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「自分ひとりが選挙に行っても何も変わらないもん」

という言葉を知人の口から聞いたことがある。
その時は「まぁ村上春樹も投票しない主義らしいからねぇ〜」と返したが、今ならちがう返答をする。(高い地位にいる有名人というのは、行動の正当化に使える。例えば「親愛なるトランプ大統領だって、あいつのこと○○ってツイートしてたし〜(差別的言動の正当化)。」)

たしかに自分の一票だけでは、候補者の当落結果に何の影響もない。自らの行動によって、結果を変えることはできない。でも候補者の側ではなく、自分の側には影響を与える。投票所に行って紙に名前を書く、というだけの単純な行為が、その後何年にもわたって自分自身に作用し続ける。

『一票って自分自身を変える力もあるんです。』YellowishPink

自分ひとりには、社会全体を変える力はないし、それどころか、だれか一人に考えを変えてもらうことすらものすごく難しい。

でも、誰しもが、社会の中にただ存在しているだけで周りに影響を与えている。

ラグビーW杯のときに、「One for All. All for One.」という言葉が流行った。同僚に、口グセのようにこの標語を使うひとがいるので、対応としてその都度「でた!全体主義、同調圧力」と言うようにしている。個人はみんなのために存在しているわけではない。「自分を犠牲にして」「他の人に迷惑をかけないように。」そういった態度が一人ひとりを追い詰めてきた。だから優先すべきはチーム全体ではなく、まず自分だ。

『この世は二人組ではできあがらない』
山崎ナオコーラ

この世は、個人の集合でできている。

『個人の指向を、嗜好を、そして誰かの死でさえも、社会問題と安直に結びつけるなという。私はそうやって安直に、社会と個人を分離させる個人を許したくない。なぜなら個人が社会を作るからである。』武田砂鉄

そして、「個人」は社会とつながっている。
「なぜなら個人が社会をつくるからである。」

『私が伝えたいことは第一に、あなたは批判の順番を間違っているかもしれない、ということである。学問は大学や研究機関の専有物ではない。日々の暮らしや仕事のなかで何らかの疑問を抱き、思考を始めているあなたも、学問の担い手にほかならない。』藤原辰史 (日本学術会議の任命拒否問題に関して。)

そして、一人ひとりの日々の生活が、この世の中を(あるいは、こんな世の中を)つくっている。

いいかげん、責任を持つべきでは?




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