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<BACK NUMBER>第91回 苦手克服研究所 民法「抵当権(物上代位)」

みなさん、こんにちは。
 
伊藤塾講師の藤田です。
 
あっという間に、新年の最初の月が過ぎました。
と同時に、本日は令和5年度の本試験の発表日ですね。
色々な思いを抱えている方も多いかと思いますが、本コラムでは、あえていつも通り一問一答をお届けします。
 
 
今回取り扱うテーマは、
民法の「抵当権(物上代位)」です。
 
 
題材としては、「平成30年度 問題30 肢4」を扱っていきます。
 
 
まず、「平成30年度 問題30 肢4」を以下に示します。
 
 
肢4 抵当不動産が転貸された場合、抵当権者は、原則として、転貸料債権(転貸賃料請求権)に対しても物上代位権を行使することができる。
 
 
 
……
 
 
 
いかがでしょうか?
 
 
 
結論からいうと、本問は誤りです。
 
 
以下、解説していきます。
 
 
まず、判例は、「抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得すべき転貸賃料債権について物上代位権を行使できない」としています(最決平12.4.14)。

これに対して、本問は、「原則として」とある点に注意です。
 
「原則として」「転貸料債権(転貸賃料請求権)に対しても物上代位権を行使することができる」わけではなく、「抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き」「転貸賃料債権について物上代位権を行使できない」わけです。
 
 
つまり、原則と例外が入れ替わってしまっているイメージですね。

試験対策としては、賃料債権と転貸料債権をしっかりと区別したうえで、以下のことを押さえておきましょう

①抵当権者は、賃料債権については物上代位権を行使することができる
②転貸料債権については、原則として、物上代位権を行使することができない
 
 
 
今後も、試験合格に役立つ知識をお伝えしていく
予定ですので、日々の勉強の息抜きに
ご活用ください。