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本年度の本試験の出題予想は「A=A+B」?~今宵、記述式答案構成力養成答練(商業登記法)ライブ劇場で(第6回講義)~

伊藤塾 司法書士試験科 司法書士 杉山潤一

【要注意】本稿は、答案構成力養成答練第6回の問題の内容に触れている箇所がありますので、解説講義の受講後にお読みください。

こんにちは。
記述式答案構成力養成答練(商業登記法)の問題作成者の杉山です。

先日(3月29日〔金〕)、記述式答案構成力養成答練(商業登記法)の東京校でのライブ講義全6回が終了したところです。私も、問題作成者として、ライブ講義終了後の教室で受講生の質問受けをしていました。

今回も、ライブ講義の質問受けでのある受講生からの質問について解説をしてみようと思います。

【質問】
本年度の本試験の記述式問題では、どのような論点が出題されると予想されますか。

【回答】
ヒントは「『A=A+B』に御用心」!?

【解説】
まずは、問題作成者として、あまたの過酷な試練(?)を乗り越え、本答練全12問の問題を解ききった受講生の皆さんに敬意を表し、「お疲れさまでした」との言葉をお贈りしたいと思います。

今後、本試験の日まで、受講生の皆さんには、本答練その他の記述式問題の学習を通じて、「答案構成力」に磨きをかけ、答案構成の正確性と迅速性とを両立させることが求められます。

問題作成者は、受講生の皆さんが本答練から得た知識や経験に基づき答案構成の正確性と迅速性を獲得することができれば、本試験においてどのような問題が出題されたとしても、十分に対応することができるものと確信しています。

とはいえ、受講生の皆さんとしても、本年度の出題予想は興味があるところだと思います。

問題作成者としては、この質問に対する回答は「そのすべては本答練の12問の中にある!」となりますが、それでは本稿をわざわざお読みいただいている受講生の皆さんが納得されないでしょうから、受講生の皆さんが今後のいわゆる「超直前期」において記述式問題の学習を進めていくに当たってのヒントを述べ、最後に、ささやかな出題予想をしてみたいと思います。

受講生の皆さんも既にご承知のとおり、商業登記においては、登記すべき事項を変更させる一定の事由が生じた旨の事実が示された場合に、会社法上の実体手続及び商業登記法上の登記手続を検討することとなります。

例えば、取締役である者が成年被後見人となった場合には、取締役の退任による変更の登記を申請することとなります。

このような事例は、「Aという事由が生じているために、Aという登記を申請する」というケース(すなわち「A=A」の事例)であり、既に受講生の皆さんも本答練に取り組む前提として十分に学習されていることだと思います。

しかし、この検討だけでは十分ではないケースもあります。例えば、上記の事例において取締役が「新株予約権を付与された役員が一旦退任した場合には、再度就任するか否かを問わず、一切、新株予約権の行使を認めない。」との行使の条件のある新株予約権を有している場合には、併せて、新株予約権の消滅による変更の登記も申請しなければならないこととなります。

これは、「Aという事由が生じているだけであるにもかかわらず、Aという登記に加えて、Bという登記も申請する」というケース(すなわち「A=A+B」の事例)となります。

問題作成者としては、このような「A=A+B」の事例こそ記述式問題を解く際の最大のポイントとなると認識しており、本答練において出題してきたところです(本試験の記述式問題についても同様であるものと予想しています)。

問題作成者としては、受講生の皆さんには、今後、本答練その他の記述式問題を学習する際、「A=A+B」の事例に着目してもらいたいですし、そのことが受講生の皆さんの答案構成力を更に強化することとなると確信しています。

それでは、最後に、ささやかながら、以下の①から③までのとおり、本年度の本試験の出題予想(らしきもの)をしてみたいと思います(「当たるも八卦当たらぬも八卦」ということで、御笑覧ください)。

①役員の変更
何といっても、本試験の記述式問題の最重要分野であり、かなり難解な問題が出題された場合であっても対応することができるように、ほぼ完ぺきといえるまで習熟する必要があります。特に、機関設置等の会社状態の変更を含む事例(例えば、機関設置の設置又は廃止、公開会社又は非公開会社への移行、大会社又は非大会社への移行)については、要注意です。

②令和元年改正会社法
令和元年改正会社法が施行されてから数年が経過している本年度においては、そろそろ令和元年改正会社法の改正事項の出題が十分に想定されます。特に、株式交付、役員の欠格事由が要注意です。

③新株予約権
新株予約権は、実務上、様々な場面において様々な用いられ方をしています。そこで、新株予約権については、発生、変更及び消滅のすべての場面について、どのような事例があり、それぞれどのような登記を申請するかについて十分に学習しておいてください。特に、新株予約権無償割当て(並びに新株予約権の行使及び行使期間満了)が要注意です。

回答は以上となります。

最後となりましたが、これから、いわゆる「超直前期」に入っています。受講生の皆さんには、本試験に万全の態勢で臨むことができるよう最善を尽くし、残り3か月の期間を悔いなくお過ごしください。

なお、令和6年4月13日(土曜日)14時から、本答練の第4回から第6回までの問題について、本答練の受講生の皆さんからの質問に北谷講師及び問題作成者が回答する「Zoom質問回」を開催します。現時点(令和6年4月2日)において、参加者を募集しておりますので、本答練の第4回から第6回までの問題について質問のある受講生の皆さんは、奮ってご参加ください。

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