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不動産テック業界で求められる「コンプリート人材」とは?

※本記事はイタンジ前CEO 野口 真平の記事です

本ブログは、イタンジ株式会社代表取締役 野口 真平が、不動産業界においてSaaS企業を経営する中で、日々感じたことや考えていることについてつづります。

第一回目となる今回は、不動産テック業界において活躍する人材について。市場からどのような人材が求められ、企業としてどのような人材を育てるべきなのかを考察します。


不動産テックにおける「コンプリート人材」


曲がりなりにも不動産テック領域で7年間携わってきて、セールス・CS・マーケ・システム開発、人事と幅広く業務をこなしてきた。

そこで感じたのは、不動産テック領域でテクノロジーのことも不動産のことも深く理解し、加えてその職種としてプロフェッショナルな「コンプリート人材」は極めて少ないということだ。

「コンプリート人材」という言葉は、サッカーのJユースをめぐるドラマを描いた漫画『アオアシ』から拝借している。「サイドバック(SB)」というポジションを極めた選手が世界的にも存在していないことから、主人公はFWからSBへと変更し、「攻撃」も「守備」もこなせる世界NO.1サイドバックを目指すというストーリーだ。

なぜこの言葉を最近使い始めたかというと、我が社イタンジでも漸く活躍する人材の定義ができてきて、特にセールスやカスタマーサクセス(CS)、開発において求められる要件が定まったからだ。結論、自分たちのサービスに関わる「テクノロジー」と「不動産業界」のことどちらも深い理解をしていなければ顧客への高い価値提供ができないということがわかった。

さらに、職種が掛け算されて、セールス職であれば「営業力」と上記2つの知識を深めていくことによって不動産テック業界で求められる「コンプリート人材」を目指せる。そんなふうに社内でこの言葉を使い出した。

不動産業界の特殊性

イタンジの提供しているサービスが不動産特化型のSaaSだからことさら実感するのだが、クライアントである不動産会社とシステムの導入に関する話をしていると、まずこの複雑怪奇な不動産業界の慣習やオペレーション、あるいは業者同士の関係値を理解することに戸惑う。
パッケージ化されたSaaSであったとしても、彼らの業務フローや、会話の中で飛び交う不動産用語を理解していなければ話が前に進まない。エンタープライズであれば、サービス導入前の要件定義がより重要になってきて、その理解が及ばないことにより失注に至るという経験を幾度も重ねた。

特に、不動産業界は非常に政治的な側面があるので顧客がどんな団体に所属し、周囲とどういった関係性なのかを理解することも重要である。私もその辺りはまだまだ勉強不足で、たまに地雷を踏んでしまうのだが、ご愛嬌ということにしておこう。(実際は致命的なダメージになることもあるので要注意)

不動産業界で厄介なのは、エリアや会社単位によってその業務内容が異なり、理解を深めていくのに時間がかかるし、本に書いてあるようなことではないので実際に経験することが必要となる点だ。

かつて、某有名なIT企業から何人もイタンジへ転職してきてくれたが、不動産業界のことを理解するのに時間がかかり、期待されたパフォーマンスを発揮するまでに時間を要した。あるいは途中で辞めていってしまった。(今ならそういった人が学べる環境が用意できていると信じたい)

業界に特化しないIT企業では、特定の業界知識はさほど必要ないだろう。
しかし、業界そのものをITを軸にしてビジネスモデルの変革を行うDX企業においては、その業界に特化して詳しくなる必要がある。Uberに勤める人はタクシー業界に、エムスリーなら医療に、OYOならホテルに詳しくなっていくだろう。

コンプリート人材を育て、業界を変革

DXを期待される市場はレガシーだったからこそ今になって注目をされているのであって、IT系の人材が育つ土壌ではなかった。それゆえ、業界に特化したテック人材は希少価値が高く、企業にとっては人材が大きな差別化の要素になる。

不動産テック領域で成長している会社を見渡すと、「不動産」と「テック」どちらも理解しているキーパーソンが存在し、そういった人達が会社を牽引している。しかし、このダイナミックに成長を続ける不動産テック市場は、まだ序盤も序盤、山でいうと2合目あたりに到着したような成熟度であるため、そういった人材が少なく、まだまだ理解の深さも足りていないように見える(私も日々勉強中)。

我が社が今後成長を続けられるかどうかは、どれだけこの「コンプリート人材」を育てられるかにかかっている。人材こそが最大の差別化であると肝に命じて、最もコンプリート人材を輩出する企業になろうと思う。

我こそはと思う方はぜひイタンジの採用門戸を叩いて欲しい。ただ、ぜひ事前に知っておいて頂きたいのは、このDX市場においては1~2年程度で出せるアウトプットはたかが知れているし、その人にとってのキャリア形成にはならない。入るのであれば、業界自体を変革させるのに足る年月(最低でも3年)は腰を据えてやならなければあまり意味がないと思う。

その代わり、当社の成長を牽引する人材となれば、業界自体を変革するとびきりユニークな体験と、どこからも必要とされるコンプリート人材となれる成長環境があることをお約束しよう。


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