見出し画像

部下が話を聞かない時に考えること

上司の最も大切な仕事の一つが部下の育成です。時に励まし、時に褒め、時に叱り、あの手この手で部下の成長を見守って応援する日々。なのに、部下は素知らぬ顔で先週したばかりの話を「初めて聞きました!」とか言っていてガックリ。「もうこいつはこれ以上、成長しないんじゃないか」と見捨てる前に考えることです。自分のために書きました。

・部下が話を聞かないのは上司が悪い
・話を聞かないメカニズム
・成長に必要なただひとつのこと

部下が話を聞かないのは上司が悪い

これは単に心構えの話です。
「一度目の失敗は誰も悪くない、二度目の失敗は本人(部下)が悪い、三度目以降の失敗は上司が悪い」という言葉があります。
はじめての失敗は誰も悪くない。それを指摘された上でもう一度やってしまったならば本人が悪い。しかし、三度目以降も同じ失敗を繰り返すならば、それは仕組みを変えずに同じ注意ばかりしている上司のマネジメント能力がない。ということです。
つまり「何度言ってもあいつは話を聞かない!」と怒るのは「いつまでも仕組みを変えずに同じことを繰り返しているマネージャーは私です」と言っているのと同じ、ということです。

話を聞かないメカニズム

では、何度言っても真剣に話を聞いてくれない(真剣に聞いているようでまったく響いていない)部下に話を聞いてもらうにはどうしたらよいのか。「話を聞かないメカニズム」から考察してみたいと思います。

話を聞く気がない系
・上司へのリスペクトがない
そもそも上司のことを尊敬しておらず、まったく聞く気がないタイプです。上司は影で「現場のことが全然わかってない」「あの人の指示はいつも見当はずれ」と言われているかもしれません。過去の実績や今のポジションにとらわれず、信頼を勝ち得ていくことが必要です。
・話を聞くのが苦手
頭の中で話を抽象化したり、逆に具体化するのが苦手なタイプです。文章にしてみたり、絵や図にしてみたり、実際にやってみせるといいかもしれません。仕事を分割して任せる、一緒にやってあげる(見守る)のもよいでしょう。

聞いているようで響かない系
・レベルが合っていない
もしかするとその部下にはちょっとレベルが合っていないのかもしれません。もしくは年齢や経験などのバックボーンが原因でピンときていないのかもしれません「以前、響いた話」よりも「その部下に響く話」かどうかもう一度考えましょう。
・納得できていない
真面目に聞こう、理解しようと努力しているのですが、上司の言うことに納得できていないパターンです。納得できていないままに業務に戻るので同じミスを何度もしてしまいます。「納得」ではなく「説得」になっていないか(部下の反論や意見を封じ込めていないか)、納得できていないのにそれを言い出せない関係性になってしまっていないか。自分自身のコミュニケーション方法についてふりかえる必要があります。
・部下にフィルタが存在する
すごく頷いていて「私もそう思います!」「いい話を聞きました!」と言っていたのに、ぜんぜん違うことをやってしまう部下はこのパターンかもしれません。つまり、部下の中に「わたしフィルター」が存在していて自分に都合のいい部分だけを切り出して納得してしまっているのです。100話したうちの5だけを取り上げて「私もそう思っていた!」となってしまう部下は、特に経験豊富なベテランに多いかもしれません。こういったタイプの部下の場合は、話を終えた後に一緒にふりかえりをしてあげることで解決するでしょう。「どういったところが参考になったかな?」の一言が大切です。

成長に必要なただひとつのこと

人が成長するのに大切なこと、それは周囲がその人は成長できる!と心から信じることです。わたしたちのようにこどもに関わる仕事をしている人間は、よく「こども相手にできることが、大人相手だとできない」と言われます。それは、まさに成長を信じられるかどうかだけの違いなのです。
こどもたちはそれこそものすごいスピードで目に見えて成長していきますので、心から成長を信じて見守ることができます。だからこそ何度も同じ間違いを犯したとしても「きっと変わる、きっと成長する」と信じてあの手この手で全力で成長を応援していくことができます。
しかし、大人の成長はもう少しゆっくりです。今までの人生や経験を踏まえて少しづつ変わっていく、成長していくのが大人なのです。だからこそ、わたしたちができることは部下の成長を信じて信じて信じ切ることだけです。
裏切られても、がっかりしても、投げ出したくなっても、期待し続け信じ続けることが部下の成長へとつながります。

ただし、それは「本人に成長する気がある場合」のみです。
人は本来、成長したいという欲求を持って生まれますが、さまざまな理由で自分自身の成長に期待できなくなってしまっている人もいます。そういった部下へのコミュニケーションはまた別の方法があります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?