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#38 東京と言ったら東京タワー?スカイツリー?

2006年の春。

今となっては時代遅れの開襟シャツにブレザー、そして丸坊主という出立で東京駅に降り立った12歳の僕。
大阪から東京の街に出てきた時のことです。
今日は僕の東京との思い出について少し。

母の日と東京タワー

2007年の母の日。
雨は降ってなかったけど傘は持っていた記憶がある。
池袋の路上って雨が降ると、いつにも増して汚くなる。

その週末は部活を休んで、東京に出てきていたお母さんと映画を観に行った。
「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」

母の日にお母さんと二人で観る映画じゃないことは確か。
映画の最後の方に二人で号泣したこと。そして勝地涼の変な踊りが強烈に記憶に残っている。

リリ・フランキーっていい話書くし、いい演技する。
そういえば、お母さんと映画二人で観たのってあれが最初で最後だったかな。

くるりと東京

中学二年生になってロックバンド、くるりを聴く。当時持っていたiPod 20G。

ダウンタウン浜ちゃんの「チキンライス」しか入っていないiPodに、友達に適当に入れてくれたバンドの一つがくるり。 


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中でも「東京」って曲にはまった。となれば完璧なんだけど、残念ながらそうはいかず、ずっと聞いていたのは「春風」。

揺るがない幸せが、ただ欲しいのです
僕はあなたにそっと言います
言葉をひとつひとつ探して
花の名前をひとつ覚えてあなたに教えるんです

気づいたら雨が降ってどこかへ行って消えてゆき
手を握り確かめあったら
眠ってる間くちづけして
少しだけ灯を灯すんです


坊主の中学生が、電車の窓の外を眺めながら「くるり」聴いて、たそがれてるなんて、今思えばかなり恥ずかしい。
でも高校生になっても、洗濯物を干すときには決まって「シャツを洗えば」を聴いていた。
そういえば、洗濯物を干さなくなってもう何年経つだろうか。

新幹線

長期休みが終わって、東京へは新幹線で戻る。
ホーム側の窓際の席が取れなかった時は、家族に手を振り返すのが急に億劫になる。
サラリーマンたちにチラチラ横目で見られるあの視線が嫌で嫌で。
心の中で早く発車してくれと祈っている、あの数分はとてつもなく長く感じたもの。


新幹線が発車して、駅のホームまで送ってくれた家族の姿が一瞬で見えなくなったあの瞬間。
あの瞬間が嫌いでどうも新幹線で出かけるのが慣れない。
さっきまで手を振る家族が嫌だったのに、なんか急に寂しくなる感覚。
言い忘れたことないかなとか、この後どんな気持ちで家まで帰るのかなとか。

でも電車は止まらないし、戻れない。東京駅で降りないといけない。

そういえば、アメリカに留学に来る時もお父さんは仕事を抜けて新大阪駅まで送ってくれた。
距離が遠く慣ればなるほど、会うことも大変になる。そのことを新幹線には思い知らされているようで辛い。

東京駅に着く少し前、左側の車窓から東京タワーがチラチラ見える。
高層ビルの間から少しだけ見えるあの姿は、中学の頃から変わっていない。
中学から10年間。色々僕も僕の周りも変わったけど、東京タワーは変わらず東京の街を見下ろしてくれている。

やっぱり俺は東京タワーがいいや。


ほなまた。


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