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初めてウナギをさばいて食べた顛末記 後編


さばいている最中に感じた異変

うなぎといえども所詮は魚、背骨に沿って刃を入れて、身を切り離すだけではないか、簡単簡単チョーかんたん。将来は激安うなぎとカレーとコーヒーとたこ焼きが一緒に楽しめる店でも始めようかな?とおごり高ぶっていた自分に、ある違和感がおとずれました。

・・・なぜ身が2枚あるのだ

うなぎは背中から刃を入れて背骨と身を切り分け、腹の皮一枚で身をつなげて切り開く「背開き」にするのが定番。つまり正解は下写真のように開いた身と背骨に分かれるはずです。

正しくさばいたあり方

でも自分は、いつもの癖で腹の皮まで切り離して3枚おろしにしてしまい、気づいた時には尻尾の方まで切り進んで下写真のような状態に……。

間違ったさばき方

ニンゲンというのは不思議なもので、パニックになるとなんとかこの身を元に戻せないかと、瞬間的に脳内に「ボンド」「ホチキス」などというワードが浮かびました。「ホチキスで留めて焼いて食べる時に外せば・・・」とも考えたように思う。どうかしている。

とまれ、やってしまったものは仕方ない。このまま一気にさばき終わろうと思ったその時・・・

冷凍庫で冷やして仮死状態にしてあったうな太郎の体がゆっくり動き出したのです。手のひらに急に心臓の鼓動も感じはじめました。生命が躍動を始めています。このままでは暴れだしてえらいことになる!

「バイタル低下、じゃなくて上昇!危険な状態です!」と、脳内でドクターX並みの緊張感が走ります。失敗するわけにはいかない。意を決して押さえつけ、なんとか身と骨を切り離しました。うな太郎の尻尾は切ってもまだ動いています。うなぎのこの生命力こそが、夏の滋養の根源なのかな、と感じた瞬間です。

はじめてにしてはうまくさばけたと思う。今度はもっとうまくできるはず
うなぎの内臓。この時はどれが肝にあたる部位かわからなかった

肝吸いも作りたいと内臓をきれいにとったものの、どれが肝にあたるのか分からない…。結果、赤い心臓部分を残して白い部分は捨ててしまったけど、その白い部分が肝でした。肝=肝臓と思っていましたが、実はうなぎの肝は胃袋とその周辺の内臓一式。つまり上写真の白い部分と思われます。

しかも潰すと苦味が広がる緑の苦玉も見事に潰してしまったりと、初めてはいろいろムズイ。

絶品タレづくり

うなぎを焼く前に、まずはタレづくりです。ここでも、釣り旅YouTube「たくわんのフィッシングライフ」さんの動画を参考にさせていただきました。

背骨を香ばしく焼く

まずは背骨を適当な大きさに切り、網で焦げ目がつくまでじっくり焼きます。骨についた身から脂がじゅわじゅわ出てきて美味しそう。

焼いた背骨がタレを絶品に

焼いた骨を、しょう油・みりん・酒・砂糖を2:2:1:1の割合で混ぜたタレに投入して煮立たせます。こうすることでうなぎの旨味や焦げた風味がタレにうつり、劇的に美味しくなるそう。味見をしたら、死ぬほど香ばしくてまさに絶品!

小さいウナギを焼く方法

今回のウナギは44cmと小ぶりで、通称「メソ」と呼ばれるそうです。メソメソ泣く幼子が語源なのだとか。いまのうなぎは養殖が主流だから、まずもってメソをみかけることはありません。

メソサイズのうなぎは脂や旨味が少なく、身も薄いので、かば焼きは厳しいといわれています。網で焼くと固くなったり、ひっついてぼろぼろになってしまうので、こちらのサイトを参考に、フライパンDE餃子蒸し焼き方式でいくことにしました。

脂のりの少なさと身の薄さを、油と蒸しの工程で補う焼き方。メソサイズを網で焼くと悲惨なことになりそうなのでこの焼き方に

①フライパンに多めの油をひく

②うなぎを皮を下にして並べる

③うなぎの身が浸るぐらいの水を入れてフタをして蒸し焼きにする

④水分が飛んでチリチリしだしたら、フタをとって残った油で両面にしっかりと焼き目をつける

⑤再度身が浸るぐらいの水を入れてフタをして蒸す(関東風の蒸しの工程)

⑥フタをとって水分を飛ばし、タレを絡める。

完成!余ったタレで焼きおにぎりも

こじんまりとしたうな丼がいじましい

長い長い時間と労力をかけて、やっとうな丼が完成しました!
家族3人で分けると、涙がでるくらい小さいうな丼です。しかし、まぎれもない天然のうな丼!

味はというと、小さいながらもしっかりとうなぎでした。
臭みもまったくないし、タレもうまい!タレと一緒に煮込んだ焼いた骨の身をこそげとって食べるのも、家うなぎならではの楽しさでした。いや~、ほんと美味しかった。雰囲気雰囲気。

うなタレ焼きおにぎり

タレがあまりに美味しかったので、翌朝は焼きおにぎりに。当然美味しいに決まってます。翌朝までうなぎを楽しめる喜びに心がふるえます。

ハゼ太郎たちもカリっと景気良く揚げてビールで一気に流し込み

というわけで、自分でうなぎをさばいて食べてみた顛末記でした。

身の大きさやふわふわ感などは、お店と比べるべくもありませんが、お店だと一瞬で終わるウナギの楽しみが、泥抜き~調理~食べるまでとず~~と長く続いて、満足感でいっぱいです。「この夏、ちゃんとウナギ喰ったな!」という実感がすごいです。来年からは毎夏、自分でウナギを釣って食べたいと思います。下処理やさばき方はもう覚えたし!

※ウナギ釣りをする際は、一般の人が釣っていいエリアか事前に確認しておきましょう。
※釣れたウナギが持ち帰っていいサイズかも確認しましょう。貴重な天然ウナギと長く付き合うために自分も心掛けます。

前編はこちら



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