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#12 変化

人物、バンド名等説明
PILLさん:クレオパトラ、BODIE、AXE BOMBER、G-ZET、LIP CREAMの他にも、ジョン・ゾーンとのセッションなど、様々なバンドやセッションでドラムとして活動。狼狂二の名で俳優としても活躍。2024年没。
MUKA-CHIN:元CHICKEN BOWELSのドラムスで、後にDEATH SIDE。現SLIP HEAD BUTT、SLEEPERS。新大久保のライブハウスEARTHDOMの店長でもある。
ZIGYAKU:広島の HARD CORE PUNKバンド愚鈍の元ギタリスト。他にもHALF YEARS、SYSTEMATIC DEATH、BASTARD、JUDGEMENTなどで活動。
EYE OF THE THRASH GUERRILLA:1988年にSELFISH RECORDSから発売されたオムニバスアルバム。DEATH SIDE、鉄アレイ、RAISE CAIN、SxOxB、Nightmare、CROW収録。
BURNING SPIRITS:ISHIYAとKATSUTAが中心となり、DEATH SIDEと鉄アレイで始めたシリーズGIG。
ジャパコア:JAP COREをもじった侮蔑的表現で、JAPANESE HARD COREを揶揄した言い方から始まった言葉。
クラストコア:クラストとは瘡蓋の意味もあり、ボロボロの服を身にまとったPUNKSたちから生まれた言葉。イギリスのHARD CORE PUNKバンド「DOOM」周辺からその名が始まったとも言われている。
BASTARD:1990年代を中心に活動していた、日本を代表するHARD CORE PUNKバンド。
MAD CONFLUX:1980年代に神奈川県逗子周辺で結成された HARD CORE PUNKバンド。
PILEDRIVER:1980年代に神奈川県で結成されたHARD CORE PUNKバンド。
RAPES:1987年に大阪で結成されたHARD CORE PUNKバンド。
CRÜCK:1980年代から活動していた東京のHARD CORE PUNKバンド。
ACID:1980年代後期からを活動していた東京のノイズコアバンド。
ME♀SS:1980年代に九州の博多で結成され、90年代に東京へ進出したHARD CORE PUNKバンド。

#12 変化

 レコードを発売して全国ツアーを始めると、DEATH SIDEが雑誌などにも取り上げられるようになる。記事でよく、ボーカルの表現に「吠える」と書かれていた。個人的には全く気にしていなかったのだが、大先輩でもあり、めちゃくちゃカッコいいドラムに痺れていたLIP CREAMのPILLさんに、ある日こう言われた。
「吠えるっていつも書かれているけど、そこをISHIYAはどう思うの?吠えてるって動物のことじゃない?ボーカルとしてそう言われてどう思うの?」
 一緒にツアーを回り、いつも一緒にライブをやっていた俺のことを、大先輩で憧れていたPILLさんが観ていてくれたのだ。バンドとして金を取って人前でプレイするということを、バンドの中でのボーカルというものを、俺でもわかるように、俺が考えるように示してくれた。
 もちろんそこには、CHELSEAという稀有な才能を持つギタリストの楽曲の素晴らしさはあっただろう。今となれば、それに対して「俺のボーカルはまだまだ物足りないもの」だったと、本人でも思う。
 この言葉で俺はボーカルというものを考えるようになった。意識を変えるとボーカルも変わったようで、その後雑誌などでも「吠える」という表現はされなくなっていった。
 PUNKSと言いながらロクでもない生活で、真面目に生きる人からすれば、俺の生き方などひどいものでしかないだろう。しかし、ここまで社会から逸脱したライフスタイルは、日本のPUNKSでは少ない部類に入るのではないだろうか。何度も言うが、世間一般的な生活をしていてはPUNKだと思えないのが、俺の個人的な感覚だ。

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30年以上に渡るバンド活動とモヒカンの髪型も今年で35年目。音楽での表現以外に、日本や海外、様々な場所での演奏経験や、10代から社会をドロップアウトした視点の文章を雑誌やWEBで執筆中。興味があれば是非サポートを!