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秋山文野:宙開発中心のフリーランスライター。ロケット/人工衛星プロジェクトから宇宙探査…

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秋山文野:宙開発中心のフリーランスライター。ロケット/人工衛星プロジェクトから宇宙探査、宇宙政策、宇宙ビジネス、NewSpace事情、宇宙開発史まで。電子書籍『「はやぶさ」7年60億kmのミッション完全解説』、訳書『ロケットガールの誕生 コンピューターになった女性たち』ほか。

最近の記事

北朝鮮の軍事偵察衛星「万里鏡1号」の分解能はどのくらいなのか?

2023年5月31日、北朝鮮は軍事偵察衛星だとする衛星を打ち上げ、直後に失敗してロケット、衛星ともに海に沈んだ。翌月この衛星は引き上げられ、韓国の調査によれば「偵察衛星と呼べるような機能は持っていない」のだという。 実際そうなのだと思うし、その見解に異論はないので、「ではどのくらいの分解能を持っているのか」を推定することはしなかった。何しろ、ほとんど「小型冷蔵庫くらいの大きさ、重量は200~300kg程度」ということしかわからない。数字も推測するしかなく、その状態で何か推定

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      小惑星探査機「はやぶさ」2010年6月13日に帰還した再突入カプセル実物写真

      • 太陽光の入射を減らす温暖化対策技術への批判で、ビル・ゲイツが先進国白人男性グループ代表として名指しされているのはなぜか?

        今週のScience記事に「ソーラー・ジオエンジニアリングのリスク」という記事が上がっていた。気候を操作して地球温暖化を軽減する技術、ジオエンジニアリングの中でも、成層圏に微粒子をまいて太陽光の入射を減らす技術Stratospheric Aerosol Injection (SAI)に対する懐疑論だ。 3月には米国アカデミーから「ソーラー・ジオエンジニアリング研究とそのガバナンスの推奨」という報告書が出たそうで、もっと研究を進めたほうがよいということのようだ。開発を進めよで

        • 冷戦時代のスパイ衛星画像が明らかにした、アルメニアのキリスト教遺産が隠された痕跡

          「冷戦時代の1977年にアメリカのスパイ衛星(KH-9 Hexagon)の画像と現代のGoogle Earth衛星画像を比較し、アゼルバイジャンの飛び地ナヒチェヴァンで破壊されてきたアルメニアのキリスト教遺産の痕跡を明らかにする」という活動を知った。アート系Webメディア、The Art Newspaperに6月1日に掲載された記事で、筆者は米コロラド大学デンバー校とタフツ大学の研究者Simon Maghakyan氏(サイモン・マガカイヤン氏と読むようだ)。 Covert

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          画像編集を外注して、ライターの世界に明朗会計を増やすこと

          オウンドメディアで初めて編集者になった人たちと仕事することになり、画像編集で苦しんでいる全ライターに言いたい。「その作業は外注することができます」。 「セレクトとトリミングの作業お願い。撮影してきたのは300枚くらいで、本文用7~8点+タイトル1点、タイトル用は16:9でトリミング。ファイルリストつけてください。あさってまで」 家の中で、こうした発注ができるようになって本当に楽になった。これは私(ライター)から夫(カメラマン)へのよくある画像編集の発注だ。しばらく前から、

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          鉄道王が本気を出すまでウマの走り方がイヌだった話

          タイトルの画像は、19世紀フランスの画家テオドール・ジェリコーによる“Le derby de 1821 Epsom (The 1821 Derby at Epsom)”で日本語では『エプソムの競馬』と呼ばれる。ジェリコーがイギリスに旅行した際に1821年エプソム競馬場でのダービーステークスを描いた作品で、代表作の一つとされる。だが、現代の競馬を映像や写真で見慣れた人間からするとなにか少し違和感を感じる。 違和感の正体は、絵画のウマの足運びにある。描かれた4頭のウマは、どれ

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          ロケット開発が陰謀論の十字路になること。嫌韓嫌中・Qアノン・兵器嫌悪

          2021年3月、日本の新型基幹ロケット「H3」を取材してこんな記事『急拡大する宇宙ビジネス市場での立ち位置…JAXA新型ロケットH3、正念場の1年』を書いた。元はBusiness Insider Japanに掲載されたもので、Yahoo!ニュースに転載されるとコメントが10件ほどついている。コメントは賛否含めてわりあい冷静な意見が多く、多少の技術的誤解はあると思われるが射場整備の必要性や衛星打ち上げビジネスの発展性などについて考察されている。 一方で、3月末に掲載された韓国

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          冷戦時代の負の遺産 世界初の通信衛星Telstarを機能不全にした軌道上の高エネルギー粒子を“お掃除”する計画

          宇宙開発ライターの秋山文野です。2020年、note始めました。記事未満の宇宙関連トピックやサイエンスニュース、書籍のことを書いていきます。 Science誌2020年1月3日号に載っていた気になる記事。「U.S. military tests radiation belt cleanup in space」とあり、放射線帯から何かを一掃するように読めます。 1962年7月9日、アメリカはハワイ沖で1.45メガトンの水素爆弾による高高度核実験Starfish Primeを

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