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ファーストステップ司法書士17「任せてないのに勝手にやった。契約は守らなきゃいけない?【無権代理】」

AはBに任せていないにもかかわらず,BがAの代理人と勝手に名乗ってCから車を買う契約をしてきてしまいました。AはBに任せていないのに,この契約を守らなければならないのでしょうか?

無題

☑ 参考条文 ☑
【113条】
 ①代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は,本人がその追認をしなければ,本人に対してその効力を生じない。
【116条】
 追認は,別段の意思表示がないときは,契約の時にさかのぼってその効力を生ずる…。

【1】意義

上記の事例のように,代理権がない者が代理人として相手方と契約してしまった場合を無権代理といいます。無権代理の場合,その契約の効果は本人に帰属しません。つまりその契約は本人に対して原則として無効です(113条1項)。しかし,無権代理人が勝手にやってしまった行為でも,それが結果オーライな場合もあります。そこで,本人が「まあいいか」と認めるのであれば,その契約は最初から有効,つまり代理権をもともと与えていたかのような扱いにすることができますこれを追認といいます(116条)。このように,無権代理行為は追認によって有効になる可能性のあるものですが,本人が「絶対に追認しない」という意思表示をした場合,その契約は確定的に本人に効果が帰属しないことになり,その結果,本人はもはや追認することができなくなりますこれを追認拒絶といいます

【2】趣旨

本人は無権代理人に代理権を与えていないのですから,当然無権代理行為による責任を負ういわれはありません。しかし,無権代理行為でも本人にとって利益になることもあることから,本人に追認権を認めました。一方,本人が無権代理行為を認めない場合のために追認拒絶権も認めました

【3】解答

Bのした無権代理行為(車の売買契約の締結)は原則として無効です。よって,Aはこの契約の責任を負う必要がなく,Cに代金を払う必要はありません(113条1項)。しかし,Aがこの契約を追認すれば,この契約は契約の時にさかのぼって有効となり,AはCに代金を支払わなければなりません(116条)。

★やってみよう!★
【過去問 平成9年第3問5】
☑ 本人は,契約の追認を拒絶した後でも,改めて契約を追認することができる。
➠× 本人が追認拒絶をした場合,その契約は確定的に本人に効果が帰属しないことになり,本人はもはや追認することができません。

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