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一語一絵

「たすカルピス」「四十歳は二度目のはたち」「トースト娘できあがる。」「和イスキー」槇木準さんのコピーライティングはコピーだけを聞くと駄洒落じゃん、誰でも思いつきそうじゃん、と感じるくらいシンプルです。

でもこの言葉にビジュアルが加わり、グラフィックデザイナーの手で文字組が施され、メディアとして世の中に出た時に時代を切り取ったかのような輝きをはなちます。企画と言葉に多くの人が関わり、悩み悩み悩んだ結果、積もり積もったアイデアから引き算された言葉は、やはり強いと思います。

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80〜90年代初期は広告全盛期の時代。僕は77年生まれですから、うっすらとしか覚えてない広告が多いですが、後追いで資料として集めてみるとCMというよりアプローチがアートなんですよね。

ヨーゼフ・ボイスが提唱した「社会彫刻」のように社会の幸福・明るい未来に寄与すべくクリエイターの創造性が爆発していたこの時代。実際、高度経済成長で企業にもお金があったから文化投資的な側面も強かったと思います。制作にかかる部分はもちろん印刷のサイズや仕様へのこだわりなど、ある意味で「浮世絵文化」が昭和にまた花開いたような芸術性を随所に感じます。

なんでもない言葉だけど心に残って、ちょっと気持ちがあたたかくなる感じがする言葉。眞木準さんは2009年に60歳の若さで亡くなってしまいましたが、もしご存命なら今のコロナと共にある時代にどんな言葉を刻んだろう、と考えてしまいます。

コピーを読んで、ビジュアルをみて、さらにボディコピーや背景の話を読んで・・とまさに一語一絵で楽しめるアート本です。

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一語一絵(2003年、宣伝会議、眞木準)


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