【投資】逆イールドと株価の先行き〜今回はどうなのか?
先日の記事、「ビジュアルデータ:FRBと日銀、3Dイールドカーブが映す市場との攻防(日本経済新聞)」において、日本経済新聞社がWEBサイトにて提供している"ビジュアルデータ「FRBと日銀、3Dイールドカーブが映す市場との攻防」"を紹介しました。その際に、現在は米国は短期金利の水準が長期金利の水準を上回る"逆イールド"の状態にあり、過去においてはその後しばらくして株価の下落を招いていたので、個人的には今気になっているところと述べました。今回それをもう少し深掘りしたいと思います。
逆イールドとは?
金利には"期間の概念"が存在ます。日銀やFRBといった中央銀行の政策金利に影響を受ける短期金利(3ヶ月とか1年とか)、また長期の国債等、長い期間の借入・貸出の基準となる長期金利(5年とか10年とか)。期間をX軸とし、それぞれの期間における金利水準をY軸としてグラフ化したものを、イールドカーブと呼んでいます。
正常な状態であれば、期間が長くなればなるほどリスクも高くなることから投資家は高い利回り(金利)を要求します。したがって、イールドカーブの形状は期間が長くなる(X軸の右に行く)ほど高くなる、右肩上がりの形状になります。これを順イールドといいます。
これとは逆に、期間が長くなればなるほど利回り(金利)が低く、イールドカーブの形状が右肩下がりになっている状態を逆イールドと呼びます。現在がその典型的な状況で、米国FRBが積極的な利上げを行い短期金利は上昇、一方で市場は短期金利の利上げにより今後の景気が冷やされることを懸念し、長期金利はむしろその懸念を反映し低くなる、ということにより逆イールドという状況は起こります。
過去の逆イールドと米株の動き
現在は2022年3月末以来、米国では逆イールドの状態になってます。過去においては逆イールドになった後、景気後退→株価の下落が引き起こされてきたと記憶してますが、それに関して、以下のレポート("米国における逆イールドと景気循環と株価の関係" by 三井住友DSアセットマネジメント)がまとめてくれています。
ポイントは:
1978年以降、過去6回の逆イールド状態の全てのケースで、その後約1年半後に景気後退を迎えた
しかしその期間平均してダウは2桁の上昇
景気後退後の株価はどうなの?
現在も逆イールドの状態が継続し、米国の景気後退局面入りが懸念されますが、では過去、景気後退局面での株価はどうなっていたのでしょうか?これに関してはJP Morgan Asset Managementの以下の記事が役に立ちます(いつもWebで利用可能なレポートに頼ってます^^)。
このレポートのポイントとしては:
1949年以降、米国は過去11回景気後退期を経験、その局面では株価も大きく下落した
一方でこの景気後退局面の平均期間は11ヶ月と1年に満たない
そしてほとんどのケースで、この1年に満たない期間中に株価は底値をつけて反転上昇している
では今回はどうなるか?
過去における逆イールドの状態とその後の景気状態、株価の動きが整理できたところで、自分の関心ごとは、「では今後はどうなるのか?」ということです。市場では現在、利上げサイクル終盤を迎えた米国の景気後退があるのか、それともないのかについていろんな議論が出ています。
長期的な投資ホライズンで運用している個人投資家(自分のことですが)としては、現状は以下のとおり考えています。
景気後退局面入りするのかしないのか、そこを当てにいくことはしない。
ただ、基本的には最近の継続的な利上げによって、米国景気がそれなりに冷やされるであろうことは想定しておく。
景気後退局面に入るからといって、現在の米株のエクスポージャーを減らすことはしない(たとえ20〜30%下がっても困らない)。
むしろ、来年以降、過去と同じように株価が下落する局面が来たら(その時はちょっとドル安になるかもと期待)そのタイミングで米国株の追加購入を検討。
理想的には、新NISAがスタートする来年早々に米国株価が下落してくれているとむしろ嬉しい(笑)
結局景気後退局面入りせず(ソフトランディング)株価も堅調であれば、それはそれで結果オーライとする。
相場なので最終的にどうなるかはわかりません。個人投資家としては、中長期的な観点で上記のとおりのシナリオ、心づもりだけしておこうと思ってますし、それで十分だと考えてます。
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