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韓国BL映画「Suddenly, Last Summer」

主演:キム・ヨンジェ、ハン・ジュワン
2012年 37分
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★☆
(写真=GaGaOOLaLa公式サイトより)

華流ドラマの合間の”重い”韓国BL映画、第2弾は「White Night」に続き、イ=ソン・ヒイル監督の「One night and two days」という三部作の一つ。本作について探しているうちに、やっと監督へのインタビュー記事を見つけた。ちょうどこの三部作が発表された時のもののようでなかなか面白かった。これによれば、この三部作は「クィア連作」というようで、本作が一番最初に撮影されたらしい。

高校教師と生徒の物語

キム・ヨンジェ演じるホームルーム担任教師ギョンフンに、しつこく付きまとうハン・ジュワン演じる高校生サンウ。ギョンフンは家庭訪問で生徒たちの家を回らなければならないのであるが、サンウが一緒に車に乗り込んでついてくる。
ついに業を煮やしたギョンフンだが、サンウはゲイバーで隠し撮りしたらしい彼の写真を突きつけ、午後は自分と一緒に過ごすように脅す。そしてこの暑い夏の一日、二人は漢江の遊覧船に乗るのであった。

アメリカ映画へのオマージュか?

教師と生徒が恋愛感情を持ってしまうのは、同性愛のみならず、男女においても禁忌の関係とされている(「バンジージャンプする」も同様だ)。特に本作では、もともと最初に二人が出会ったのはサンウがまだ中学生の時だったようなので、なおさらだといえる。サンウに脅迫されて一緒に過ごすものの、ギョンフンはやはり彼に惹かれているのだろう。しかし自分は歳が倍近く離れた大人、そして担任教師である。友人らしき人物との短い電話の会話から彼が転職しようとしているのが窺える。

この作品のタイトルであるが、検索すると同名の1959年のアメリカ映画「去年の夏 突然に」(Wikipediaへリンク)というのが出てきた。私は知らなかったが、エリザベス・テイラーとキャサリン・ヘップバーンが主演の映画で、あらすじを読んでみたもののストーリー自体は全く違った。

灼熱のある日、セバスチャンとキャサリンは物乞いの少年たちに襲われ、セバスチャンは殺されてしまう。キャサリンのその記憶を消そうと、セバスチャンの母親は彼女にロボトミー手術を受けさせようとする。。。
(Wikipediaより抜粋)

実はこの映画は、「アメリカ映画史上初の男性の同性愛者を登場させた映画」であるらしく、脚本家もゲイだそうである。監督としては、「セバスチャンが殺された時の記憶」を、ギョンフンが「中学生のサンウに出会ったしまった記憶」に重ね合わせ、ギョンフンにとってはどうしても消し去りたいものという位置付けにしようとしたのかもしれない。しかし、アメリカ映画の記憶の内容はかなり悲惨なものなので、ギョンフンとサンウの出会いも”禁忌”とはされるものの、ロボトミー手術やカウンセリングなんかは要らない。その裏返しか、本作はハッピーエンドであると言える。終わり方としては、同監督の作品の中でも一番好きかもしれない。

ちなみに本作は「Night Flight」のプロローグ的作品として作られたそうだが、高校を舞台としているからだろうか。両作品の内容というかテーマがあまりにも違うので、個人的にはあまり接点が見出せないが、実際にできてみてからはどうだったのだろうか?こちらの作品については前にも検索したが、監督へのインタビューなどが見つからなかったので(少なくとも私が理解できる言語では)わからないのでいまいち納得できないが、それにしても、やはり監督とはイケメンの好みが合いそう。。。(笑)

こちらが予告編。劇中で2曲出てくるJo Oongの曲もいい。

「One night and two days」三部作の他の作品はこちら:


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