ファーストステップ司法書士10「夫が行方不明!どうしたらいいの?【失踪宣告】」
【1】意義
失踪宣告とは,不在者が生きているかどうかわからない状態が続き,死亡している可能性が高い場合において,その者を死亡した扱いにする制度です。失踪宣告には,普通失踪と特別失踪の2種類があります。普通失踪は,最後に不在者の生存が確認された時から7年が経過し,利害関係人からの請求があった場合に出される家庭裁判所の失踪宣告により認められ(30条1項),これにより,7年間の期間満了時に死亡したものとみなされます(31条)。特別失踪は,天災や航空機事故などの危難が去った時から1年が経過し,利害関係人からの請求があった場合に出される家庭裁判所の失踪宣告により認められ(30条2項),これにより,危難が去った時に死亡したものとみなされます(31条)(※1)。
※1 特別失踪の場合,事故や災害のときに死亡した可能性が高いので,死亡したとみなされる時は「危難が去った時」となります。例えば,航空機事故が原因の行方不明による特別失踪の場合,その事故が収まった時に死亡したものとみなされます。
【2】趣旨
不在者が長年にわたり行方不明である場合のように,不在者の生死不明状態が継続すると,不在者の財産や身分に関して利害関係を持つ者(配偶者や子など)は不安定な地位に置かれ,困ってしまいます。ですから生死が分からなくなってから一定期間が経過したときは,その不在者を死亡したものとみなして不在者にまつわる法律関係の安定を図っています(※2)。
※2 死亡したものとみなされると,相続の開始が認められて財産関係が確定したり,配偶者に再婚の機会が与えられたりします。
【3】解答
不在者であるAの生存が確認された時から7年以上が経過しているので,利害関係人であるBは普通失踪による失踪宣告を申し立てることができ,これが認められれば,Aは死亡したものとみなされるので,BはAの財産を相続することができ,再婚することも可能になります(30条1項,31条)。
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