逸らしては
君の良心を人質に

暗く歪んだ自己愛に絡まって
いつまでも大人になれない私は 混沌の中仰ぐ

これは
嘘つきの為の処方箋(レシピ)

綺麗な上澄みだけを掬いとって舐めながら

なんとか生きながらえたい



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