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〜 星のかけら vol.2 〜



物語のあるリボン作家『いろいと』です
私の作るリボンには1つずつ物語があります
手に取って下さった方が、楽しく笑顔で続きの物語を作っていけるよう心を込めて作っています
ストーリーは、一つではなくどんどん増えていくもの、これからのストーリーを作るのは、あなた
あなただけのストーリーを楽しんで行って下さい♡
こちらでは、リボンの物語を紹介しています楽しんでもらえたら嬉しいです♪


〜 星のかけら 〜

もうすぐ黄昏時
昼と夜の間の時間が来る
昔は、この時間に妖怪が動き出すから外へ出ると攫われてしまうよと言われていたそうだ
だから夕方になると家に帰るらしい
『妖怪がいるなら連れてって欲しいよ』
ぼそっと人が聞き取れるかどうか分からないくらいの声で弱音を吐き、座っていたベンチからジャンプするように私は立ち上がった
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何をするにしても『実感』がない
友達がいないわけではないが、必要とされているのかな?とふと思ってしまった私は、殻に閉じこもってしまった
『必要』とされるされないの話ではないことくらい気付いている
それでも、この不安定な感情は止められなかった
ゆっくり公園の並木道を歩く
駅へと向かう砂利道は、小さな石ころがとても大きく感じるくらい道のりが遠かった
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『よぉ、何してんのこんなとこで?』
ちょうど私の目の前くらいに、のっそり立ちはだかろうとする大きな人物が現れた
少し薄暗くなってきているが、はっきりと顔が見てとれた
『びっくりした。いつからいたの?気が付かなかったよ』
『たまに駅からの帰り道に、ここを通って帰るんだけど今日は、こっちから帰ろうと思ってさ!そしたら、のそのそ歩く見たことあるようなやつを見つけて』
『そうなんだ!家この辺りだっけ?意外と近いんだ、私の家と』
『そうみたいだなっ!』
偶然とはいえ、大学の友達とこんなところで会うとは思いもしなかった
日は暮れていたが、しばらくこのまま二人で話すことにした
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普段そんなに深い話をすることがなくても、偶然会うというのはどこか縁を感じてしまう
人生に偶然はないと誰かが言っていた事を思い出す
『そっか、人生ってまだ俺らは始まったばっかなとこもあるし、今からじゃね?きっと就活もあるし不安なんだよ』
『んー、そんなもんかな』
『大丈夫って言葉は言えないけど、俺はいつも笑って楽しくしてるお前は好きだよ?それだけで元気もらってる人もいること知ってて欲しいな』
『何を唐突にサラっと!?彼女に誤解されるような事言わないでよ?あはは』
『そういうこと♪気にせずに好きでいられて元気もらえる存在ってことだ!』
突然心が暖かくなるような事を言ってもらえてどこかホッとした自分に気が付いた
『必要か必要じゃないか、それはお前も分かってるだろ?素直に笑える自分がいるって事が大事だと思うよ』
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辺りはすっかり暗くなり、妖怪ももういないだろう
夏の夜といっても少し夜は冷えてくる
こんがらがった毛糸玉が少しほつれた気がして私は友達に別れを告げた
ゆっくり歩き出すと、夜の散歩に来ているプードルの頭に付いている『星のかけら』がキラリと光り、私に笑顔をくれた
私は振り返りのんびり歩いて帰っている友達に向って叫んでみた
『また明日ね!』
友達はくるりと振り返り手を振ってくれた
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読んで下さり、ありがとうございますm(_ _)m


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