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「ねえお父さん。子どもの頃、家にサンタさん来たことある?」 「ああ。サンタさんなのかはよ…
ぼくには少し変わった使命があるらしい。 過去に自分で決めたのか、誰かに頼まれたのか、ぼく…
沈みかけの太陽と別れを告げるように部屋の窓を閉めた私は、ある古い約束を思い出した。 十年…
遠ざかっていった砂嵐がまるで意思をもったように進路を変え、ピラミッドの方へ戻ってくる。 …
見渡す限りの砂漠。 ときおり吹く砂の混じった乾いた風が、頬に当たってうっとうしい。 ゲー…
色々な職場を転々としている私は、どこへ行っても新人だった。 でも私には名前がある。 新人…
私のお父さんはトマトジュースが大好きです。 大きめのペットボトルでも、あっという間に飲み干してしまいます。 ある時、私はそんなお父さんに言いました。 「まるで吸血鬼みたいね」 するといつも何を言っても反応の鈍いお父さんの顔色が変わりました。 明らかに動揺しています。 「知っていたのか?」 「え? 何を?」 私はすぐにピンときました。 今まで隠していたけど、実は吸血鬼だったなんていうくだらないことを言おうとしているに違いありません。 私はボランティア精神でそ
彼女は本当に寂しがり屋だ。 ぼくがトイレに入っていると、自分がしたいわけでもないのにノッ…
嵐の夜、外から助けを求める声が聞こえてきたので、ぼくは少しだけ窓を開いた。 ビュウーー!…
繁華街のスナックで他の客に悪態をつく中年の男がいた。 「おい!! 俺は帰るぞ。タクシーを…
私のお父さんは見かけからは想像もできないほどの力を秘めています。 普段は猫をかぶっている…
私はいつも帰宅すると、まっ先に家の中の間違い探しをします。 なぜなら夫は使ったものを元の…
ぼくは猫のように狭い所が大好きだ。 猫のように身体が柔軟だし、猫のように自由気ままだ。 …
十年前ほど前、ぼくはよく海へ散歩に出かけた。 海岸沿いの松林の中には数キロはある散歩コースが整備され、綺麗な砂浜や遠くの船を眺めながら歩いていた。 散歩にはもう一つ目的というか楽しみがあった。 雨が降っていなければいつも決まって砂浜にいる、髪もヒゲも真っ白な麦わら帽子をかぶったお爺さん。 そのお爺さんの創る作品を鑑賞するのだ。 砂と海水、数種類のコテを使って創る巨大な砂の彫刻は圧巻だ。 お爺さんは人間の姿を創る。 翌日、下手をするとその日のうちに崩れ去ってしまう