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【投資】投資詐欺には気をつけましょう〜ポンジ・スキームとは?

2024年1月末に急にサービスを停止した高級時計のシェアリングサービス「トケマッチ」。運営会社の元代表が業務上横領容疑で指名手配されたようです。詐欺だったということですね。


トケマッチのサービスとは?

記事によるとトケマッチは、所有者に預託金を支払い、預かった高級腕時計を使いたい人に貸し出すサービスを展開していました。しかし、1月末に突然同社は解散を発表し、複数の所有者から「腕時計が返却されない」といった相談が全国の警察に寄せられていたそうです。

所有者への預託金(預託使用料)の支払いの原資は使いたい人からの使用料だと思いますが、使いたい人がいなければその原資をどこからか調達してこないといけません。他の記事によれば、預けたロレックスとシリアルナンバーが一致する腕時計がネットオークションなどに出品されているなど、要は「所有者から預かった腕時計を、勝手に売却して資金化し、預託使用料に充当していたか、個人で勝手に使っていたか」ということかと思います。

詐欺の典型手口、ポンジ・スキーム

トケマッチのケースは、いわゆる詐欺手口でよく使われるポンジ・スキームと似た手法です。ポンジ・スキームとは:

「出資してもらった資金を運用し、その利益を出資者に(配当金などとして)還元する」などと嘘を語り、実際には資金運用を行わず、後から参加する出資者から新たに集めたお金(の大半)を、以前からの出資者に向けて"配当金"などと偽って渡すことで、あたかも資金運用での利益を出資者に配当しているかのように装い、破綻することを前提に騙し取る手法

Wikipedia

です。要は「新たな出資者から得た資金を、以前からの出資者への配当に回す」"自転車操業"的なスキームです。会員が別の会員を勧誘して利益をあげていく"階層"的システム(ピラミッド・スキーム)のねずみ講とは定義が異なりますが、日本ではよくそれらもごちゃ混ぜにして"ポンジ・スキーム"って言われたりしますね。

今回のケースでは、「出資してもらった時計を運用し、その使用料を出資者に(預託使用料などとして)還元する」といって時計を集め、実際にはその時計だったり、後から預けた人の時計を現金化して、あたかも預託使用料として配当したいた、ということでポンジ・スキームに近い形かと思います。

トケマッチ破綻以前の評判は?

トケマッチが突然解散を発表したのは今年の1月末ですが、それ以前から「怪しいのでは?」という声もあったようです。今「トケマッチ」でググってみると、当然ですが破綻後の話が検索結果の上位を占めますが、ではそれ以前ではどういう評判だったのか、ちょっと確認してみたいと思います。

2021年9月には以下のブログで、「ポンジ・スキームではない」ということで、トケマッチのサービス内容が紹介されています。「怪しいのは誤解!」ってわざわざ書いてあるので、2年以上も前から「怪しいのでは?」と思っていた人はいたようですね。

また以下のサイトでは、2023年8月(半年くらい前ですね)になってもわざわざ「怪しい会社という噂がありますが、それは本当なのかについても徹底リサーチをしています。結論から言うと、トケマッチはユーザー満足度の高い、信頼のある会社だということがわかりました。」と言って紹介しています。何をリサーチしてたんですかね(笑)

上記のサイトは1例ですが、トケマッチから宣伝料とかもらってたんですかね。おそらくは今後削除されるかもしれないので、記念にスクショで保存でもしておこうと思います(悪趣味^^;)。

増える「投資勧誘」の広告

なぜ今回この記事を取り上げたかというと、ここ最近、新NISAのスタートや日経平均高騰の影響もあり、おそらくは投資に関心を持ち始める人たちが増えてきたということで、やたらとSNSで投資勧誘の広告を目にするようになってきたからです。

既に本人達も否定していますが、堀江貴文氏や個人投資家テスタ氏の名前を使い、投資情報の提供ということでLINEで繋がり投資勧誘をする詐欺。これは最近騙された方々もニュースになってきてますね。これはポンジ・スキームでもなんでもなく、ただの詐欺です。

ちょっと気になるのは、不動産投資関連の勧誘広告ですね。ここでは全てが詐欺だと言うつもりもないですが、不動産投資なのに、「預金感覚」だったり、「実勢相場以上の利回り」を謳っていたり、「元本割れ無し」をことさら強調していたり、調べてみるとスキーム的に微妙だったり…

「これ、ポンジ・スキームじゃないのかな?」と懸念されるものはあります。でも、これって破綻するまでわかりません。ババを引くのは最後の方の投資家ですね。最初の方に投資をして、ちゃんと元本と配当が返ってきた人はラッキー、でもそういう人って味を占めてたぶんそのまま次のファンドに投資したりするんでしょうね。

あと面白いのが、「少額から投資できます!」ってアピールの横で、「相続対策」も謳っていること…ただ、相続税って3,000万円+600万円✖️法定相続人までは税金がかからないんですよね。要は相続税を気にしないといけない人、そんな小口の投資やっている場合ではないです。ターゲットとアピールしていることが微妙。適当にマーケティング的な言葉を並べただけとも言えますね。

ここでは具体的な名前は避けますが、ググってみると「怪しい」という議論が展開されているものもあれば、「怪しいという評判がありますが、実際は怪しくない」という議論が展開されているものも。まさに上記で紹介したトケマッチと同じ状況です。

ではどう対策をすればいいのか?

ではこのような溢れる投資勧誘広告、騙されないようにするにはどうしたらいいのでしょうか?いくつか思いを羅列してみました。

  • 投資初心者は、まずはオーソドックスな手法を検討する。大手の証券会社で口座をもち、そこで買えるもの(個別株、債券、投資信託)だけで十分。それ以外のものへの資金のやり取りは絶対しないこと("この口座へ振り込んでください"っていうの、絶対ダメです)。不動産だって、REITという商品がありますからね。「投資初心者は…」と書きましたが、正直、誰でもこれだけで十分。余程当方のように投資好きではない限り、それ以外のものに手を出す必要はないですね。

  • 市場実勢を知ること。例えば金利は今どれくらいなのか?不動産市場の利回りはどれくらいなのか?そして勧誘されている投資商品の利回りはそれに比べてどれくらい高いのか?なぜそんなに高いのか?例えば「利回り7%」と謳ってたとします。いま都内のいい物件の利回り、だいたい3%〜5%くらいじゃないですかね。J-REITの分配利回りもだいたいそんなもんです。それを上回る利回り、嘘ではないかもしれませんが、であればどうやって正当化されるのか自分で納得できないといけません。

  • そもそも今の不動産市場、いい物件は投資家達で取り合いです。そんな美味しい物件、絶対に回ってきません。あるとすれば、建築基準法違反で再建築不可か、あるいは素性の悪い方々が関わっていて、一般的な市場取引では売買しづらいか…まあいずれにしても、そういう過熱感のある市場で、なぜ面倒な小口の個人投資家を集めないといけないのか?素朴な疑問です。

  • これ、不動産だけではないですね。それ以外の資産クラスでも、伝統的な資産クラス(株とか債券とか)ではないものが個人向けに提供される場合、「なぜそれは大手の機関投資家向けではなく、個人向けになっているのか?」は冷静に考えたほうがいいですね。

もちろん、なんでもかんでも詐欺というつもりはありません。大手企業が運営している、ちゃんとしたものもあります。ただそれであっても、一般的な証券会社を通して買える商品以外に投資をするメリットってどれくらいあるんですかね、とは思います。

#日経COMEMO #NIKKEI

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