【投資】相場急落時の対応(その2)〜中長期のマクロ見通しを再点検
昨日(2024年8月5日)は日経平均株価が4,451円下落と、下落幅では1987年10月20日のブラックマンデーを超え史上1位の下げ幅。下落率でみても▲12.4%と、ブラックマンデーの▲14.9%に次ぐ史上2番目という歴史的な暴落日となりました。
そんな今日(2024年8月6日)、午前中の現時点では逆に3,000円超の反発と、今度は上昇幅で史上1位となりそうな勢い。なかなかボラティリティの高いマーケットとなっています。
こういう環境下では、自分も含め"長期投資"、"超長期投資"を志向する個人投資家は、パニック的な市場の動きに影響を受けて拙速な判断をしないことが重要です。
前回の(その1)では、相場の上下に関し「"幅"ではなく"率"で見ろ」というのも、年齢・ライフステージや、投資している絶対額によって受け止め方は異なるという話をしました。
(その2)となる今回は、まずは自身のいまの戦略の前提となっている中長期的なマクロ経済・金融市場の見通しについて、その前提がいまも妥当なのかどうか、点検したいと思います。
金融政策のサイクルを重視する
当方の投資対象は基本、日本と米国。そして3年から5年という投資ホライズンを想定し、方向性は両国の金融政策(政策金利の方向性)を重視しています。
マクロ経済の専門家でもない私。そんな私が各国の経済指標を分析したってたいしたこと分かりません。であれば、そういった専門家がそれぞれの国のマクロ経済環境を精査した結果である金融政策を見ておこうかな、という考えです。短期的な相場のあやを掴むのではなく、長期の方向性がつかめればOKな長期投資家にとっては、それで十分と思っています。
米国の金融政策 - 今後は利下げ方向
米国はコロナ禍からの正常化の過程で過熱するインフレを抑制するために、2022年3月より政策金利の引き上げを開始。足元は5.50%となっています。この2年で計11回、5.25%の利上げ幅と、短期間で積極的に利上げを行なってきました。
利上げはインフレの抑制、そして過熱する景気を冷やすことが期待されてます。つまり、景気にブレーキをかけている行為です。ここ1年は様子見が続いてますが、今後「利上げの効果が出始め、米国の景気減速、そしてそれを受けた株価の下落」というシナリオが想定されます。
この見通しは、昨年8月(ちょうど1年前ですね)、度重なる利上げを受け米国のイールドカーブ(利回り曲線)が逆イールド(長短金利差が逆転、短期金利が長期金利より高い状態)になった時にも議論しました。
どうやら足元ではこの逆イールド状態は解消されつつあるようですが、ベースとなっている「米国景気減速→株価下落」という想定、そこは引き続きそう想定していてもいいのかなと思っています。
日本の金融政策 - 利上げはしたものの…
日本は今年の4月、8年にもおよんだマイナス金利政策を解除し、政策金利を0.10%と引き上げ、そして7月にも追加利上げ、政策金利を0.25%としました。正直、これに関しては微妙な気分でしょうか。過度な円安による輸入物価の上昇、そして(自然発生的ではなく)政策に強制された賃金の引き上げ。「マイナス金利政策を終わらせたいがための利上げ」そんな風にも感じました。日本の景気の先行きはよくわかりませんが、今後この利上げが継続されるとも思えません。むしろ米国の影響を受けて失速もあるかな…と。
為替(ドル円)の見通し - 2国間の金利差を重視
当方、為替(ドル円)の見通しについては、日米2国間の政策金利差を重視しています。日本の政策金利に関してはさらなる利上げは想定できず、一方で米国は逆に利下げ局面入りしていく、つまり日米2国間の政策金利差は今後はこれまでの"拡大"局面から"縮小"に向かうということになりそうです。
為替の見通しについてもちょうど1年前、以下のnoteで議論。日米金利差の縮小からこれまでの円安トレンドは終了するであろうと想定していました。
思ってたよりも時間はかかりましたが、足元では140円台と、160円台といったような過度な円安水準からは戻ってきています。ただこれを"円高"と呼ぶのはどうなんでしょうね?
以下のチャートは2010年頃からのドル円の推移ですが、まだまだ長期的な観点でみると"円安"水準です。今後、米国が利下げ局面入りし、どれくらいまで政策金利が下がるのかにもよりますが、中長期的には120円くらいまで戻ってくる可能性は十分にあるのかな、と思ってます。
日米の株の見通し - 慎重姿勢
ではこうした環境下、株価はどうなるか?ということですが、上記添付したnote("逆イールドと株価の先行き〜今回はどうなのか?")でも議論しましたが、過去の景気後退局面、今度は中央銀行による利下げが功を奏し、それほど株価は売られてないんですよね。おそらくは今回のように短期的なショックはあろうかと思いますが、むしろそういう時も「結局は買い時」ってことになろうかと思います。
なお個人的には、いまのAIに対する過大な期待は冷やされる可能性はあると思っています。2000年の頃のインターネットバブル期、もちろんインフラとしてのインターネットは大事だし、結局その通り、今ではインターネットは当たり前のインフラとなりました。ただ当時、「ではそれでどれだけ儲けられるのか?」という点で、実態のないままに過度に期待だけが膨らんでいました。
それと同様のことがAIにも起こってくるのでは?と。おそらくAIは将来にわたり欠かせないツール/インフラになっていくことは間違いありません。ただ、それでどれくらいAIサービス提供者が儲かるのか?そこはまだ未知数です。今はそのAIに必要なツールを提供する半導体メーカー(要はエヌビディア)ばかりが儲かってますが、その先の関係各社が儲からないことにはいずれその期待も弾けるのかな…と。
年初から行なってきたこと - そんなに的外れではなかった
上記で議論したきたことを背景に、このnote上でも紹介してきまいたが、年初から、海外資産(米国株・ニュージーランド不動産)から日本円へのシフト、そして日本国内ではJ-REIT(物流中心)、そして円高恩恵銘柄の購入を行なってきました。まあやってたことは間違ってなかったとは思いますが、ただちょっとキャッシュを使いすぎてましたね。もうちょっと今回下落のためにキャッシュを残しておいても良かったのかな…と思ったりもしてます。
次回、(その3)では今日点検したマクロ・金融市場の見通しをベースに、現在保有している個別銘柄をレビューしたいと思います。
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