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北谷馨の質問知恵袋 「名変の要否」に関する質問

今回は、「名変の要否」に関する質問です。

Q:本試験前に名変(登記名義人の氏名等の変更登記)の要否を確認しておきたいです。

名変を省略できるのは以下の場合です。

①所有権以外の権利の抹消登記の登記義務者

ここでいう「所有権以外の権利」には所有権に関する仮登記や買戻権を含みます。実際に記述式で問題になる可能性が高いのは(根)抵当権抹消登記の登記義務者(=(根)抵当権登記名義人)でしょう。
くれぐれも、省略できるのは「登記義務者」なので、「登記権利者」となる設定者(=所有権登記名義人等)については省略できませんので注意しましょう。
また、「登記名義人」ではありませんが、抵当権や根抵当権の債務者についても、抹消登記の前提として氏名等の変更登記は不要です。

②相続による移転登記の被相続人・合併による移転登記の被合併会社

これに対して、遺贈による所有権移転の登記の場合は省略することはできないので注意しましょう。

また、名変の「省略」ではなく「名変ができない場合」も注意が必要です。それが、「現に効力を有しない登記の登記名義人」です。
例えば、AからBへ所有権移転登記がされた後に、Aに住所変更があったとします。その後、AからBへの所有権移転登記の抹消を申請する場合、登記権利者はA・登記義務者はBになります。このとき、Aは現在の登記名義人ではない以上、前提としてAの住所変更の登記はできません。そのため、変更証明情報を提供してそのまま抹消登記を申請することになります。なお、その後改めてAからCへ所有権移転登記を申請する場合は、Aの住所変更の登記が必要になります。

更に、名変の「省略」ではなく「そもそも名変が不要な場合」も注意が必要です。

時系列として

①AがBに甲土地を売った。
②その後、Bが東京から大阪に住所移転した。
③その後、AからBへの所有権移転登記を申請した。
④その後、BがCに甲土地を売り、BからCへの所有権移転登記を申請した。

この事例で、④の登記申請の前提として住所変更の登記は必要でしょうか。
答えは不要です。理屈は非常に単純で、③のAからBへの所有権移転登記を申請した時点でBの住所は既に大阪に変わっているからです。つまりBは最初から大阪の住所で登記をしていますから、住所移転の登記は不要です。

名変に限らず、記述式では「時系列が命」です。
しっかりと問題文を読んで、落ちついて解いてきてください。

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