エッセイ ｜ 子羊をおびき寄せる

今さらながらインターネットは便利だ。知りたいことが何でも載っている。おいしいコーヒーのいれ方や、おすすめの器具まで分かる。

いつも出かける時はお店を検索して探してしまうし、ふらっと入ったお店があれば帰ってから評価を気にして検索をする。

何から何までインターネット上に書かれている内容を信じ込み、振り回されている。自分でもバカみたいだなとあきれてしまうが、こればかりはやめられないのだ。

よく私が検索してしまう内容は、私と同じような職種の人がどのように恋愛し結婚していくのかを調べてしまう。

私の生き方が模範的な生き方から逸れてしまい、そのせいで恋人ができないのではないかと疑ってしまうのだ。疑うというより「そうであってほしい」と願っている。

検索してみれば分かるのだが、意外にも模範的な生き方をしている。それなのに記載されているようにうまくはいかない。こうなってくると悪いのは自分になるわけで、それをどうにか受け入れないように別のことも検索してもみる。

今まで検索していた内容は自分から探す場合の方法で、逆に相手から探される場合はどのようにすればよいかも検索してみる。

そうすると出て来るのは「マッチングアプリをやりなさい」や「街コンに行きなさい」といった内容ばかりで、「そんな内容であれば私にだって言える」と思ってしまう。

いろいろと検索していると「この職種の人にはこんな人がおすすめ」といったように、他のサイトと比べると一歩踏み込んだ内容を記載しているところがあった。

気になって見てみると、今までのサイトみたいにマッチングアプリや街コンを勧めることはなく、どうすればおすすめするような人に出会えるかが書かれている。

書かれている内容が私にとって実行可能かどうかは別問題として、ここまで詳しく書かれているものは珍しかった。

そのサイトを最後の方まで読み進め、結局のところ私には難しいかなと思っていると、「今までの内容が合わない人にはこんな人もオススメ！」の文字が飛び込んでくる。

これは私に向けたメッセージだと思い、その文字に続く内容を見るためにスクロールする。そして書かれていた内容がこれだ。

「占い師〇〇先生にあなたの運命の相手を見てもらおう！」

やられた。ここまでキレイにたどり着くとは思っていなかった。このサイトは迷える子羊に道を教えるのではなく、迷える子羊を占い師に誘導するものだったのだ。

今まで誘導系のサイトは途中で気付いたのだが、このサイトは全く気付けなかった。相手の思うつぼすぎて、ひとりの部屋で笑ってしまった。

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