見慣れた風景だからこそ、なので。
◆マガジン "Sha-Gaku手帖" の記事です。
私のこれまでに撮ってきた写真たちをメインテーマにした記事・写楽Sha-Gaku。色と光と影を私の好みで捉えたものたち。写すことを楽しむ私の手帖です。
見慣れた風景だからこそ、なので。
もうかれこれ20年近く、かしら。
この風景を何度も何度も繁く通って、写真に撮り続けています。
知り合いの中には
「同じ場所で似たような写真をそんなに撮って、飽きたりしないかい?」
と窺って来ることもしばしばありますけれど(笑)
私には数少ない友人がいるなかでも、人生の先輩としてはかなり歳上の、もうすぐ70歳になられる知人がいます。彼は私が学生だった時期に師事していた折、同じ師匠の元で私の弟弟子でした。
私は写真の道を諦めましたけれど、彼はある程度の実績を積んでから地元(私と同じ新潟県ですが、ただし上越方面。)に戻って個人の写真館を経営。今現在は隠居されて、道楽で写真を続けているようです。
その彼から最近、連絡がありました。
乗っ取り被害に遭い、今では失われてしまったインスタのアカウントで使用していたメールからでした。
「もしかしてインスタ、やめちゃったのかい?」
二度も乗っ取られてアカウントを削除までされた経緯を長い長い文章で伝えましたら
「勿体ないねえ。私さ、あの松浜橋と夕焼けの写真をまた見たいと思って、君のインスタ覗いたんだけど写真全部なくなっててさ。どうしたんだろって思って、連絡してみたわけです」
私から見ましたら、専門に続けて来られた彼のほうが撮影技術の腕前は断然にハイレベルですのに。
その彼から「何故そんな胸が熱くなるような写真が撮れるのか」と訊かれたわけなのです。
でも、うまく答えられません。
ただ私がしてきたことは、20年間この同じ風景を、毎年それぞれの季節毎に見続けて来たことくらい。
一回っきりの景色、撮影ではないということです。
そうしているうちに、いつの間にか、誰もが見ている同じ風景でも、私だけが感じている風景、私にしか感じ取れていない風景があると気づいて、それを写真に残すにはどんなふうに撮ったらいいか?
そんな課題を持って、ずっとこれまでこの風景の写真を撮り続けて来た……というだけなので。
敢えて云うとしたら……
私の写真って、できるだけファインダーの中で確認できたものを、そのままの色味・質感で印画紙の上に写し出したものってことでしょうか。
つまり、私の肉眼と心が知覚したそのまんま、かしら。なのでトリミング以外、レタッチという意図したレタッチはしたことがないんです。
現像ソフト(アプリ)のLightroomは一応iPhoneの中に備えてはいますけれど、正直、気になる点汚れとか、どうしてもデジタルであるが故に出来てしまう各ノイズを消すくらいでしか使ってないので、宝の持ち腐れなのです(笑)
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写真タイトル
《例えばこの先、君の隣で歩けなくとも》
撮影日 2022年10月26日
Location 松浜橋東詰 新潟市北区松浜
Camera Canon EOS M3
Lens EF-M18-55mm f/3.5-5.6 IS STM