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No,258.【自分らしく生きることについて】-他人からの評価に左右されず自分らしく生きられる人についてー


はじめに

YouTubeでトー横キッズに「どんな大人になりたいですか?」と質問していた。
『そりゃ自分らしく生きるっしょ』

ん?自分らしく生きる??どういうこと?自分らしく??
といった疑問が‥

自分らしく生きる【自尊感情】

心理学では、他人からの評価に左右されずに自分らしく生きられる人のことを自尊感情という。
Deci & Ryan(1995)は、基準(他者や環境)によらずただ自分らしくいることで自然と生じる感情を自尊感情(true self-esteem)と述べた。

小塩(1998)は、自己の価値についての肯定的な感情である自尊感情は、長い間精神的健康や主観的幸福感の高さを予測する重要な要因と捉え、全般的な自尊感情が高いほど適応的であるとした。

これらの研究で述べている自尊感情は、基本的には自分自身の内的部分であり、言い換えると自分自身の誇りといった感情から喚起されている適応的な自尊感情だろう。

物事には表があれば裏もある。
適応的な自尊感情があるなら、不適応な自尊感情も当然あるだろう。

不適応な自尊感情(随伴的自尊感情)について

近年ではこの自尊感情には適応的なものと不適応的なものがあることが報告されている(Baumeister, Heartherton, & Tice, 1993)

先ほど述べた自尊感情は他人からの評価に左右されずに自分らしく生きられる人といった、前者(適応的)である。

では不適応な自尊感情とはどういったことだろう。

不適応な自尊環境とは、自己価値の感覚が何らかの基準に依存して生じる自尊感情のことで、随伴性自尊感情という。
つまり随伴的自尊感情を保つためには、
①他人の評価や社会的な成功、物質的な富など、外部の要因に大きく依存する。
②状況や結果に応じて自尊感情が大きく変動します。一貫した自己評価を保ちにくい。
③ 外部の評価が変わるたびに自尊感情が揺れるため、精神的な安定が得にくく、ストレスや不安を感じやすくなる。
といった周りからの影響で変化する自尊感情のことである。

他者から賞賛されたい不適応な自尊感情(随伴的自尊感情)について

不適応な自尊感情を保つには他者からの賞賛により維持する感情である。
例えば、自分の優れている点をもっと賞賛されたいと思う、「人より優れている」というように他者から評価されたい、周りの人からいつも「すごい」といってもらい!たいなどである。

この他者からの賞賛を得ることで保つ不適応な自尊感情は、「自分の能力は人並みかもしれないがそんな自分でもよいと思える」感情や 「 私は平凡かもしれないがそんな自分を好きだと思える」といった適応的な自尊感情を低下させる(負の相関)との研究結果が示されている。

考察

随伴性自尊感情が高い者は、随伴性自尊感情が低い者に比べ、ポジティブな出来事をよりポジティブに、ネガティブな出来事をよりネガティブに評価し、出来事が自身に与える影響を大きくしていると報告している(小池・宮本(2014)。

つまり不適応な自尊感情である随伴性自尊感情は他人の影響で自分に自信が持てたり、自信がなくなったり他人に影響されるということだろう。

よって他人に左右される「自分らしさ」の重要な要因である本来の自尊感情でないことがわかる🥲

さいごに

自尊感情は一般的には【プライド】といっていい。
個人的には、日本人がよく使う「プライドが高い」とか「プライドを守る」といった言葉に少し違和感を感じていた。
それは不適応な自尊感情に近い意味で使われているからだろ。

本来の自尊感情とはプライドのことであり、いわば【誇り】である。

「インデアンの誇り」は、ネイティブ・アメリカン(インディアン)コミュニティの文化的、歴史的遺産に対する自尊心や誇りを指します。この誇りは、彼らの独自の文化、伝統、言語、歴史に根ざしており、何世紀にもわたる困難や迫害にもかかわらず生き残り、繁栄してきたことに由来しています。

この誇りこそが【自分らしく生きる】といったことだろう。

最後まで読んでいただきありがとうございます(^^♪

参考文献

小塩真司(1998)「青年の自己愛傾向と自尊感情,友人関係の在り方との関連」『教育心理学研究』第46巻、pp 280–290

小池陽子・宮本正一(2014)「随伴性自尊感情が出来事及び他者に対する評価に及ぼす影響」『岐阜大学教育学部研究報告』第62巻、 第2号、pp207-219

Baumeister, R. F., Heatherton, T. F., & Tice, D. M. (1993). When ego threats lead to self-regulation failure: Negative consequences of high self-esteem. Journal of Personality and Social Psychology, 64, 141–156

Deci, E. L. & Ryan, R. M. (1995). Human autonomy: The basis for true self-esteem. In M. H. Kernis (Ed.), Ecacy, agency, and self-esteem. New York: Plenum. pp. 31–46




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