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SaaSのバイブル発見 - 成功しなきゃ、おかしい - 「予測できる売上」をつくる技術 #SaaSLovers

この記事は #SaaSLoversバトンブログ企画の15日目のやつです。
前回の#SaaSビジネスアドベントカレンダーも参加させていただいてその縁で今回も参加!

というわけで、こんにちは!!アルプ代表の伊藤です!
「Scalebase」というSaaS・サブスクリプションビジネスの効率化・収益最大化プラットフォームの開発・運営をやっております。
今日は本の話をします!540ページの本の話なので、めっちゃ長いです!

(前置き)

昔、あるSaaSベンチャーの社長から、「SaaSやるならこの本読むしかないですよ。」とある英語の本"From Impossible To Inegvitable"を勧められました。「ここに全て詰まってますから!!」と。買ったものの、ふーん、、、英語か、、、と全然読み進められなかったあの本。

実は先々週翻訳版が出ており、駆け込み読破いたしました!読み進めれば読み進めるほど、この本はSaaSのセールス・マーケティング・マネジメントのバイブルだと確信しました。スケールするためにはどうあるべきか、スケールするために必要なセールスやマーケティングの考え方、人員、マネジメントの考え方。とにかく具体的な事例や数字も多いため示唆に富んでいます。

何より、SaaSビジネスのスケールにはプロダクトだけでは成り立たないということ。いかにソリューションとしての価値提供が必要か、そのためにセールス・マーケティング・カスタマーサクセスを軸としたビジネスサイドが(僕たちが思っている以上に)規模として必要なのか、ということをあらゆる角度で教えてくれます。

ちなみに誰が書いているのか?セールスフォースのARRを5億円から100億円にしたアーロン・ロスと、エコサインをAdobeへ売却に成功し、SaaStr.comを立ち上げたジェイソン・レムキンというど真ん中ツートップでしたw
読んでいなくて申し訳ございませんでした。

成功しなきゃ、おかしい - 「予測できる売上」をつくる技術

まず、この本は、ビジネスの成長、ARR1億ドルに至るまでに必要な7つのステップを説いています。

1.(成長する大前提)ニッチを決める
2. 予測可能なパイプラインを構築する
3. 売上をスケーラブルにする
4.  大企業へと取引規模を大きくする
5.  耐え忍ぶ時期を耐える蓄えをする
6. 社員オーナーシップを採り入れる
7. 依存ではなく、自分の意志で生きる

後半はちょっとマインドセットや完全組織マネジメントの話なので今回はやや割愛します。

1. ニッチを決める

ハイパー成長の大前提として、プロダクトが「あったらいいもの」ではなく、「なくてはならないもの」になっている必要があります。これはよく聞く話。その見極めとして、「ニッチを決めているかどうか」という話がまず第一ステップ。
ここでのニッチとは、「焦点を絞り込む」、「特定」の頭痛の種を抱えている「特定」のターゲットに絞り込む。ということです。このニッチは下記の5つの側面で評価できます。

①よくある頭痛の種であるかどうか
ソリューションではなく何が問題か?
しかも、よくある頭痛の種じゃないとダメだ。具体的な問題解決に特化すべきだけど、絞り込みすぎると、同じような問題を抱えている顧客を見つけられないかもしれない。
(そんな簡単にいうなよ、と思って読んでいますw)

②はっきりした成果

具体的、また詳細な成果として示せるのはどんな分野か?
数字で見せれたらいいし、そうでなくても導入事例や利用者の声でもいい。
「それで何が得られるのですか?」に答えられること。

③信じられるソリューション
「売上アップ、コスト削減、云々」とアピールするのは誰にだってできる。あなたの会社が言っている内容を「信じる」必要がどこにあるのか。
「こちらがきちんと実行できること」「ちゃんと機能するし、使いこなす能力もキャパシティーも相手にあること」を信じてもらうこと

④特定可能なターゲット

見込み客、パートナー企業、マーケティングオプションをリスト化できないようでは、そう簡単に相手を獲得できるはずがない!

⑤ユニークな特性

見つける/みつけてもらう、契約してもらう、どこにでもあるものにはならない、そのためには、他とは違う、独自の存在でなければならない。
いずれにしても、必ずある。あなたの会社が突出している点は何か、特別な強みは何か。いずれにしても、必ずある。あなたの会社が突出している点は何か、特別な強みは何か。

そのためのリストアップと評価リストをニッチ・マトリックスというアプローチでまとめて紹介もしています(ここでは省略)

もう一点、ジェイソンの「20人インタビュー」ルールは非常に面白かったです。

ルールは簡単。会社の規定づくりやニッチの最終決定など、なにか大きな行動に出る前に、実際の潜在見込み客20人に話を聞くのだ。
①最初の5人へのインタビューは、入り込める余地やいまある案件をしっかり把握するため。
②次の5人へのインタビューで、そのパターン認識が会っているか確認する。最初の5人から学んだパターンを次の5人で確かめる。
③11-20人目のインタビューで、売り込み方や伝えたいことを磨いていく。入り込める余地を買い手の視点からしっかりと把握し、微妙な違いや課題を突き止めたら、いよいよ売り込む。売り込む際の「ないと困る」から「あったらいいな」をすべてふるい落としていく。

第1章では、いかに絞り込んだターゲットに価値を提供するか、いかにその価値に再現性・客観性があるか(どう役に立って、すごいか、だから何なのか)、いかにアーリーフェーズでコアの顧客への理解に手を抜かないかということを徹底して説いています。

2. 予測可能なパイプラインを構築する

やっとプロダクトの準備ができた。ターゲットも絞れた。ここでは持続可能なシステムを作っていくという話です。つまりどうリードジェネレーションを予測可能な形で実現するかという話です。リードの種類わけからそれに対応したマーケティングについての概論など、成長するための骨格の話をしています。

大きくリードには3種類。
1. シード(種)
口コミ、ネットワーク、人脈などから獲得する多対多のリード。顧客満足を通じて増やしていく。→ カスタマーサクセス
2. ネット(網)
1対多の各種マーケティングキャンペーン。→コンテンツマーケティング、インバウンドマーケティング
3. スピア(若芽)
ターゲットを絞ったアウトバウンドマーケティング、あるいは事業開発キャンペーン。コンタクトしてアポを取る手法なら何でも活用する。

それぞれで1記事分以上書けますね。その中でも、特にカスタマーサクセスの定義が面白かったです。

カスタマーサクセスは顧客の満足度をアップさせることではなく、売上をアップさせること

リードの一種類として明確に「シード」という定義があり、カスタマーサクセスはそのシードを育てる(解約率を減らす、アップセルを増やす、紹介者を増やす、etc.)ためにある、と定義しています。顧客の満足度アップは手段であって目的ではないという点で、再理解が進みました。つまり、マーケティング投資の一つであるということです。

カスタマーサクセスにおいてCEOが理解しなければならないこともご参考まで

ルール①カスタマーサクセスは成長の原動力の中心
ルール②カスタマーサクセスは営業の5倍は重要
営業を機能させるためにも、高い顧客維持率、照会、ストーリー、導入事例といったカスタマーサクセスのリソースが必要となる
ルール③早めに開始、早めに採用
1桁目社員で採用すること
ルール④顧客の元を訪れる
「5+2のルール」を共同創業者、CEO、カスタマーサクセスマネージャーは実行すること。直接会う。定期的に話すことが大事。
- 月に5人の顧客を訪れる
- 客先の入館証を毎年2つずつ入手する
ルール⑤カスタマーサクセスには財務上の責任とメトリクスが必要
「プロダクトが優れていれば顧客は満足するはず」は間違った考え。
「最終的なマイナスチャーン」をあげることがカスタマーサクセスの狙い
ルール⑥成長に伴い、カスタマーサクセスの目標とメトリクスも進化させる
売上のフェーズによって、カスタマーサクセスとして考えるべきゴールは変わってくる※
※ゲインサイトの例が非常に参考になる:本をご参照

さらに「第9章 経営陣が見落としていること」も非常に刺さりました。
大きく「最重要メトリクスとしてのパイプライン創出率」「スケールの最初は、初期採用者→メインストリームに抜け出すこと」「LTVを過小評価してしまう理由」という3つを説いています。

売上高よりも、パイプラインのレポートよりも、役に立つ主要メトリクスとして「パイプライン創出率(PCR)」をあげています。「パイプライン創出率(PCR)」をあげています。

パイプライン創出率(PCR)は有望リードおよびパイプラインの進捗度を測定するもので、前月、前月比で評価される。リアルタイムで遅れもないし、今後の売上や成長の度合いをはっきり予測するだけでなく、成長傾向まで予測できるところがいい。

PCRのすばらしい点は、売上は月ごと四半期ごとでかなり変動しても、リードは毎月毎月、予定通り増やせることだ。

また、別の論点として、本当のハイパー成長モードに入るのは、自社のネットワーク(初期採用者、市場の15%)から抜け出して、「普通の人」(メインストリーム、市場の85%)に購入してもらえるようになってから。という話も学びが深いです。これはいわゆるPMFにも通じる話だと思います。

加えて、LTVを経営が過小評価してしまうために、カスタマーサクセスへの投資を絞りがちであることを指摘しています。既存顧客からのバイラルでの販売や、副次的な効果を評価しきれないため、既存顧客のLTVが低くなりがちであると。本来はそこの価値も含めてLTVは適正評価されるべきであり、だからこそカスタマーサクセスが営業の5倍必要なんだという話につながってきます。

3. 売上をスケーラブルにする

ふうやっと10~15章です(全体25章)。ここでは、具体的に、売上をスケールさせるフェーズにおいては、売上拡大に必要なキャパを準備する必要があるという話です。営業チームの立ち上げ、マネジメント、採用、考え方の話。

著者であるジェイソンレムキンの失敗事例などもありこれもまた具体的で良い。

営業チームの立ち上げでジェイソンが犯したワースト12
1. 自分で売り込めることを確認しないうちに営業担当者を雇う。
2. 自分で売り込めることを確認しないうちに営業部長を雇う。
3. 最初に採用した2-3名の営業担当者が、この人からは買わないという人ばかり。
4. その後採用する営業担当者(4~400人)は、この人からなら買おうとい思う自分つであることにこだわる。
5. 報酬が低い。
6. 「取引規模を倍増」させるアップマーケットを(あえて)すぐには行わない
7. 営業サイクルが一巡しても成果を出せない営業部長を抱えている。
8. 営業部長に営業させすぎる。
9. 化粧品やサプリの営業経験者を雇う。
10. セールスフォース・ドットコム、ボックス、ドロップボックスなどの有名企業に勤めていた、という理由で雇う。(補足:少なくとも同じような価格の同じようなプロダクトの取引をまとめた経験があるかどうかで判断すべき。)
11. 優秀な営業担当者が辞めていく。
12. 計画を倍増しない。

そのほか、営業業務を特化させることの重要性を大きく説いています
営業担当に複数業務(オーバーワーク)させると、9割方はどれもこれも中途半端になるためです。大きくはこの4方向で分担させていくべきであると。

1. インバウンドリードの絞り込み
2. アウトバウンドの見込客開拓
3. 新案件のクロージング
4. アフターフォロー(顧客管理、専門サービス、カスタマーサクセスなど)
業務の特化をとにかくやるべき重要な4つの理由
1. 有効性
ひとつの分野に集中することで専門性が身につく。
2. ファームチーム/逸材
営業部門に複数業務を用意することで、採用から研修、育成、昇進という社内キャリアパスが明確になる。人材を外で求める場合と比べて、採用コストもリスクを抑えられ、効率がいい
3. インサイト
営業の役割をいくつかの業務に分割することで、障害となっている部分の特定とその解決がしやすくなる
4. スケーラビリティ
特化することで、雇用、研修、測定、育成、昇進を全員一律におこないやすくなる。

そしてスタートアップに特化して、スケーラブルな営業のためのアドバイスもいくつかまとめられています。大きくはサービス部門の必要性と人員組織の解像度を上げておくべきという2点。

テック企業はサービス部門を設置すべき
取引規模が大きければ大きいほどサービスの重要性は増します。相手もチェンジマネジメントしたくないので、より深く理解し使いたい。そうなると、提供側も売上を成長させる大きなチャンス。年間契約料金の15~20%を占めていくのは間違いない、ということで取引規模が大きくなっていくところには積極的なサービス提供を強く勧めています。

社員100人程度(ARR1000万ドルで翌年2000万ドルを目指す)のSaaS企業の人員構成

ここがとんでも無く面白かったです。いかにセールス、マーケティング、カスタマーサクセスの人員が必要となってくるかということ。開発(R&D)とのバランスで、どこまでそれを抑えられるかなのかなとも思いました。

初期段階の企業(売上200万ドル未満)が軽いショックを受けるのが、1000万ドル以上を目指すうえで必要な人員の多さだ。
営業なら、ARRが1000万ドルの時点で、40名ほど必要になるはず(翌年の成長率100%を維持するため)
①営業部長1名、営業支援オペ担当部長1名、1名アナリスト、営業担当者20~25名
②営業開発担当者(SDR)8名
リードジェネレーション、アウトバウンド開拓、インバウンドリード対応を担当
③3~4名の営業課長で25名の営業担当者を管理
④大型取引を担当する外勤営業2~3名
カスタマーサクセス部門におそらく20名ほど必要になる。
①カスタマーサクセス担当者(CSM)ひとりあたりのARR150万ドルとすると、翌年の目標達成のためにも15名必要
②全体を統括するCS部長1名、CSMを半数ずつ管理する課長2名、データ分析をサポートするアナリスト1名など
マーケティング部門は外部スタッフによって変わってくるけど、4~8名程度。 
①マーケティング部長
②外部マーケティング(イベント開催など)
③コンテンツマーケティング
④プロダクトマーケティング
⑤マーケティング有望リード(MQL)を管理する、リードを絞り込む担当者(2、3名)
この段階でのサポートチームは、電話対応も含めて24時間無休としたい。それには少なくとも5名、できれば6名欲しい。
さあ、これで約70名になった。エンジニアはまだ一人もカウントしていない!
プロダクト部門には少なくとも4名
①全体を統括するプロダクト部長1名
②プロダクトの分割、統合、発表などを管理する課長2~3名
(略)
開発周りは30+α名
開発実行/技術実行部隊には、24時間無休の対応だけでおそらく3~4名
エンジニア部隊はミニマム20名
QAエンジニア、少なくとも8名に管理者が1 名

トータルで110名!70名のビジネスサイドと40名弱のプロダクト・開発サイドです。そしてまだコーポレートはいない!これはあくまで例だし、ここから削られていって然るべきなのだが、こういう配分、考え方なのだと唸る事例でありました。

つまり、ARR1000万ドル規模のSaaS企業であれば、人員の大部分が、プロダクトづくりではなく、営業、マーケティング、サポートに携わるわけだ。

4. 大企業へと取引規模を大きくする

さて、事業のスケーラビリティもあって、あるべき組織像もみえてきた。次は実際にどうスケールさせるかの話。いかに大口取引(高単価の契約)を実現し、そこにシフトしていくかということ!チマチマした取引でビジネスを拡大させるのは難しい。

まず、ARR1億ドルを考えたときに、どういう構成になっているか?を考える。無償版からの拡大はいずれ伸び悩む。初期はともかく、ARR1億ドルのときの構成では確実に10%以下になる。結局、小口取引があるにせよ、大口取引を考えていかないといけない

案件数の拡大もともかく、とにかくどう大口取引にするか、そこにアップせるしていくかを考えることのインパクトは非常に大きい

大きく飛躍的な成長を遂げたいなら、案件数・成約数を倍にするだけでなく、平均売上規模も倍にすることで4倍の成長を目指すことができる
取引規模がおおきければ、利益ははるか大きく、手間は少なく、顧客の更なる成功を支援できる。手間が2-3倍かかっても、10倍の売り上げが得られるなら、小口の取引よりはるかに良い。

なるほど、ウサギ(小さすぎる取引)だけでは大変というのもわかったが、とはいえゾウ(巨大企業や超大口取引)に簡単にいけるわけではない。スタートアップ企業が狙うべきなのはシカ(そこそこの取引)らしい。

シカの定義
1. 実際に制約できる
2. 大きな成功を現実的に支援できる
3. 本業から外れるレベルの、プロダクトに対する新たな要件やサービス要望があっても、潰されない

また、大口取引の考え方も参考になる。結局ツールやセルフサービス型では限界があり、いかにサービス提供・ソリューション提供に振り切れるか?そこの検討余地があるか?が中長期的なポイントである。

大口取引の考え方:ツールではないソリューションの提供に進化させる
1. 特定の企業顧客にはツールでは無く、ソリューションを売り込むことで売上を3~20倍にできる
2. しっかりしたソリューションを提供するには、人もプロセスも(機能やソフト開発も)もっと必要

例:ドロップボックスは営業担当者をおく必要がまったくなかった。本当だ。ただし、売上が1億ドルに達すると話は別。そこで初めて、ソリューション販売をかいしすることにしたからだ。一方、ボックスは早くから小kに投資した。ドロップボックスと比べると、1億ドル達成には少し時間がかかったけど、顧客100万人達成はボックスのほうが速かった。

さまざまな規模の顧客を抱える場合、どこを目指すべきか?最後は企業様々だが、計算上のことは言える。
ARR1億ドルを目指すなら、10万ドル以上をぽんと支払ってくれるような企業と取引したほうが簡単。そういう企業1000社と取引できればARR1億ドルを達成できるわけだ。販売価格を数十万、数百万ドルにするためには大きな課題に対するソリューションを売り込む必要がある。単なるツールではだめだ。

ソリューションを恐れることはない。多くの人が本心では、オフィスにじっとして、アイパッドを眺めたりなんかして、やりとりを一切しなくても顧客がどんどん入ってくればいいのに、と思っている。それでお金を払ってくれる顧客が100万人獲得できるなら、そのやり方でいけばいい。

実際はそんな話は皆無ですwお客さんは待っててこないし、勝手にプロダクトがバイラルで流行っていくことも早々ない。これはやっていて思う。高単価を狙うには高単価ゆえの提供価値をつくりつづける苦しみがある。それを覚悟すること。でも意思と準備でできるというのがこの本の訴えかけてることだと理解しています。

そして、18章の「アップマーケットする」では、ここがある種のSaaSビジネスの幻想というか、一貫してセルフサーブ型SaaSビジネスへの幻想を砕くという意味で唸る話がてんこもりです。

できれば営業担当者を雇わずに済ませたい、と思ってる人は多い。そういう人たちの理屈はこうだ。
「そもそも営業担当なんか必要?スラックやアトラシアンは営業を(まだ)一人も置いてないけど。ベースキャンプ式でやればいいんじゃないの?」
(略)
まあ、そうかもしれない。せいぜい頑張って。十分勢いに乗っているから、営業チームがいなくても売上目標を常に達成できる。というのなら、もちろん不要だろう...いや、それでもあったほうがいいはずだ。目標が低すぎるんじゃないだろうか。目標が低すぎるんじゃないだろうか。

これ!!!!最初の僕でした!!!!
アトラシアンもベースキャンプも好きすぎて、プロダクトフォーカスが全てと思っていた過去の私!!!!(別に否定してるわけじゃありません。今でも本当に尊敬している企業ですし、学び続けています)

SaaSビジネスは。1億ドルのSaaSビジネスは明確に違うと彼らは説いています。プロダクトとビジネスの掛け算ということなのです。

ここでは、プロダクトにフォーカスしすぎる、ボトムマーケット(ごく小規模の企業および、それよりやや大きめの企業にいる各購入者で構成される顧客ベース)にハマっている経営者たちに、無償型のつらさ、営業の重要性、プライシングを上げていくこと(戦うマーケットを進化させていくこと)の意義を説いています。

営業の仕事は、信頼のおけるガイドやコンサルタントとなり、煩雑になりがちな評価および購入プロセスを一貫して手助けすること。
営業担当者がいることで顧客満足を超えた、価値提供ができる。
リードジェネレーションとして、簡単に自由に使ってもらえる手頃な価格のものを用意しておくのはいい。でもそれはどうやっても売上の1/3にも届かない。
価格帯を増やすことを検討しよう。1シートの無償版がうまくいってるのなら、部門専用版やエンタープライズソフトを追加する。
そして、営業担当者を一人(できればふたり)雇い、顧客ときちんと話をして契約をまとめてもらうようにしよう。カスタマーサポートの域を超えるためだ。それがうまくいけば、成長率を飛躍的にアップできる。同じ顧客、同じ見込客、サイトやアプリを見てコンタクトしてきた同じ人たちの顧客価値が、突然20~30倍になる。こちらのサイトやアプリを見てもらうための取り組みはそのままなのに20~30倍になって返ってくるのだ。

さらにさらに、アンドリーセンホロウィッツのマーク・クレイニーが非常に示唆深い話を最後に投げかけています。プロダクトがいいのは当たり前、それ自体の価値があるのは当たり前として、いかに営業がベンチャー経営において軽く見られがちなのか、それでいて成長の根幹を担うべき存在なのか、というのが伝わります

SaaS やオンラインアプリに関する間違った思い込みはいろいろある。プロダクトが素晴らしく、使い方も簡単ですぐ活用できるなら黙っていても売れるから、 営業なんて不要、というのもそうだ。こうした思い込みの一切を、当ベンチャーキャピタルは打ち砕いてきたつもりだ。
試してから購入、無償版からプレミアム版、というビジネスモデルが SaaS でもてはやされている様子を見れば、そう思い込んでしまうのもムリはない。実際には、ユーザーを首尾よく獲得し、もっと規模の大きい企業や政府機関の他の部門にも展開しようとしてようやく、それが事実とは程遠いことに気づき、肝を冷やすスタートアップが多い。
ただし、稼げるのはそういうところだ。
社員が数百人、数千人規模の大企業を狙い、売り込めるようにならなければいけない。これは新たなスキルになる。大企業に取引してもらうのは、法案を可決させるぐらい大変なのだ。
大組織の意思決定プロセスは煩雑で時間がかかる。時代遅れのシステム、社内かけひき、すでに確立されているソリューション、統合の埋没費用、現在取引している業者による顧客管理、規模やスケールの大きさなど、さまざまな要素が絡んでくるからだ。
(以下略)(以下略)

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ここまでで372ページあります。お腹いっぱいすぎますね。ここから19章以後は組織マネジメントやマインドセットの議論が中心となっています。非常に重要な内容がたくさん書いてありますが、構成上薄めになっています🙇‍♂️時間切れなわけではありませんw
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5.「耐え忍ぶ時期」と腹を括る

とにかく、成長には思った以上に年月がかかる。どう耐えていくか、というお話です。ポイントは、まず兆しをつかむまで2年はかかるということ。そこに向けての覚悟がなければ、成長する準備ができてないということであると。
そして、うまくスケールする道を進むとしても、絶対に「地獄の一年」に直面するということです。急にこの辺りから、精神論の話が増えていきます。合ってると思いますけど、急にどうしたん。

軌道に乗るまで2年はかかる
1.「最初に弾み」がつくまで丸2年間、必死でやる覚悟ができているか。1年でも1年半でもない。2年だ。半年や1年じゃダメ。プロダクトをきちんとしたものにするだけで9~12ヶ月、ある程度の売上があがるまでにさらに6~12ヶ月はかかる。
2. 年8760時間、1日24時間、365日必死でやれるか。「ありえない成功」のためにどうすればいいか、そればかりを考え、心を砕き、力点を置くということに、本当に心から真剣になれるかだ。
3. 清水の舞台から飛び降りる覚悟があるか。「ちょっと試しにやってみるか」程度の気持ちで、他の選択肢を残しているようでは、うまくいきっこない。
「地獄の1年」は誰にでもある
- 創業1年目にそうなることはない
- 大抵、一旦弾みがついてからだけど、スケールした後にやってくることもある
- とにかくあらゆる局面がとてつもなく困難で、とことん戦い続けていられなくなるほどの1年
- とにかく信じて欲しいのは、これも成功の道のりの一部であり、間違ったことをしているわけじゃない、ということ。めげずに頑張るしかないのだ。
- ここを耐えていくためには、安心感は敵になるし、強烈なモチベーションや外圧、変化を意図的にでも持ち、作り続けることが必要となる(「強制コード」)

最後に

急に最後後半がしぼんでいますが笑、それはともかく、この成功しなきゃ、おかしい - 「予測できる売上」をつくる技術は、あらゆるフェーズで読んでも示唆に富む鉄板本だと思いました。

よくある論説として、開発とビジネス側の対立がどうとか、ビジネス(特にセールス)偏重でプロダクトのマチュリティが低いまま売りまくって数字を積み上げることの是非みたいな話もありますが、そんな次元の話ではありません。結局、どちらなのか?というトレードオフではなく、全部やる、ということなのですね。

いいプロダクトだけではスケールできないことがどうやっても明確なことそしてSaaSにおいてはプロダクトが満点、ビジネスが満点で、やっとスケーラブルなビジネスになるということを改めて痛感しました。そのビジネス側のの構成要素を網羅性高く書いている(もちろん各論は個別の書籍やメディアの方が詳しくリアリティがあります)点で、バイブルたりえると思っています。ここに挙げられている論点や事例単位での勉強会はやっていきたいですね、ほんと。

シード・アーリーフェーズのSaaSベンチャーの方々はオールラウンドに型を学ぶというだけでも意味がありますし、プロフェッショナルの方々も大きな論点での振り返りに非常に役立つと思いました。個人的には「クラウド誕生 - セールスフォース・ドットコム物語」に次ぐバイブルです。

そして、アルプでは、まさにこのセールス・マーケティング・カスタマーサクセスを進化させていく、第一人者として切り開いてくれるメンバーの方々を募集しています。是非、ちょっとしたお話だけでも構いませんので、ご連絡いただければうれしいです!!

そういうわけで、長文もいいところですが、お目通しどうもありがとうございました!



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160
モルガンスタンレー、ボストンコンサルティンググループを経て、2013年よりピクシブに入社、その後代表取締役社長兼CEOに就任。2018年8月にアルプ株式会社を創業。サブスクリプションビジネスの売上最大化・管理SaaS"Scalebase"を開発中。

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