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SS【ラビリンス】375文字


ぼくの彼女はミユキという。

ふだんはミユキと呼んでいるけど、心の中ではラビリンス(迷宮)と呼んでいる。


ミユキの話は何が言いたいのか分からないことが多い。

分かりやすく、結論、理由、具体例、まとめと、型にはめて伝えて欲しいとは思わない。

どんな伝え方だろうとぼくは理解する努力をする。


ミユキは自分の中で結論が出ていないのに喋ろうとするから話が迷宮入りするのだ。

ミユキの話は出口の見えない迷宮のようだ。


だからぼくは心の中でミユキをラビリンスと呼ぶ。


ミユキがもし、すぐに伝わる話し方をすれば、ぼくはミユキに魅力を感じなくなるかもしれない。

なぜならぼくは、ミユキと話をしている時の謎解きや、一緒に出口(結論)を探す過程がたまらなく好きなのだ。

探検家にも色々いると思うけど、ぼくはミユキの創り出す迷宮に魅せられた男なのだ。

今日も食糧と飲み物を用意し、二人で迷宮を探索する。


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