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ファーストステップ司法書士48「この子は俺の子!【実子・認知】」

A男はB女と結婚しており,A男とB女の間の子であるCがいましたが,その後A男と婚姻関係にないD女との間に子Eが生まれました。A男はEが自分の子だということを認めていますが,A男とEの関係はどのようになるのでしょうか?

無題

☑ 参考条文 ☑
【779条】

 嫡出でない子は,その父又は母がこれを認知することができる。
【780条】
 認知をするには,父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても,その法定代理人の同意を要しない。
☑ 用語解説 ☑
『 身分行為 』
・・・婚姻・離婚・養子縁組・認知など家族関係に関する法律行為のこと。身分行為は原則として意思能力さえあれば単独ですることができます。家族関係のことに他人が口出しするのは好ましくないからです。

【1】意義

血縁関係に基づく子,つまり親と血が繋がっている子を実子と言います。実子は,嫡出子と非嫡出子の2つに分けられ,氏の扱いなどで違いが生じます。嫡出子とは,婚姻関係にある男女の間に生まれた子のことをいいます。一方,非嫡出子とは,婚姻関係にない男女の間に生まれた子のことをいいます。ただし,法律上は婚姻外の子が生まれた時点では父と子の間に親子関係は認められず,父がその子を自分の子だと認めること〔認知〕によって初めて法律上の親子関係が認められます(779条)(※1)(※2)。なお,認知をするには,行為能力を必要とせず,意思能力があれば十分です。ですから,未成年者が認知する場合であっても,保護者の同意は不要であり,意思能力があれば単独ですることができます(780条)。
※1 上記の事例で言うと,Cは結婚しているAとBの間に生まれた子ですから,嫡出子に当たります。一方,Eは結婚していないAとDの間に生まれた子ですから,Aが認知すれば,非嫡出子に当たります。
※2 非嫡出子について,母親は出産の事実によって,親子関係が明らかになるので認知は不要です(条文上は,母親も認知が必要であるかのように書いてありますが,実際は不要です)。よって,認知することなく母子関係のある非嫡出子になります。

【2】趣旨

生まれた子の父親は誰かということは,嫡出子については婚姻という客観的な事実から,母の夫がその子の父親だと判断することができます。しかし,非嫡出子については,出生という事実から誰がその子の父親であるのかが分かりません。ですから,非嫡出子とその父親との間に法律上の親子関係を成立させるために認知という制度が用意されています。また,認知は身分行為であることから,本人の意思のみが尊重されるべきであり,行為能力の規定は適用されません。

【3】解答

AがEを認知することによって初めて,AとEの間に法律上の親子関係が生じます。なお,AとDは婚姻関係にないことから,AがEを認知すれば,Eは親子関係が認められる非嫡出子となります(779条)。

★やってみよう!★
【過去問 平成16年第24問ア】
☑ 未成年者が保護者の同意なくして認知をしたときは,その認知は無効である。
➠× 認知をするには,行為能力を必要とせず,意思能力があれば十分です。よって保護者の同意は不要です。

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