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マリリン襲来:高校時代…部活の話

高校受験編で無事入試を乗り切った話をしたが、
私の高校時代に欠かせない登場人物と言えばこの人。
そう「マリリン」である。
私の人生を変えることにもなったこの先輩について話をしていこう。


マリリンと言えばやはり金髪の絶世の美女、
「マリリン・モンロー」を思い浮かべるだろう。
ここで「マリリン・マンソン」しか浮かばなかった方は、
「パタヤビーチ ミッチーサッチー」で動画検索してみよう。
※解った方はきっと同世代です。

私は子供の頃、タオルケット依存症であり、
マリリン・モンローのタオルケットをどこに行くにも持ち歩いており、
自分の部屋でも、リビングでも、庭でもトイレでも、マリリンモンローのタオルに包まることで、心の安定剤となっていた。

そんな私の精神安定剤的存在であり、心のアイドルであった「マリリン・モンロー」が破壊する出来事が起きた。



高校入学後、部活動選択で私は「吹奏楽部」を選ぶ。
これは入学前に決めていたことで、音楽の選択授業が無かったため、せめて部活だけでもと入部を決めていた。
なおパートは木管楽器とだけ書いておこう。

正式に入部後自己紹介が行われた際に、とある人物と出会うことになる。
「木管パートのマリリン先輩」である。

満面の笑みを浮かべ、
「みんな!私の事はマリリンって呼んでね☆」
とウインクしながら語る彼女の瞳には、推しの子永遠のアイドル「星野アイ」のような星が輝いていたに違いない。

なお、別に帰国子女という訳でもなく、金髪美女という訳でもなく、
どこか外国を匂わせるような雰囲気があるわけでもない。
モンスターハンターに登場する「ラージャン」や「ババコンガ」を
可愛くした感じと言ったら分かりやすいだろうか。
ただ、神々のいたずらか、彼女に「マリ」という名と「強大な自信」を与えてしまったのだ。

私の中での、「マリリン(モンロー)」のイメージが崩壊した瞬間である。


だが、このマリリン、実に努力家で癖が強く、真面目で癖が強く、お茶目な一面も見せつつ癖が強い先輩なのだ。

個別練習の際でも一切の妥協は許さず、ひた向きに練習を重ね、
合奏中での指示もしっかりと把握し、
曲に乗って動く様は、ベル(楽器の音が出る先端)から蛇が出ているのではないかと思うぐらいのノリっぷりである。

また、「マリリンね、実は地獄耳なんだぁー」と自称するほどで、
合奏中、揃っていない者や、間違った者は、
パートの垣根を超え、合奏終了後お呼び出しがかかるぐらい、非常に耳がよく、自分にも他人にも厳しいストイックな先輩であった。

一度、一階校舎入口で同じ男子部員とマリリン先輩の話をしていたところ、四階の窓から「いたたまん君、聞こえてるよぉー!」と聞こえた時は戦慄したものだ。

また楽器の浮気は許さないなど、「担当楽器への愛を語る会」という名の闇討ちを行い、精神的に追い詰めるなどの「アサシン的奇策」も見せている。

愛を語るというには、部屋は暗く、締め切ってあり、百物語のような雰囲気を見せ、矯正したい部員を中心に円を作るなどカルト教団も真っ青である。


なお被害者は「私」であり、当時、窓からの飛び降りを考える程の圧力であったのは言うまでもない。

なお別の先輩とクラスメイトが事前にこっそり教えてくれたこともあり、無事今でも生存ルートを歩んでいる。


ただそんな先輩でも、唯一、心が緩むときがある。
それは休みの日の部室で取る、お昼休憩だ。

普段吹奏楽部のお昼では、金管パート、木管パート、打楽器パートに分かれ、円になって昼食をとるのだが、
スカートの中が見えないよう手で股の間を隠しながら、
美味しそうに「おにぎり」を頬張る彼女の笑顔が今でも忘れられない。

女性には興味がないながらも、その太ももの厚みだとスカート抑えないと見えちゃうよね、と食事中のその配慮には関心したものだ。


そんなマリリン先輩によって、学校生活の部活動は充実し、
恋愛対象も男女の垣根が無かった私だったが、女性恐怖症になりかけ、オカマとして育っていくことになる。

きっと今の自分があるのは、マリリン先輩が居たからだろう。


昨今では、美容系Youtuberのマリリンなどが登場し、私の頭の中のマリリン像が、本来のマリリン・モンロー側へ訂正されつつある。

あの当時、マリリン先輩がカットクリースの技術やメイク術を身に着けていたならば、もっと美しく輝いていたに違いないだろう。



#創作大賞2023
#エッセイ部門



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