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ファーストステップ司法書士41「この家タダで使わせてあげるよ!【使用貸借】」

Aは,親友のBがアパートを追い出されていることを知って,自分の持っている空き家をBに貸そうと思いました。人に建物等を貸す場合,賃料を取るのが一般的ですが,AはBに空き家をタダで貸すことはできないのでしょうか?

無題

☑ 参考条文 ☑
【593条】

 使用貸借は,当事者の一方がある物を引き渡すことを約し,相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって,その効力を生ずる。
【593条の2】
 貸主は,借主が借用物を受け取るまで,契約の解除をすることができる。ただし,書面による使用貸借については,この限りでない。

【1】意義

使用貸借契約とは,借主が目的物を無償で使用・収益をした後に返還をする契約をいいます(593条)。賃貸借契約は,貸してもらう代わりにお金〔賃料〕を支払うことになります。このような対価を支払う契約を有償契約といいます。一方,使用貸借契約の場合,そのような対価を支払う必要がありません。これを無償契約といいます。要するに使用貸借契約の場合,タダで貸し借りすることができるのです。使用貸借契約は当事者の合意のみによって成立しますが〔諾成契約〕,書面による場合を除き,貸主は,借主が目的物を受け取るまでは,契約の解除をすることができます(593条の2)。

【2】趣旨

他人に物を貸す場合,必ずしも対価を求めるとは限らず,単なる思いやりによる場合もあります。そこで,民法は対価を支払わない使用貸借契約を定めました。使用貸借契約では,賃貸借契約と違い,貸主のみが損する契約なので,家の修理費など,必要な費用が出たら借主の負担となるなど,貸主の責任を軽くする規定が置かれています。また,使用貸借契約は贈与契約と同じく無償でするものであるため,贈与契約における書面によらない贈与と同様に,書面によらない場合には,借主が目的物を受け取るまで解除することができるとしています。

【3】解答

AはBと使用貸借契約を結べば,賃料を取らずに空き家を貸すことができます。ただし,Aは空き家を引き渡すまでは,当該契約を解除することができます(593条の2本文)。

★やってみよう!★
【過去問 昭和60年第7問3】
☑ 使用貸借契約は,要物契約である。
➠× 使用貸借契約は,当事者の合意のみで成立する諾成契約です。なお,貸主は書面によらない場合には,借主が目的物を受け取るまで解除することができます(593条の2)。

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