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ファーストステップ司法書士24「みんなのものだよ!勝手に売らないで! 【所有権・共有】」

AとBとCはみんなでお金を出し合って車を買って,カーシェアリングをしています。ある日,Aがお金に困ってきたのでその車をDに売りたいと考えました。AはBとCの同意を得ないで勝手に車を売ることができるのでしょうか?

無題

☑ 参考条文 ☑
【249条】
 各共有者は,共有物の全部について,その持分に応じた使用をすることができる。
【251条】
 各共有者は,他の共有者の同意を得なければ,共有物に変更を加えることができない。

【1】意義

上記の事例のように,複数の人が1つの物をみんなで所有することを共有といいます(249条以下)。物を共有している複数の人を共有者,共有している物を共有物,それぞれの所有の割合を持分といいます(※1)(※2)。共有者は,それぞれの持分に応じて,共有物の全部を使用することができます(249条)。例えば,上記の事例では,ABCが「それぞれ1ヵ月ごとに交代制で車を使う」といったケースが考えられます。ただし,他人に売るなどして法律的に共有物を処分したり,共有物の形を物理的に変えてしまう行為〔変更行為〕は,共有者の1人が勝手に行うことができず,他の共有者の全員の同意が必要です(251条)。
※1 上記の事例でいえば,以下のようになります。
「共有者」:ABC、「共有物」:車、「持分」:平等な割合ならABCそれぞれ3分の1
※2 持分は法律の規定や共有者の合意があればそれによりますが,それらがなければ平等となります(250条)。

【2】趣旨

共有の規定では,複数の人が1つの物を所有するときに争い事が起きないように,それに関するルールが決められています。251条もそのルールの1つです。共有物を勝手に変更・処分すると,他の共有者の利益を害するため,共有物の売却といった変更行為には他の共有者の全員の同意が必要とされているのです。

【3】解答

車をDに売るのは,変更行為に当たるため,AはBCの同意を得なければ車を売ることができません(251条)。

★やってみよう!★
【過去問 平成5年第10問カ】
☑ 持分の過半数を有する共有者の賛成により共有物を他人に売却した場合には,その効果は,共有者全員に及ぶ。
➠× 共有物を他人に売却する行為は,変更行為に当たるので,他の共有者全員の同意を得なければいけません。

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