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私の答案、解答例とちょっと違いますが、大丈夫?~今宵、答案構成力養成答練(商業登記法)ライブ劇場で(第5回講義)~

【要注意】本稿は、答案構成力養成答練第5回の問題の内容に触れている箇所がありますので、解説講義の受講後にお読みください。

こんにちは。
記述式答案構成力養成答練(商業登記法)の問題作成者の杉山です。

現在、東京校で実施されている答案構成力養成答練(商業登記法)のライブ講義も、第5回が終了しているところです。

そこで、今回も、ライブ講義の質問受けでのある受講生からの質問について解説をしてみようと思います。

【質問】
第1問第1欄の登記すべき事項中の「社外監査役である旨の登記の抹消」について、解答例は①となっていますが、私は②と記載しました。解答例と少し違いますが大丈夫でしょうか。

①解答例
  令和11年11月11日監査役(社外監査役)Xにつき
  監査役会設置会社の定めの廃止により変更
   監査役X
②自分の解答
  社外監査役Xは、令和11年11月11日
  監査役会設置会社の定めの廃止により監査役Xに変更
(いわゆる「ネタバレ」を防止する観点等から、年月日及び氏名等は、実際の問題とは異なるものと差し替えてあります。)

【回答】
全く問題はありません。

【解説】
受講生の皆さんには、本答練その他の記述式問題を解いた後に、自らの記載した解答を解答例(模範解答)と見比べつつ自己採点をしていることと思いますが、その際に、自分の答案が解答例の表現と微妙に異なる場合に、「この部分は〇なのか、×なのか、それとも△なのか……」と思い悩むことがあるのではないでしょうか。

今回の質問者もそのような悩みをお持ちであるようです。

登記申請書の登記すべき事項は、「実際に登記記録に記録される登記事項を記載するもの」です。そして、登記申請を受け付けた登記官は、登記申請書の登記すべき事項の記載に従って登記記録を変更する(登記の実行をする)わけですが、その際には、法務省民事局商事課が発出した先例である「登記記録例等に従って登記を実行しなければならないこととされています(平18.4.26民商1110号依命通知等)。

ですから、登記すべき事項は、「登記官が登記記録例に従って一義的に登記記録を変更することができる程度の記載」であれば差し支えありません。すなわち、受講生の皆さんとしても、登記申請書の登記すべき事項について、一言一句、「てにをは」を含めて解答例や講義テキストの申請書記載例の記載と完璧には一致していなくても差し支えありません。

本問の場合には、監査役会設置会社の定めの廃止によって、「監査役(社外監査役)X」について社外監査役である旨の登記を抹消して「監査役X」と変更するのですから(会社911条3項18号参照)、登記官が登記申請書の登記すべき事項の内容と登記記録とを見比べて正確に登記を実行することができる程度の記載であれば、登記申請書の登記すべき事項の記載として十分なわけです。

それでは、実際に実行前と実行後の登記記録を見てみましょう。
●登記記録(登記実行前)
監査役    X
(社外監査役)
     ↓
●登記記録(登記実行後)
監査役    X
(社外監査役)  
監査役    X 令和11年11月11日監査役会設置会社
         の定めの廃止により変更

すなわち、今回実行すべき登記の具体的な内容としては、次の①から③までとなります。
①監査役(社外監査役)Xの登記を抹消する(抹消線を付す)。
②監査役Xの登記を作成する。
③この変更が令和11年11月11日付けの監査役会設置会社の定めの廃止に基づき行われるものであることを記録する。

ここで、再度、質問者の登記すべき事項の記載を見てみましょう。
「社外監査役Xは、令和11年11月11日監査役会設置会社の定めの廃止により監査役X変更」

質問者の解答については、登記官が上記①から③までの登記の実行をするにあたって、登記申請書の登記すべき事項の記載として全く過不足なく表現されていることを受講生の皆さんも理解することができると思います。

受講生の皆さんには、登記申請書例(いわゆる「雛型」)の記載について、いわゆる「てにをは」を含めて一言一句完璧に一致しなければならないと考えている方が多いようですが、実際には、そのようなことはなく、登記官が粛々と遺漏なく正確な登記を実行することができる程度であれば、全く差し支えありません。

記述式問題(商業登記法)とは、受講生の皆さんが会社法上の実体手続及び商業登記法上の登記手続について適切に判断をし、その正確な判断の結果を登記申請書に記載することによって、「自らが司法書士として責任をもって商業登記実務を取り扱うことができる能力を有していること」を試験委員に示す絶好の場でもあると問題作成者は考えています。

そのような観点からすると、受講生の皆さんには、自らの判断力に磨きをかけ、自信をもって判断の結果を登記申請書に記載していただきたいと考えています。

回答は以上となります。

それでは、答案構成力養成答練(商業登記法)も次回が最終回です。受講生各位のより一層の奮励努力を祈念しております。

第1回の記事はこちら

第2回の記事はこちら

第3回の記事はこちら

第4回の記事はこちら


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