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『世界の七不思議』の誤解
世界の七不思議(せかいのななふしぎ)とは、7つの建造物のことである。現在、一般的には、古代世界の七不思議として伝承されてきた、ギザの大ピラミッド、バビロンの空中庭園、エフェソスのアルテミス神殿、オリンピアのゼウス像、ハリカルナッソスのマウソロス霊廟、ロドス島の巨像、アレクサンドリアの大灯台の7つを指す。
『世界の七不思議』と聞くとなんとなくミステリアスでオカルト的なイメージを思い浮かべませんか?
現代の技術でも再現不可能な超古代文明の遺産……
もしかしたらムー大陸やアトランティスの末裔が造り上げたのかもしれない。
現存する遺跡は「ギザの大ピラミッド」のみというのも不思議っぷりに拍車をかけます。
人知を超える存在の証明か、はたまた……
そう思っていた時期が私にもありました。
結論から言いますと『世界の七不思議』という日本語は”誤訳”です。
紀元前5世紀、ギリシアの歴史家ヘロドトスが、7つの驚異的な建造物を『世界の七不思議』と名付けたのが七不思議の最初といわれているが、紀元前225年ごろにビザンチウムのフィロン(紀元前260年 - 紀元前180年)がそれを提案した。
古代ギリシアが発祥ということは元はギリシア語です。
ビザンチウムのフィロンの書にいう「θαύματα」(Theamata) とは、ギリシア語で「眺めるべきもの」といった意味である。これが、ラテン語の「Septem Miracula」(驚異、奇跡[2])を経て、英語の「Seven Wonders of the World」となった。
で英語の「Seven Wonders of the World」を日本語に訳したのが『世界の七不思議』です。
しかしここで問題発生。
誰だかわかりませんが、本来「Wonders」は「驚かせるもの」「賞賛すべきもの」という意味だったのに『不思議』と訳してしまいました。
その後定期的に訪れるオカルトブームにのっかって世間に広がっていった結果、現在の『世界の七不思議』という摩訶不思議感溢れる認識が定着してしまったというわけです。
そもそも「ビザンチウムのフィロン」は数学者にして旅行者です。
そして『不思議』と誤訳されている元の言葉は「眺めるべきもの」。
つまり『世界の七不思議』とは「世界の七つの眺めるべきもの」のことであり、超古代の産物などではなく単なる観光名所のことなのです。
「絶対おすすめ! 世界の一度は行ってみたい、いや行くべき七つの観光スポット! byフィロン」
と言い換えても間違いではないでしょう。台無しですが。
ちなみにTVなどで『世界の七不思議』を取り上げられる時によく使われる、
「現代の技術では再現不可能。まして当時の技術ではもっと無理。」
というような説明がありますがナンセンス極まりないです。
まず第一に、当時の職人さん達に失礼。
単純に現代人の考えとは違う技術を持っていたのでしょう。
古代人が現代人に劣ると誰が決めたんだ?
第二に、技術は100%後世に伝わるとは限らない。
途絶えてしまう技術のほうが多いのではないでしょうか。
一子相伝であったり口伝であれば現代に残っている確率はかなり低いでしょう。権力者のエゴで完成後職人が抹殺されてしまうという話もあります。
『世界の七不思議』
浪漫あふれる素晴らしい意訳だと思います。
しかし曖昧な表現故に本来の意味から逸脱して広まってしまったのは誤算だったと言えます。
はたして翻訳者は誰なのか……
第一次オカルトブームの牽引者の中に潜んでいると睨んでいます。
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