見出し画像

<BACK NUMBER>「起業家マインドで鬼に金棒」+基礎法学「刑事法の基本原理」

みなさん、こんにちは。
伊藤塾行政書士試験科の高木美雪です。

金木犀の香りに癒される季節ですね。お変わりありませんか?
公開模試も全て終わり、今後の課題への向き合い方や心身のご様子について、お話を伺う機会が増えてきました。
模試の結果には様々な感情を抱きますよね。
でも、現実にきちんと向き合い、なんとか修正を図ろうとする姿勢だけでも、立派だなと。
模試から逃げ続けた私からすると、ご自身をしっかり褒めて認めてあげてほしいなと、心から思うのです。

そこで、今こそヒントになる、鬼に金棒な起業家マインドをご紹介。

今年2月、JAXAが、H3ロケットを打ち上げました。
が、うまく着火せず。
その後の記者会見で担当者は、「申し訳ない」と涙ぐみました。

一方、今年4月下旬。
イーロン・マスク氏率いるスペースXが、巨大新型ロケットを打ち上げました。
が、制御不能となり空中爆破処理。
マスク氏は、「チームのみなさん、エキサイティングな打ち上げをおめでとう!次に向けて、多くを学んだね!」と狂喜乱舞したそうです。

さらに、4月下旬。
日本のベンチャー企業が、民間初の月面着陸を目指しました。
が、着陸のデータがとれず残念な結果に。
CEOは、作業過程を10段階に区切り分析、9段階目までは成功していたとしつつ、「次につながる、非常に大きな達成だと考えている」と、冷静かつ前向きな発言をしたのです。

期待に応えたかった、エンジニアたちへのハッパ、出資者へのアピール、…状況は三者三様ではあるでしょう。
しかし、結果を恐れずに現実に向き合い、ノーの結果だとしても「失敗」とは別物ととらえることができれば、その先の挑戦につながる…そんなことを考えさせられます。
人はみな挑戦すべしと決めつけるのは、ちょっとちがう。
でも、自分で決めたことには挑戦できるし、結果責任を負うこともできる。
超直前期、自分で決めたことだから…と自問しつつ、「次の挑戦である本試験につなげる」と思えたら、鬼に金棒かもしれませんね。
応援しています!

さて。起業家マインドに元気をもらったところで…チリツモ作戦!
今回は、基礎法学「刑事法の基本原理」!

半年ほど前にお披露目したのですが、覚えていらっしゃいますか?
えっ?見たことないかも?大丈夫、文章理解の練習も兼ねて、ご一緒にやっつけましょう!

「『犯罪論序説』は[ ア ]の鉄則を守って犯罪理論を叙述したものである。それは当然に犯罪を[ イ ]に該当する[ ウ ]・有責の行為と解する概念構成に帰着する。」
答えとしては、
ア=罪刑法定主義
イ=構成要件
ウ=違法
となります。
平成29年度問題1の抜粋ですが、用語を正確に知らなくても、法制史や刑法の存在意義にふんわりと触れたことがあれば、なんとか答えにたどり着く問題です。
ゆる~り読んでみましょう。

刑法とは、刑罰という制裁を予告することにより、人間の行動を心理的にコントロールして、犯罪から遠ざけようとするシステムです。
「こんな悪さしちゃうと、もっと痛いお灸据えられるんだな。じゃあ、悪さするのはやめておこう。」…こんなことを国民に思わせるルールなのです。

この刑法の機能は、大きく分けて2つ。
法益保護機能と自由保障機能です。
法益保護機能とは、社会生活における一定の価値や利益を保護する機能です。
これは、殺人罪(刑法199条)でいうところの、「人の命」です。

一方、自由保障機能とは、国民の行動の自由・予測可能性を告知する機能です。
これは、何が犯罪とされ、どの程度の刑罰が科されるのかをあらかじめ国民に知らせておけば、国民にとって不意打ちにならずに自由でいられる、ということです。
自由保障機能は、「法律なければ犯罪なし(byドイツ法学者フォイエルバッハ)」
という罪刑法定主義から導かれます。

なお、罪刑法定主義を支える原理は、自由主義と民主主義です。
自由主義原理によって、事後法の禁止(憲法31条、39条)と類推解釈の禁止が導かれます。
また、民主主義原理によって、刑罰法規は、国民の代表者によって構成される国会の制定した法律でなければならないことが導かれます。

さて、ここから本題の犯罪の成立要件について。
罪刑法定主義からは、犯罪が成立するためには、その行為が犯罪として禁止された観念的な行為類型にあてはまることが必要です。
この行為類型を、構成要件といいます。
さらに、犯罪が成立するためには、行為が違法、つまり社会的に有害であることが必要です。
構成要件は、社会的に有害な行為を類型化したものであるので、構成要件に該当する行為は原則として違法です。
最後に、行為が構成要件に該当し、違法であっても、あえて違法行為を行ったという法的非難可能性(有責性)がないといけません。
これは、「あえて悪さしたんだよね。悪さしないでおこうと思えばやめられたのに、やってしまったのだから、責任とろうよ。」という応報刑思想からくる考え方です。

ふんわりゆる~り、ご一緒にラストスパート!