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「今を生きる思想 エーリッヒ・フロム ~孤独を恐れず自由に生きる~」【概要といろうたの考察】

エーリッヒ・フロム自身の著書は、別の訳者のものをいくつか読んでいますが、今回は岸見一郎氏の訳したエーリッヒ・フロムの言葉を中心とした標記の本(エーリッヒ・フロム ~孤独を恐れず自由に生きる~)の概要と、いろうたの考えをまとめていきます。


✅エーリッヒ・フロムについて

この本でははじめに、フロム自身の生い立ちから、なぜ彼が社会心理学者になったのかを詳述しています。彼は代々続くラビ(ユダヤ教の聖職者)の家系に生まれたこともあり、「魂の救済こそが最も重大な課題である」と言うユダヤ教の思想の影響を強く受けて育ったそうです。

「私は、目標が出来るだけ多くの金を儲けることである世界の中で、いつも自分が少しよそ者だと感じていた。私は半分はこの古代ユダヤの真性の伝統と、半分は近代世界の中に生きた」

p17より

フロムはその後、フロイトとマルクスの影響も受け、両者の綜合を果たす中で、近代資本主義の鋭い批判者となったのです。

✅「愛」と「ヒューマニズム」

フロムは、現代人の基本的な病理は「孤独」にあると考えています。そして、孤独を根本から解消するためにフロムが最も重要視するもの。それが「愛」と「ヒューマニズム」です。

フロムの言う「ヒューマニズム」の原理は以下の三つです。

①人類は一つであるという信念
②人間の尊厳の強調
③人間が自己を発展させ、完成させる能力の強調
(更には理性・客観性・平和の強調)

それを踏まえた上で岸見氏は、以下の言葉を、フロムのヒューマニズムを明確に説明するものとして紹介しています。

「我々が皆一つであるのは本当だが、我々各人が独自の存在であり、それ自体が一つの宇宙である。(中略)一人の生命を救うものは誰でも全世界を救ったのと同じだ。一人の生命を滅ぼすものは全世界を滅ぼしたのと同じだ」
(「The Art of Loving」の邦訳「愛するということ」によると、中略以降の文章は、ユダヤ経典「タルムード」の一節だそうです。)

(The Art of Loving)P27より

人類は一つ、とは、誰もが同じ人間性(humanity)を持っており、ひとりの人間が全人類を代表している、と言う意味です。

これはフロムの生きた時代に起きた、第一次世界大戦に対抗する思想として提起されたものでありながら、現代においてますます重みを増す思想だ、と岸見氏は述べています。

✅「合理的権威」と「非合理的権威」

例えば戦争など、強力な「権威」によって逃れることの出来ない出来事に遭遇した場合、多くの人は抵抗することを諦め、「権威」に従う道を選んでしまいます。そうしなければ命が危険にさらされてしまうからです。

フロムは「権威」を以下の二つに分類しています。

「合理的権威」:
客観的な能力に由来する。
教師や専門家として尊敬を受けるような能力のこと。

「非合理的権威」:
人を支配する力。
ユダヤ人虐殺の責任者アドルフ・アイヒマンのような人物の持つ権威。

ところが、20世紀の中葉からは、権威が目に見えない存在に変化した、とフロムは指摘しています。誰も命令していないのに、誰もが従っている……。

いわゆる「世間の目」「同調」と呼ばれるものです。

同調圧力に屈すると言うことは、「私」という個性を失うこと、もっと言えば自分を捨てることを意味します。(ちなみに岸見氏は上記のような人のことを、「自分の考えを持たない者はもはや人間ではなく、いつまでも他の誰かと交換可能な単なる人材でしかない」とバッサリ切り捨てています💦)

このような現代人を危機から救う方法としてフロムが重要視したのが「理性」です。ここでいう「理性」とは「考える」・「見抜く」行為のことです。

・理性(考える)=私が私であるときにだけ使うことの出来る能力

・見抜く=表面の背後にあるものを発見し、我々を取り囲む現実の核心、本質を認識しようとすること

もし、「私」という個性を失いたくないと思うならば、権威に従わない道を選ぶしかありません。それが「目覚める」と言うことです。

「目覚める」ために重要な行為。それは「良心の声を聞く」「真の自己の声に耳を傾ける」ということ。そのためには「ひとりでいる能力」が必要だ、とフロムは言います。

◇◇◇

孤立することへの恐怖や、将来に対する不安から逃れようと、わたしたちは娯楽やおしゃべりに没頭しようとします。もちろん、一時的に逃れることは出来る。しかし不安を根本から解消するものではありません。

唯一の解決策は、

「自分は基本的には一人であり孤独であることを認め、自分の問題を自分のために解決しうる、自分を越える力はないと認めることである。自分は自分に対する責任と自分自身の力を使うことによってだけ、自分の人生に意味を与えることが出来るという事実を認識することである」

(「Man of Himself」)

とのこと。

つまり、本当に自分がしたいこと、自分の信念は何か? と自分自身に問いかけ、それを貫くことでしか真に幸福にはなれない、ということです。自分自身であること、自分自身のために生きることが何よりも大切だ、と。


✅いろうたの考え

現実問題、同調圧力の強いこの日本で権威に「ノー」というのは難しいでしょう。多くの人は、意識的に本当の自分を出さないようにして周囲とうまくやる道を選んでいる、つまりは「空気を読む」ことによって生きている……。

結局のところ我々日本人は、「みんな同じ」だととても安心できるのです。しかしこの「みんな」というのだって、よくよく中身を見てみれば「自分の属する小集団」だけの話かもしれない。そのことに気づかなければいけません。

結婚する前、実家暮らしだった私は「一日中テレビがついているのが当たり前」でした。ところが、夫は「食事中にテレビを見るのは禁止」の家で育っていたため、私の中の「常識(これって普通でしょ?)」が通用しなかった、と言うエピソードがあります。(常識って、案外その集団の中のルールでしかなかったりする、という一例です……)

◇◇◇

そんな私も、最近はテレビ番組をほとんど見なくなりました(有名な○○先生が言っていた!などの情報に踊らされることはない)し、ユーチューブも見なくなりました。自己対話(内観)をしたことにより、自分の求めていた答えが「外側」ではなく「内側」にあると分かったからです。

それ以後は、一層物語を書いたり、創作キャラとの対話をしたり、(忍耐力は要りますが💦)子どもの話を聞いたり、ハンドメイドしたり、読書をしたり……といったことに多くの時間を割くようになりました。

おかげで、心の状態はとても良いです。周囲の人からはおそらく、何を考えているか分からない人と思われているでしょうが、別に気にしません😅

むしろ、私が私の物語を綴り、それを読んだ方が何か一つでも気づきを得てくださることの方が嬉しい。今は、そういうことのために人生の時間を使いたいのです。

もちろん、生きていくためには「空気を読む」能力も必須であることは事実です。しかし、読み過ぎて自分自身を失っては元も子もありません。どうしても譲れないことはきちんと主張していいと思うし、声を上げることによって同じ意見や悩みを持つ人が勇気づけられることだってあるはずですから。


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