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<BACK NUMBER>第88回 苦手克服研究所 憲法「生存権」

みなさん、こんにちは。
 
伊藤塾講師の藤田です。
 
年の瀬も押し迫ってきていますね。
年越しの準備でバタバタしている方も多いと思いますが、今年最後の一問一答をやっていきましょう。
 
 
今回取り扱うテーマは、
憲法の「生存権」です。
 
 
題材としては、「平成30年度 問題5 肢1」を扱っていきます。
 
 
まず、「平成30年度 問題5 肢1」を以下に示します。
 
 
肢1 憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を営む権利のうち、「最低限度の生活」はある程度明確に確定できるが、「健康で文化的な生活」は抽象度の高い概念であり、その具体化に当たっては立法府・行政府の広い裁量が認められる。


 
 
……
 
 
 
 
いかがでしょうか?
 
 
 
 
結論からいうと、肢1は誤りです。
 
 
以下、理由を解説していきます。
 
 
本問は、冒頭でもお伝えした通り、「生存権」に関する問題です。
 
 
そして、生存権について判例は、「『健康で文化的な最低限度の生活』なるものは、きわめて抽象的・相対的な概念であつて、その具体的内容は、その時々における文化の発達の程度、経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるとともに、右規定を現実の立法として具体化するに当たつては、国の財政事情を無視することができず、また、多方面にわたる複雑多様な、しかも高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とするものである。」としています。

このように、本判例は、「健康で文化的な最低限度の生活」について、「きわめて抽象的・相対的な概念」であるとしています。

したがって、本問は誤りです。


生存権は、手薄になりがちな分野ですが、数年に1度は出題されています。
 
 
本判例のポイントについてだけでよいので、押さえておきましょう。
 
 
今年1年、一問一答にお付き合いくださりありがとうございました。
来年、またみなさんと会えることを楽しみにしています。
良いお年をお迎えください。