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【食え】 心が温まる 冷やし焼き芋

「焼き芋」といえば秋の味覚。やはり食べるなら外も寒くなってきた時期で、コートを羽織って買いに行くのは趣があって良い。口元までマフラーを巻きながら、どこから漏れたのか分からない息の行方を目で追いながら出かけるのだ。

「冷やし焼き芋」ですか? そんなのは邪道ですよ。冷めた芋を食べて何が楽しいんですか。芋と熱を食べるのが良いのではないですか。

そう今まで思っていました。大変申し訳がありません。

冷やし焼き芋はおいしかったです。

・冷やし焼き芋の台頭

いつ頃からか「冷やし焼き芋」という名前を目にすることが増えてきた。私が思うには2018年ごろからかと思っています。コロナ前にはあったと思うのでその頃かと思います。

特にコンビニエンスストアで目にすることが多くて、当時の私は無理やりはやらせようとしているのではないかと疑っていました。

冷たいさつまいもで思い当たるのは甘露煮ですよね。よく収穫したさつまいもを祖母が甘露煮にしてくれ、その日に食べきれなければ冷蔵庫で保存し翌日も甘露煮を食べていました。

子どもだった私にとってさつまいもの甘露煮はボリュームもあるし、パサパサしており食べにくかったんですよね。

だから冷やし焼き芋を見つけても目をそらしていました。

ただ、次第にテレビやネット記事でも冷やし焼き芋の特集を見かけるようになり、私が思っている以上に市民権を獲得した食べ物となりつつあるのだなとはひしひし感じ始めていました。

・冷やし焼き芋とのファーストコンタクト

猛暑日が続いていたある日、私は汗をかきながら近所のスーパーへ買い物に行っていました。

ここのスーパーは夏であっても入り口には焼き芋機が常設されており、焼きあがった芋が袋に入れて並んでいます。私が知らないだけでどこのスーパーも季節に関係なく売っているものなのでしょうか。

私は入口の近くにある冷凍食品コーナーから見て回り、涼んだ状態で生鮮食品コーナーへと移ります。そこで目にしたものはスイカとブドウに挟まれた冷やし焼き芋。フルーツの間に1列だけある芋は、私に強い衝撃を与えました。

「陳列方法が適当すぎでは? フルーツコーナーに焼き芋を置くか?」と思いながら私は立ち止まってしまいました。今になって思うと、これはスーパー側のワナにまんまとハマってしまったのかもしれない。

白いトレイの上に、半分に切られた芋が横たわっている。芋の断面はスプーンですくえそうなほど柔らかいのが分かります。

値段も100円と安い。食べやすい量でもある。これは買っちゃうよ……。

・焼き芋? 新しい名前をつけてあげたら?

購入した冷やし焼き芋は思ったとおりスプーンですくえました。口に入れるとサツマイモのさっぱりした甘さが香りとともに広がります。

焼き芋というよりかはスイーツに近い感じがしました。冷たいスイートポテトのような感じがして、「冷やし焼き芋」なんて名前がもったいないくらいです。

「温かくなくてもこんなにおいしいのか……」食わず嫌いをしていた私を恥じました。何事も経験することが人を成長させますね。



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