後悔したくないから ~私は想いを文字にする~
これは二年くらい前の、私に「想いを伝えること」をより強く抱かせたきっかけとなった話である。
2019年の正月は年末から家族全員でひどい風邪を引いていたため、祖母にも顔を見せることがないまま過ぎていった。
もう筆を握ることも出来ないから手紙のやりとりも出来ないし、元々電話は私が好きじゃないからこちらからかけることもしていなかった。
そうしなかったのは元気だったからだ。
ところが、入所していた老人ホームで転び、そこから一気に体調が悪化してしまった。
遠方で気軽に行き来することは出来ない。
(ドアツードアで6時間かかる)
子どもや夫の長期休みまで生を繋いでくれたら会いに行こう――。
しかし、想いも空しく祖母は旅立った。
「無理にでも会いに行けば良かった……」
「生前にもっと言葉を交わしておけば……」
との想いが渦巻いた。だからこそ、
「最後のお別れがしたい」
この想いだけは譲れなかった。
夫に、祖母が亡くなったことを伝え、なんとか一日休んでもらえるよう頼んだ。(夫は仕事人間だから、個人的な理由で休みを取りたがらない……)
そして葬儀の前夜、夜行列車に乗って東京を目指した。
なかなか寝付けなかった。
悲しかったからではない。
なんと言えばいいか、本当に祖母は亡くなってしまったんだな、という「心の空白」のせいだったように思う。
悲しみが湧いてきたのは対面してから。
祖父の時もそうだったが、思い出話が始まると様々な記憶がよみがえってきて涙が止まらなかった。
悲しみは徐々に募り、帰りの電車では溢れる涙をこらえることも出来なかった。
ただ、後悔の念はなかった。
直接別れが出来たこと、見送ることが出来たことは本当に良かったし、普段はしないような思い切った決断が出来た自分を褒めたい気持ちにもなった。
祖母のお棺には、生前にあげた、
「心はいつもそばに」
と描いたメッセージカードも納められた。
離れていてなかなか会えない気持ちを綴ったものだったが、時空を超えてまでその想いを伝えることになろうとは思ってもいなかった。
ただ、私の思いはその一言に集約されていた。
だから、多くの言葉は必要なかった。
💐💐💐💐💐💐💐💐
親しい人にいつでも会える距離に暮らしている方は、それだけでも恵まれた環境にいることを知ってほしい。
だからこそ、会える人はどんどん会って欲しい。
(現状では難しい事も十分承知はしているが)
また、コロナ禍で直接会うことが難しくなってしまったからこそ、
お互いに元気でいることを歓び、
「元気でいてくれてありがとう」
という気持ちや
「いつも気遣ってくれてありがとう」
という言葉を伝え合いたいものだ。
別れは、思いも寄らない形で突然やってくることもある。
明日は今日の延長ではない。
今日できることは今日やる。
毎日、そういう心持ちで生きていきたいと思う。
🌼いろうたはそのような想いを常に抱き、
文字アート、執筆活動を行っています。
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