SS【もう誰も死ぬなよ】1003字
ゲームの世界ではプレイヤー自身が何らかの制限(縛り)を作り、難易度を意図的に上げる縛りプレイというものがある。
何度もクリアしたゲームでも縛りを設けることで新鮮味とやりごたえが生まれるのだ。
ぼくはそれを現実世界でやっている。
仕事が冬の長期休暇に入ったぼくは、友人からの誘いも断り朝から徒歩で山へ向かった。
駅のトイレでペットボトルに汲んだ水をリサイクルショップで買った年季の入った草色のショルダーポーチに入れた。
お尻に穴の空いた紺色のジーパンのポケットには家の鍵。