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ファーストステップ司法書士15「脅されてした契約も守らなきゃいけないの?【強迫】」
Aは,Bに「お前の持っている車を5万円で俺に売れ!」と脅され,泣く泣く車を売ってしまいました。Aは泣き寝入りするしかないのでしょうか?
☑ 参考条文 ☑
【96条】
①詐欺又は強迫による意思表示は,取り消すことができる。
②相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては,相手方がその事実を知り,又は知ることができたときに限り,その意思表示を取り消すことができる。
【121条の2】
①無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は,相手方を原状に復させる義務を負う。
【1】意義
強迫とは,相手方に恐怖を生じさせ,それによって意思表示をさせることをいいます。例えば,上記の事例のように,脅されて契約を締結するような場面です。強迫によってした意思表示も,詐欺と同様に取り消すことができます(96条1項)。一方,詐欺とは異なり,第三者による強迫によって意思表示をした場合〔第三者による強迫〕,取引の相手方が,その強迫の事実について善意・無過失であったとしても,取り消すことができます。そのため,第96条2項には「詐欺」のみが挙げられ,「強迫」についての記載がありません(96条2項参照)。
【2】趣旨
強迫による意思表示は,詐欺による意思表示と同様に,脅された表意者の保護の観点から,取り消すことができるとされています。また,第三者による強迫については,強迫の被害者は,詐欺の被害者に比べて落ち度が少ないので,詐欺の場合のように取消しを制限する規定はありません。
【3】解答
Aは,Bの強迫によって意思表示をしたことになるので,車の売買契約を取り消すことができます(96条1項)。これにより,Bから車を返してもらうことができます(121条の2)。
★やってみよう!★
【過去問 平成18年第6問オ】
☑ AがBに強迫されてA所有の甲土地を善意かつ無過失であるCに売却した場合,Aは,AC間の売買契約を,強迫を理由として取り消すことができない。
➠× 第三者による強迫の場合,取引の相手方が善意・無過失であっても取り消すことができます。
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