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本屋とりわけ古本屋、それはメモ帳でも

 本屋に行くことが好きだ。いや、本の周辺に触れていることが好きなだけかもしれない。いやいや、活字に関することなら何でもいいのかもしれない。いやいやいや、紙が好きなだけかもしれない。本屋、古本屋、なんなら、コンビニの本・雑誌コーナーでもいい。しまいには文房具店まで。長い時間物色して買ったものは、読みきらないことのほうが多い。

 だから、やっぱり、読書好きというわけではないのだと思うし、たとえ読みきった本でも、内容はあっさり忘れている。

 それなのに、どういうわけか本に関する仕事をしているし、たまに一箱古本市に出店したりもする。本への憧れ?コンプレックス?いまだによくわかっていない。

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 久しぶりに行った街で、いつも立ち寄っていた古本屋が移転していた。古いビルのマーケットのような一角に店を構えていた。少し狭くなったが、見やすくなっていた。

 何か一冊は買っていこうと思っていた。でもあまりしっくりこない。それでなんとなく開いた文庫の1ページが折れていた。古本だから、前所有者がマーキングでもしたのかと思った。よくあることだ。

 ところが開いてみると、そのページは文庫大に収まっていない。はみ出ている。奥付を見ると「裁断ミス」と手書きしてある。少し高いが、買おうと決めた。その本の内容はほとんど見ていない。むしろまったく普段読まないようなものだったから、なおさら良い機会だと言い聞かせた。

 結局、何かに出会いたいから本が好きなのか。それが紙だと、なお偶然の出会いがあるから電子より好きなのだろうと、浅い持論を用意した。実に浅い。いや、電子書籍だって好きなのだ。活字がそこにあるのだから。

 結局結局、ただただ本という物体が好きなのだろう。だから、文具の中でもノートやメモ帳が断然好きで、その次にすきなのがペンなど筆記具という嗜好なのだと思う。

 だから、本当は書くことも嫌いじゃないのだと思う。文が上手いかどうかは、この際どうでもいい。

 ちなみに、私は「書店」「古書店」を「本屋」「古本屋」と呼びたい。その方が親しみを感じるので。

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