今回は何株まで発行できますか?~今宵、答案構成力養成答練(商業登記法)ライブ劇場で(第4回講義)~
【要注意】本稿は、答案構成力養成答練第4回の問題の内容に触れている箇所がありますので、解説講義の受講後にお読みください。
こんにちは。
答案構成力養成答練(商業登記法)の問題作成者の杉山です。
現在、東京校で実施されている答案構成力養成答練(商業登記法)のライブ講義も、第4回が終了しているところです。
そこで、今回も、ライブ講義の質問受けでのある受講生からの質問について解説をしてみようと思います。
【質問】
募集株式の発行をする場合に、「発行することができる株式の数の上限」は、どのように計算すればよいのでしょうか。
【回答】
発行済株式の総数と次の①から③までの数との関係を考慮して決定する必要があります。
① 発行可能株式総数
② 自己株式の数
③ 新株予約権の目的である株式の数
【解説】
例えば、発行可能株式総数4000株、発行済株式の総数1500株である株式会社を例として考えてみましょう。
① 発行可能株式総数との関係
まず、当然のことながら、募集株式の発行後の発行済株式の総数が発行可能株式総数を超えることなる募集株式の発行をすることはできません(これが認められてしまうと、発行可能株式総数の意味がなくなってしまいます)。
つまり、「募集株式の株≦発行可能株式総数-発行済株式の総数」を満たしている必要があります。
したがって、本事例の場合には、2500株(=4000株-1500株)まで発行することができることとなります。
② 自己株式がある場合
上記①にもかかわらず、自己株式がある場合には、募集株式の数に自己株式の数を加えても差し支えありません。これは、募集株式の発行と併せて自己株式の処分をする場合には、処分する自己株式の数については発行済株式の総数が増加しないからです。
つまり、「募集株式の株≦発行可能株式総数-発行済株式の総数+自己株式の数」を満たしている必要があります。
したがって、本事例の場合には、自己株式の数500株であれば、3000株(=4000株-1500株+500株)まで発行することができることとなります。
③ 新株予約権が発行されている場合
上記②にもかかわらず、新株予約権(行使期間の初日が到来していないものを除く。)の新株予約権者が新株予約権の行使によって取得することとなる株式の数は、発行可能株式総数から発行済株式(自己株式を除く。)の総数を控除して得た数を超えてはならないものとされています(会社113条4項)。これは、新株予約権の行使によって発行される予定の株式の数(新株予約権の目的である株式の数)については、発行可能株式総数の中に枠を残しておく必要があるということです。
つまり、「募集株式の株≦発行可能株式総数-発行済株式の総数+自己株式の数-新株予約権の目的である株式の数」を満たしている必要があります。
したがって、本事例の場合には、自己株式の数500株及び新株予約権の目的である株式の数1000株であれば、2000株(=4000株-1500株+500株-1000株)まで発行することができることとなります。
なお、新株予約権が発行されている場合であっても、行使期間の初日が到来していないときは、新株予約権の目的である株式の数を控除する必要はありません。
回答は以上となります。
それでは、答案構成力養成答練(商業登記法)も残すところあと2回です。受講生各位のより一層の奮励努力を祈念しております。
第1回の記事はこちら
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