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〜 豊寿 Vol.2〜





物語のあるリボン作家『いろいと』です
私の作るリボンには1つずつ物語があります
手に取って下さった方が、楽しく笑顔で続きの物語を作っていけるよう心を込めて作っています
ストーリーは、一つではなくどんどん増えていくもの、これからのストーリーを作るのは、あなた
あなただけのストーリーを楽しんで行って下さい♡
こちらでは、リボンの物語を紹介しています楽しんでもらえたら嬉しいです♪


〜 豊寿 〜

布団の中で、まったり夢心地の時が一番気持ちがいい
ふんわり温かくて、丁度よいまどろみ
遠くで微かに聞こえる君の声
全部が合わさって至福の時である
だんだんとはっきりしてくる声に、私は目を覚ます
『そろそろ起きんか?』
『えぇ、もうちょっと寝たい』
『ったく、休日だからって寝すぎ』
『何言ってんの?休日だからのんびりなんじゃん』
ほっぺたを、ギュッと引っ張られながらも、私はもう一度眠りにつこうとする
『せっかく今日は、お前と遊ぼうと思ってたのに』
『ん?それ、いつも私が言うセリフじゃん』
『はは、だからだろ?久々、どっか行こうよ?』
『えー、今日はのんびり家出過ごしたいの』
気まぐれな君は、今日は私と遊びたいらしい
だが、今日の私はゆっくりすると決めているので、意地でも布団から出ない
カーンとゴングの鐘が鳴るかのように、遊びたい君と布団から出たくない私の攻防戦が始まった
·
布団に包まる私は、まどろみの中ほかほかと気持ちよくくつろぐ
起き上がった君は、少し離れて携帯を片手に遊びに行きたい候補地を探す君
『ここは、こないだ行ったよな。このカフェは予約がいりそうだし。うーん』
『ほら、今日は家にいなさいってことだよ。一緒にゴロゴロしようよ』
時間は、まだ10時にもなっていない
今から仕度をして出る頃にはランチの時間
となると、土日のランチに来た人で混み合っているはず
これは、どうにか回避したいところだ
『ねぇ?お布団温かいから、ちょっとおいでよ?布団一緒にはいろ?』
少し上目遣いで可愛く言う作戦だ
『いいよ、起きとく』
『えー、じゃあ、ちょっと離れてたら寒くなるから、少しだけこっち来て?』
『あ?ったく』
イヤイヤ言いながらも、君は私の枕元の方に腰を降ろし、布団に足を少し突っ込む
何だかんだと隣へと来てくれる君は可愛い
よし。もう少し。私は、もう少しモーションをかけていく
『何かいいとこ見つかった?』
『ん?行きたくなってきた?』
『そういうわけじゃないけど、見せて?』
そう言いながら、私は彼のふとともに顔を乗せる
膝枕のような常態で下から覗く
『みえなーい』
『もう、お前めんどくせーな。ほら』
私が見えるように下へ携帯を降ろしてくれる
『ふーむ。美味しそうなケーキ』
『だろ?行くか?』
まだまだ私の色気が足りないようだ
·
まったりしながらも、諦めない君は次の手に出る
『あ!そういや、美味しいパン屋が出来たんだけどさ』
『パン?!』
パンも好きな私はピクッと体が動く
『車で15分くらいなんだけど、めっちゃ美味しそうでさ、食べたいな』
『そうね、美味しいパン食べたい』
『な?着替える?』
ハッとして私は、上半身が起き上がっていることに気が付き、急いでミノムシのようにまた布団に包まる
『あと少しだと思ったのに』
『やだ!行かないもん、私の好きそうなの買ってきてくれてもいいよ?』
『俺は、お前と行きたいの』
キュンを胸を締め付けてくれるような言葉に私は、心を動かされる
でも。今日は行かない日。ミノムシに徹した私は、次の行動に出る
『今日はゴロゴロしたいし、もっと君と一緒にギュってしてたいのになぁ』
そう言いながら、抱きついてみせる
そのままギュッと抱き締めてくれる君は、私を穏やかに幸せにさせていってくれる
『ほんと、お前は仕方ないやつだな』
頭を撫でながら、もう一度ギュッと抱き締める
少し体を離し、お互いの顔を見合わせる
くすっと笑い合って口づけ、どうやら私の負けのようだ
君が私の頬を、包み込むように手を添える
『パンだけ一緒に買いに行こ?』
どうしても連れ出したい君の潤んだ顔に私はキュンとする
『ふぇーい』
『何だよその返事』
『パン買いに行く返事!』
『っほんと気まぐれな彼女は困るわ』
まどろみの休日に、可愛い君
ミノムシの日は、また次の機会にするか。
そう思いながらも、楽しくなる気持ちを隠しきれない私であった
·

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