失ってから知る

家族や友人、愛人を失ってからの方が生きているときよりも愛したり、深く考えたりする。

私たちは何かを失ってからはじめてその価値を知る。

だからこそ、今の自分の周りにあるものを、当たり前と思わないで大切にしなさい、とよく上から言われることがあるが、当人にとっては大抵そんな言葉は響かない。頭で理解しても心が理解していないから。

後悔はどんな罰よりも自分を苦しめる、ということをね。

世の中には、失ってから真の価値を知ること、がない人もいる。

彼らは決してサイコパスな訳じゃなく、人生の基本的なものごとに、何度も感動し、心を奪われることができる。

たとえば、妻が50歳になっても初めて恋に落ちた日と同じような美しさを感じたり、毎日食べる同じ味にも愛情や味わい深さを覚えて喜んだり。

多くの人にとって新鮮さがなくなり、日常に溶け込んでいったものでも、純真に新鮮さを感じられ、驚いたり喜んだりする。

彼らは、もし大切なものを失ったときには、きっとその喪失を自分の中に静かに受け入れることができるのだろう。