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四畳半の世界

 我が家の四畳半、本の世界だ。

 白い両開き普通サイズの本棚と横長の本棚。横長の本棚は木製で、劣化しているのだろう。底板がしなっているのが特徴だ。どうしても本棚に入りきらない歴史書はサカイの段ボールに入ったまま、畳には本棚を組み立てた時に出た木材のクッションが落ちていて、辺りにはデートで使おうとし、妄想の上で購入したSAVVY京都特集とBRUTUS危険な読書が文庫本に埋もれている。書店のカバーがかかった本、かかっていない本。エコバックに入った大量の絵本も忘れてはならない。

 以上がラインナップだ。

 この世界が一番落ち着く。ここに実家で余っているレコードを導入しようと思っている。なにが嬉しいって、この部屋からバルコニーに出られることがだろう。外に出て欄干に腕を預け、階下の世界を上から見ることが出来る。あまりにぼうっとして、下に落ちないようにしなければならない。

 もう大丈夫かもしれないが、家の近くにある中学校のプールには気を付けなればならない。女子生徒の水着をうっかり見てしまえば、部屋に中学の教師が現れるやもしれぬ。

 本棚周辺はもう雑多である。実家にいた頃から望んでいた本に埋もれる世界の構築はほぼほぼ完成されている。理想はここに人をダメにするソファを導入することだが、次に引っ越す時に荷物は少ない方がいい。ここに永住するわけでもないのだから。しばらくは無印良品で買ったくたびれた座布団で十分だ。

 背中を預けるには棚は少し痛いが、これも仕方がないとして受け入れている。

 私は今、友人の頭が欲しい。少し難しい本を読む友人に追いつこうと、彼がすすめてくれた本を貪り食うように読んでいる。ところが一色センサーに引っかかるが、彼のセンサーに引っかからない本もあって、贅沢読みをしているうちに積読が増えていく。前までは一冊ちゃんと向き合っていたのに。

 でもそれはそれでいいのかと、今日も夢の部屋で楽しくなりながら過ごす。