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ファーストステップ司法書士4「条文の読み方と法律用語を知ろう!【法学入門②】」


【1】条文の読み方

(1) 条・項・号
法律の条文は「条」と「項」から構成されています。「項」とは,その「条」の段落のことを指し,縦書きの六法では算用数字で表されます(第1項だけは数字が付されません)。なお,「号」とは,いくつかの事項を列挙(箇条書き)するときに使われ,縦書きの六法では漢数字で表されます(※1)。
※1 法令などで,並ぶ「条」の間に新たな条文を加えるときは,今までの番号を変えないように,「○○条の2」といった要領で枝番号が付されることがあります。

無題

(2)但書・括弧書・柱書
「但書(ただしがき)」とは,前の文章〔本文〕の内容について条件や例外を記すものです。また,「括弧書(かっこがき)」とは,「( )」で括られた,その手前の文言の定義や略称を示すものです。なお,「柱書(はしらがき)」とは,条文の中に「号」がある場合の,「号」以外の部分を指します。

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(3)接続詞(又は,及び)
 ア「又は」
「又は」は,英語の「or」を意味します。「又は」の意味で複数並べたい場合には,最後だけ「又は」を使い,それ以外の場所は「,」で繋げます(e.g.「A,B又はC」)。

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 イ「及び」
「及び」は,英語の「and」を意味します。「及び」の意味で複数並べたい場合には,最後だけ「及び」を使い,それ以外の場所は「,」で繋げます(e.g.「A,B及びC」)。

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【2】法律用語

(1)判例・先例・通説
 ア「判例」

「判例」とは,裁判の事例について裁判所(特に最高裁判所)が出した判決等をいいます。裁判所が出した判決の効果は,その事件だけに及ぶものですが,同じような事件が起こって裁判になったときに,同じような判決が出されることになるため,判例は同じケースの事件については,事実上,法と同じように拘束力を持つことになります。

★POINT★
判例の表記は,「(最判昭31.4.24)」といった形でされます。この表記からは「最高裁判所で,昭和31年4月24日に言い渡された判決」ということが分かります。

 イ「先例」
「先例」とは,実務のある事例について出された通達や回答をいいます。法令の条文だけでは判断ができないような事案について,取扱いを統一するために発せられるものであり,法務局の職員(e.g.登記官,供託官)は,先例の取扱いに沿って,事例を処理することになります。

 ウ「通説」
「通説」とは,多くの学説が採用している法解釈
をいいます。通説に関しても出題根拠となり得るため,原則としては,条文のほか,判例・先例・通説までを押さえるようにしましょう。

(2)要件と効果
(法律)要件とは,法令の適用によりその効力が生じるための条件をいい,(法律)効果とは,要件を満たした場合に生じる効力の内容をいいます。例えば,売買契約が締結されたとしたら,代金を支払わなければなりません。これは,売買契約の締結によって,買主の代金支払義務が発生します。この場合,「要件:売買契約の締結,効果:代金支払義務の発生」ということになります(※2)。
※2 売買契約の締結という条件を満たしたことによって,代金支払義務の発生という結果が生じたのです。

(3)権利と義務
ざっくり言えば,「権利」とは「~することができる」ということであり,「義務」とは「~しなければならない」ということです。そして,権利の表現における「~することができる」とは,裁判所を通じて強制することができるという意味を持ちます。今の段階では,「できる=法律上認められる」という意味で押さえておけばよいでしょう。

(4)法律行為
「法律行為」とは,意思表示を要素とする行為をいいます。例えば,「契約が成立した」というときの「契約」という法律行為は,申込みの意思表示と承諾の意思表示を要素としています。
ここでは「申込み」「承諾」といった意思表示により要件を形作り(契約が成立),これが満たされれば効果が生じる仕組みになっているのです(e.g.代金の支払を請求できる)。当面は「法律行為」を「契約」に読み替えておくと学習しやすいでしょう。

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☆よくある質問☆
【Q】契約の成立に契約書は必要ないのでしょうか?
【A】契約の成立に契約書は必要ありません。あくまで契約書は後に問題が起きた時のための証拠にすぎず,申込みと承諾の意思表示のみで契約は成立します。

(5)適用・準用・類推適用
「適用する」とは,本来の対象に条文を当てはめることをいいます。これに対し,「準用する」とは,本来の規定ではないが,準用を示す条文〔準用条文〕により,似た対象に条文を当てはめることをいいます。なお,「類推適用」とは,直接当てはまる条文規定や準用規定がないものの,解釈により,その趣旨を類推して,別の事例に条文を適用することをいいます。

(6)「みなす」と「推定する」
「みなす」とは,法律上,一律そういうものとして扱うことをいい,これに対する反証があっても覆すことができません。これに対して,「推定する」とは,法律上,一応そういうこととして扱うことをいい,反証を挙げて覆すことができます。

★POINT★
法律の学習は外国語の学習と似たところがあり,慣れるまで時間はかかりますが,慣れてしまえばスラスラと読めるようになります。上記に挙げているのは基本的な法律用語ですが,無理して覚える必要はありませんよ。

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