イソガニを捕まえて素揚げにする
秋はファミリーフィッシングのベストシーズン。堤防からのチョイ投げでハゼやキスが簡単に釣れる楽しい季節です。ところが温暖化の影響なのか、近所の海では年々魚が釣れなくなっており、秋だというのにハゼが数匹釣れる程度の悲しき状況。そんな時の奥の手がイソガニ捕りです。大人も子どもも夢中になるイソガニを捕りをして、食べて喜びます。
ハゼもキスも絶滅してしまったのか
子どもと一緒に釣りに出かけたのにな~んにも釣れない。数ある釣りの中で、釣れないファミリーフィッシングほどハイプレッシャーなものはありません。
先日息子君と釣りにでかけた日も、海からまったく生命反応が感じられず、息子君にも飽きムードが漂いはじめました。時間はまだ午前中。今日は夜まで二人で時間をつぶさねばならないのに非常にまずい…。
「う~ん、パパが子どもの頃はフナムシを餌にしても釣れたんだけどなあ」
苦し紛れにそうぼやいたところ、「フナムシ捕まえたい!」とおかしなところに反応されてしまい、釣りそっちのけで岩場探検が始まったのでした。
海辺の岩場の常連、フナムシとイソガニ
フナムシとはいったい何者なのでしょうか。何を考えて生きてらっしゃるのでしょうか。堤防の壁などにびっしりと密集しているのを見るとぞっとします。がらんどうの黒目や、無数の足、触覚?などが気色悪く、大人となった今ではとても素手で捕まえる気になりません。
その点イソガニはいい奴です。なんせ「蟹」という高貴な身分の方であられますし、見た目もなんかかわいい。なによりイソガニに針をつけて海に投げ込んでおくと、クロダイやコブダイなどの不意の大物が釣れることもあるロマンあふれる奴なのです。
ということで、「フナムシ禁止!イソガニを捕獲せよ」と子に伝令を出し、親子でイソガニ捕りが始まったのでした。
イソガニを捕まえるコツはただひとつ。見つけたらとにかく躊躇せず手のひらで素早くおさえることです。指でつまもうなんて考えでは彼らはすぐに岩の隙間に逃げ込みます。なりふり構わず手のひらでばっとおさえるに限ります。
岩の隙間など手の届かないところにイソガニを見つけた場合は、落ちている枝に釣り針をむすんで、ゴカイとか、なければコンビニで売ってるタコわさとか魚肉ソーセージとか、とにかく餌になりそうなものをつけて目の前に垂らしてやると、すぐにハサミでつかんできます。要はザリガニ釣りと一緒ですね。隙間から引っ張り出したところを手でパッと捕まえれば一件落着です。
イソガニは、干潮時の水の引いた岩場を見渡すと大抵見つかりますし、昼間より夜の方が動きが鈍いので、本気で釣りのエサとして確保をしたいときは夜に捕まえす。
※お子さんと一緒に捕るときは濡れた岩場や夜は危ないので避けましょう。
イソガニの素揚げは大好きなあの味
イソガニは生命力が強く、持ち帰ってもまったく弱らずせかせかと動いて隙あらば逃げ出そうとします。そこで以前うなぎをさばいた時同様、1時間程冷凍庫に入れておきました。案の定イソガニたちは仮死状態になって動かなくなりました。
動きを止めたイソガニたちを水で軽く洗い、キッチンペーパーにならべて水気をしっかりとふきとります。並べてみると蜘蛛の標本みたいで結構かわいい。しばらく眺めていたら、一番大きな子の足がゆっくりと動き始めました。まずい、仮死状態から覚醒してしまう。
ということでさっさとイソガニを素揚げにしていきます。こんな小さなカニに油をたくさん使うのはもったいない。小さなフライパンに油をチョロっと入れ、さらにフライパンを傾けて油を隅に寄せて熱し、そこにイソガニを放り込みます。生きたまま高温で揚げると手足が取れてしまうそうなので、160℃の低温で揚げていきます。今回のイソガニは小さいので2分も揚げれば十分でした。親指サイズぐらいなら5分程度揚げたほうが良さそうです。
揚げている時から甲殻類特有のたまらんいい匂いがしていたのですが、食べてみるとエビフライの尻尾の味にそっくりです。何をかくそう自分はエビフライの尻尾が大好きで、人が残した尻尾まで卑しく食べてしまうほどの尻尾フリークです。
イソガニの素揚げはそんな自分にとってこれ以上ない無料のおつまみです。ありがてえありがてえ、給料まで10日もあるのに財布に千円しか入ってないオイラにはありがてえことです、とむせび泣いていると・・・
いろんな方向から手や箸が伸びてきて、イソガニの素揚げは一瞬で消えてなくなりました。揚げたては極上海老せんべいみたいに香ばしくパリパリ食べれるので、息子くんも奥さんも「うめーうめー」と我利我利亡者と化し、奪い合いが起こったのです。
大人も子どもも夢中になれるイソガニ捕り。魚が釣れない時のファミリーフィッシングの保険としておすすめです。楽しいし旨いし金かからんし。