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北谷馨の質問知恵袋 「仮登記の本登記」に関する質問PART2

今回は、「仮登記の本登記」に関する質問(2回目)です。

※過去の「仮登記の本登記」に関する質問はこちら

Q:2番付記1号で「所有権移転請求権の移転請求権仮登記」がされている場合、2番の「所有権移転請求権仮登記」の本登記の際、付記登記の仮登記の名義人はなぜ利害関係人に該当するのですか。

質問の事例は以下の【登記記録①】のような登記がされている場合です。

【登記記録①】
甲区
1番 所有権保存 A
2番 所有権移転請求権仮登記 年月日売買予約 B
付記1 2番所有権移転請求権の移転請求権仮登記 年月日売買予約 C

2番仮登記の本登記がされると、2番付記1号は消滅するので、Cは利害関係人になります。
これがなぜなのか、という質問です。

「Bが本登記したら、次はBからCへの本登記ができるからCに利益なのではないか?」と思われる方が多いですが、それは1号仮登記の場合の話です。

【登記記録②】
甲区
1番 所有権保存 A
2番 所有権移転仮登記 年月日売買 B
3番 2番仮登記所有権移転の仮登記 年月日売買 C

上記の場合であれば、甲区2番の仮登記の本登記によりAからBに所有権移転登記をした後に、甲区3番の仮登記の本登記によりBからCに所有権移転登記をすることができます。よって、甲区2番の仮登記の本登記についてCは利害関係人にはなりません。

質問の場合(【登記記録①】)、「CはBから何をもらおうとしているか」というのが最大のポイントです。CがBからもらおうとしているのは、「不動産(所有権)」ではありません。「Aに対する売買予約権」です。
2番付記1号は、「Aに対する売買予約権」を、BからCに移転させる、という予約なのです。
以下、やや強引な例えですが,
「Aに対する売買予約権」を、「コンサートのチケット」に置き換えてみてください。チケットは1枚しかありません。いま、Bの手元にあります。
そして、BC間で、「今度このチケットあげるよ」という予約をしているのです。
ところが、その後、BがCを裏切って、自分でコンサートを観に行ったらどうなるでしょうか。もうチケットは使ってしまったわけですから、Cは、Bからチケットをもらうことができなくなってしまいます。Cは残念でした、となります。

これが、「Bが本登記をする」という場面なのです。BがCを裏切って、売買予約権を使ってしまった場合、もはやCはBから売買予約権をもらうことができなくなってしまいます。
そのため、Cは、利害関係人になるのです。

なお、Cがコンサートを観に行くためには、まず、Bから確定的にチケットをもらってから、コンサート会場に行く必要があります。
この、「Bから確定的にチケットをもらう」というのが、2番付記1号の仮登記の本登記です。まず、付記1号の本登記をして、Cがチケットを確定的にもらってから、それを使ってコンサートを観にいく(2番仮登記の本登記をする)という流れになります。

このように、権利関係がどうなっているのかを掴むことができれば、利害関係の有無も判断することができます。

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