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『リーダーの仮面』(安藤広大)ブックレビュー

前回レビューした『孫正義社長に学んだ「10倍速」目標達成術』の一つ前に読んだ本ですね。読んだきっかけは、先日も書いたように昇格試験の面接前に上司のIさんからもらった5冊の本のうちの1冊だったから。
この本は、リーダーの失敗パターンを例に挙げながら、リーダーの本当の責任である『部下を真に成長させることによる組織の利益最大化』を達成するために、「尊敬されたい」「凄いと思われたい」といった素顔を隠し(=仮面)、客観的に平等に対応することの大切さを説いたもの。一見冷徹に見える文章も、実は非常にロジカルで、結局部下やお客様のためになることが説得力を持って示されています。曰く、「『ルール』『位置』『利益』『結果』『成長』に沿ったマネジメントを続けることで、リーダーの言葉はあとから効いてくる」(P19)。レビューいってみましょう。

序章:リーダーの仮面をかぶるための準備~錯覚の話~

リーダーになる上で、以下をまず確認すべし。
1)「いい人」になろうとしていないか:フレンドリーさより平等性が大切(P52)
2)「待つ」ことを我慢できるか:結果が出るまではタイムラグがある。マネジメントは毎日継続の長期戦(P54)
3)部下と「競争」をしていないか:リーダーは部下から情報を吸い上げて判断を下すのが仕事(P55)
4)「マネジメント」を優先しているか:自分の数字が悪くても部下を指導できること(P56)
5)「辞めないかどうか」を気にしすぎていないか:頑張りたい人間は全員活かす(=一定の確率で退職者が出るのは仕方がない)(P58)

→いるよね、まず人気を取りに行こうとするリーダー・・・。1)はお見事ですよ。
個人的には4)は染みました。リーダーになったら、あくまでするべきことはマネジメント。自分がたとえ営業成績が悪くても、それとは別に胸を張って主導しなくてはいけないと。わかる、わかるけどこれが難しい。胸を張るには自分の言葉でみんながついてくるっていう確信があったほうがよくて、そのためにはやっぱり自分の成績がいいに越したことはないもんなぁ。
あと、5)もいいね。一見冷徹なようで、ツボを押さえてくる。辞めないかどうかを変に気にして組織の利益を損なうのではなく、むしろ(勿論大前提部下は大事にするべきだけど)組織のために判断したうえでの指示で退職する意向が出る部下が一定数発生するのはあくまでその部下自身の判断だから仕方がないと割り切る、と。そっちの方がなんか芯のあるリーダーだよね。

第1章:安心して信号を渡らせよ~ルールの思考法~

明確なルールがあり適切に守らせることで会社は円滑になる(P69)
・ルールには2つの種類がある。(P72)
┗「行動のルール」:会社が設定した目標と連動。守れる・守れないが存在。ノルマなど。
┗「姿勢のルール」:やろうと思えば誰でも守れる。挨拶など。ここを徹底して守らせることがリーダーの一丁目一番地。
・ルールの守らせ方のポイントは以下
主語を曖昧にしない:「これをやらないと上が怒るよ」などではなく、あくまでリーダー自身からの指示であるべき(P84)
「誰がいつまでに」を明確にする:「気遣いでやる仕事」をなくす(P88)
・ルール設定で部下から出てくる問題はあくまで「情報」として受け止めて過度に気を遣うことはしない。全体を客観的に見たうえで適宜ルール追加等で気兼ねすることなく対応する(P97)

→ルールって言葉、毛嫌いする人がいるかもだけど、これはいわば信号機。全員が不満なく安心して行動するにはルールがあってそれを全員が例外なく守る環境であるという前提が必要。

第2章:部下とは迷わず距離をとれ~位置の思考法~

・リーダー(高い位置にいる人)は未来を見据えて決断し、行動する責任を負う(P107)
・平等と対等は違う。位置を明確にしたコミュニケーションで実行の結果責任を負えるよう堂々と指示をせよ(※対等な立場での『お願い事』にならぬように注意)。一方、部下は指示に対する実行責任を負う(P114)
・結果が出ない部下は報連相の回数を増やし機械的に実施する。感情的な指示にならないように注意(P121)
・1on1ミーティングで寄り添いすぎることでできないことを正当化しないよう注意(P125)
会社は学校ではなく塾。楽しさより緊張感と結果に重きを置く。上司は孤独に耐えることが必要(距離が近すぎると、できないことの正当化に繋がりやすい)(P125)
報連相のポイントは具体的な数値目標・報告タイミングの明示→機械的なフィードバック(未達の場合は部下自身に対策を考えさせる)(P142)
「1日3件回ってください。17時までに報告を」→(達成)「達成ですね、お疲れ様」(未達)「未達ですね、次からはどうしますか」

→位置の話好き。寄り添いすぎるのはなぁなぁの関係になるってことよね。報連相のポイントも勉強になった。未達の場合は部下自身に次はどうするかを考えさせることが重要と。

第3章:大きなマンモスを狩りに行かせる~利益の思考法~

・部下は「自分に利益があるか」でリーダーについていきたいと思うか否かが変わる(P150)
・個人で得られない利益を求め、組織は作られている。すなわち全員を組織の利益に向かわせることが大切(P156)→組織のために働いたことが個人の利益に繋がっていく(P164)
・適度な負荷を与え続け、いい緊張感で少し上の目標を目指させることが大切(P169)
上司の指示を部下が実行するのは当たり前。ゆえに頑張る理由を用意する必要はない。仕事の意味や価値観は自分自身で見つけるもの(P177)
・競争から逃れることはできないため、数字としての現実を突きつける姿勢が必要。平等な競争状態(=切磋琢磨)にし、可視化する。(その結果を気にするかは部下次第)(P184)

→部下が上司の指示を実行するのは当たり前、だから頑張る理由を用意する必要はない・・・うん、その通り。一方で部下は視野が狭く、その仕事の意義を自分で見つけられない(気づくことができない)こともあるだろうから、そうした時には仕事の意味や価値観のヒント(考え方)だけでも教えていきたいな。

 第4章:褒められて伸びるタイプを生み出すな~結果の思考法~

・「仕事ができる人」=「評価者(上司)が求める成果を出せる人」(P197)→人気者や、一時的にお客様を喜ばせるからといって未来の組織の利益を損なう人は評価してはいけない(P201)
プロセス(残業時間etc)ではなく結果を評価せよ(P207)
・当たり前の基準を設定し、大きく超えた時だけ褒める(P212)
・数値化した目標設定をし、仕事を任せ、最後に結果を報告させて評価すべし(P216)

→『プロセスではなく結果を評価せよ』のところは一瞬「成約に向けて訪問件数を増やしたとしたらそれは評価するべきだろ!そこを評価しないといつか繋がる成約も逃すことになるぞ!異議あり!」と思ったけど、この場合の『プロセス』ってのは『結果に繋げるための努力』とかって意味ではなく、『稼働時間』とかそういう意味だったから納得しました笑

第5章:先頭の鳥が群れを引っ張っていく~成長の思考法~

・渡り鳥の先頭の鳥はリーダーではなく部下の中のトッププレーヤー。リーダーはさらに上から全体を見渡し、指揮する立場(P244)
・無駄に知識だけ増えると行動にブレーキがかかる。知識+経験で本質にたどり着ける(P253)
部下にチャレンジを指示する時は上司自身が責任を引き受けるべき(P262) 

→部下が安心してチャレンジできるよう、挑戦しやすい態勢にしてあげるのが大切と。

終章:リーダーの素顔

・社員(部下)の人生に責任を持つ(=稼ぐ力を身につけさせてやる)ことが務め(P273)

やっぱり全体を読んでみて、僕の思うリーダー(管理職)像に近くて納得感があった。
現場でバリバリできることも大切だけど、もっと大きな力を生むには適切(具体的な数値)に指示し、報連相をもとにフォローし、成長を促すことが必要。そして結果に対して自身が積極的に責任を負う姿勢を見せる。人気を得るための上っ面で薄っぺらい甘やかしをせず、部下の成長のため客観的でい続ける。うん、なんか僕の今の上司のK部長やIさんの話をしている気がしてちょっと照れくさいが、そんな感じだな。いい仕事をしよう。


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