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81.4ヵ月間の日本滞在

いろいろな理由が重なって日本に長期滞在することになりました。
2023年10月半ばから2024年2月半ばまでの4ヵ月間です。


本当は派遣で働きたかった

イタリアに移住して10年、こんなに長い時間、日本に滞在するのは初めてです。
いつもは長くてせいぜい6、7週間、短いときだと10日間ほどでした。

この長期滞在を決めたのは夏の初めのころです。
日本からのお客さまが思っていたより少なく、いつもなら秋に何組か来るのに予約どころか問い合わせも入っていません。

さらに物価の高騰に伴い光熱費も上がり、そこへ住民税や所得税の支払いも重なってきます。
ユーロに対する円安傾向も高まってきて、円をユーロに換えて支払う状況は、数年前と比べるとあまりにも大きな負担となり経済的に不安を感じていました。

それで本当は日本にまとまった期間戻り、昔のように派遣で働ければと思ったのです。
待っていても来ないお客さまを待つより、少しでも稼いだほうが良いと思いました。

さっそく派遣会社に登録しますが、Zoom面接のときに言われたひと言に日本で働くのはムリかもしれないとうっすら思います。
アラカンにして10年のイタリア滞在を経ての仕事復帰、さらに4ヵ月という短期間では紹介できる仕事はないと思う、と言われたのです。

面接官の言葉通り、結局、4ヵ月の日本滞在で派遣の仕事に就くことはできませんでした。
イタリア語ができても日本ではまったく需要がないようです。

献血で血液検査

せっかく4ヵ月も日本にいるので、イタリアにはシステムにない健康診断やイタリアではいろいろな意味で怖くて行けない歯医者さんへ行きたいと思っていました。
この10年間、数年前の帰国時に1度健康診断を受けただけだったからです。
しかし、元から体が丈夫なうえ病院へ行くことが好きではないし、節約モードなのでなるべく医療費を使いたくありません。

そこで献血をして血液チェックをしてみて、どこか悪いところがありそうなら病院へ行くことにしたのです。

実はその前に帰国したときも献血をしようと思ったのですが、できませんでした。
輸血による各種ウイルス感染を避けるため海外から帰国した人は、4週間経過してからでないと献血できないということをご存じですか?
前回はちょうど28日目にまたイタリアへ戻ってしまったので、本当にギリギリでできなかったのでした。

そこでこのときの帰国では30日目に予約をして献血センターへ。
数日後に出てきた診断結果はまったくの健康体だったので、結局、病院へは行きませんでした。

月に1度のローマ食堂

日本へいる間はせっかくなので、ローマ食堂だけはやろうと決めていました。
一時帰国のたびに開催している占いとイタリア料理のコラボイベントです。
さっそく占い師の友人に聞いたら快諾、スケジュールを調整してくれると言います。

開催場所もいろいろ考えた結果、やはり友人であるカフェオーナーに頼むことにしました。
前回やらせてもらってからコロナを挟んで4年、今や人気店となっているので迷惑かと思ったのですが、月に1度、土日を貸してくれることになったのです。

こうして、イタリア好きの皆さんとお会いしてイタリア料理を提供し、ブラッチャーノ旅のプロモーションをするという機会に恵まれることになりました。

日本では買えないブラッチャーノ湖畔のワイナリーのワインを提供
食材はすべてイタリアから持ち込みました
パンも大量に持ち込んで冷凍保存
10月は野生フェンネルの花のハーブを使ったお料理
11月は熟成バルサミコの食べ比べ
12月は塩漬けアンチョビを楽しむ食堂
1月は日本で買えるイタリア食材で。プンタレッレとアンチョビのサラダ
冬が旬の国産レモンでスパゲッティ
ドルチェも月替わりで。カッフェ・アッフォガートとイタリアのビスコッティ
食後酒のジェンツィアーナもイタリアから。リンドウ根を煎じたリキュール

イタリアから珍しい食材を持っていき、月替わりで提供するという企画にしました。
日本ではまだ知られていないし買うこともできない美味しいものがイタリアにはたくさんあるのです。
初めて口にするどころか、存在そのものを知らなかったという方が多かったです。
おかげさまで大盛況、食材が変わるので毎月いらして下さる方まで出るほどでした。

こうして毎月イタリア好きの方々と接していたのですが、中には料理を楽しむというよりイタリア留学や移住についての話を聞きたいという方が思ったより多くて驚きます。
旅行ではなく、もっと長期的にイタリアに滞在したいと考えている人たちです。
これがきっかけとなり『イタリア移住にまつわる101のこと』を書くに至りました。

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