スピッツ『見っけ』全曲個人的感想
スピッツの曲はどれでも十分語るに値する魅力が凄く詰まっているので流動的ですが、今は「花と虫」が特に好きです。
唐突ですが、アルバム『見っけ』が発売されてすぐ某所に投稿した感想をサルベージしようと思います。理由は上記の通りです。
※パッションで書き過ぎておかしくなってた部分は加筆修正しました。
一曲ずつ取り出して自由に書いているので長いです。『見っけ』への愛が止めどなくなった時か、やけに暇ができてしまった時とかに読んでください。
1. 見っけ
一曲目からこれで始まる!! って雰囲気でテンション上がる。みっけ、って語感から勝手にほのぼの優しい曲を想像してましたが、推進力のあるパワフルな曲で予想外でした。でもそれが良い。「流星の ピュンピュンで 駆け抜けろ」の所が一番好き。ピュンピュンって可愛すぎるしすごくスピッツ。あと草野さん相変わらず高音が美し過ぎます。耳に良い……。何かを始める時はこの曲を聴いて気合いを入れたいです。
2. 優しいあの子
もう私が書くまでもないくらいすてきです。本当に聴いてるだけで北海道帯広の空気を感じられる……特に「怖がりで~」からが良過ぎる。SONGSで『なつぞら』のキャストの皆さんが的を射たコメントをしてらして、それからすごく曲を大切に考えていることが伝わってきて印象的でした。聴く人それぞれによって“優しいあの子”はいるだろうし、逆に誰しもがそうであると感じさせてくれるこの曲が好き。
3. ありがとさん
ワンフレーズ目から心に響いて泣きそう。私もこういう言葉で誇れるような日々を誰かと送れたらいいな……という気持ちになります。「ホロリ涙には含まれていないもの」って切ないですね。その流れで「ありがとさん」とか言われたらもうなんか胸が一杯になる。リーダーのベースが他の曲より特に重い感じで響いてるのも好きです。
あとMVが完璧過ぎます。4人とも衣装素敵だし撮影場所も三日月ロックのジャケ写っぽくてエモい。
どうしようまだ三曲目なのに素晴らし過ぎて語彙力がなくなってしまった。
4. ラジオデイズ
タイトル通りずっとラジオ聴いて育ってきた人にドンピシャな曲……。私は芸人さんのラジオ聴くことが多いのですが、「したたかに胸熱く 空気揺らしてくれる」「危なそうなワクワクも 放り投げてくれる」の部分に共感しまくりました。中盤の語るように歌う部分がいつもの歌い方と少し違ってドキドキします。新鮮というか。草野さんってどれだけ引き出しあるんだろう凄すぎる。
5. 花と虫
曲調が爽やか100%でずっと聴いてられます。自転車漕ぎながら頭の中で流していたい……。でも歌詞は底抜けに明るいわけじゃなくて、心のどこかに後ろ暗いことがあったり怯える気持ちがあったりするような。こういうアンバランスな感じが最高です。
あと個人的にこの曲が一番 “世間一般の人が想像するスピッツ” 像に近いような気もします。ファンの深い浅いを言いたい訳では断じてないんですが、より沢山の人が「あ、この曲は心に馴染むな」って感じそうかなっていう……。濃いロックから軽やかなポップまで幅広いのがスピッツの魅力だと思います。
6. ブービー
しっとり流れていく感じもマイナー調なのも物憂げで素晴らしい……。特に「レモン風味 軽い罪 空に放つ 」の歌詞が好きです。サビがさりげなく韻を踏んでるのも心地良くて好き。「薄着の心」って、初めて聞く言葉なのにすごく理解できるような不思議な感じ。間奏のピアノに歌謡曲チックな空気感があるの素敵ですね。最後の“ほのほ”で嬉しくなるファンの性。
7. 快速
サイケ系の宇宙感あるイントロほんとカッコいいです。すごく速そう(語彙)。90年代ぽいというか、どこか懐かしい空気もあってそれも好きです。Aメロの「瞬き」「消えていく」のメロディラインがめちゃめちゃ気持ちいい。ここでもう心掴まれました。
「ギュギュッとした想像」とか「ナゾのポジティビティ」とか、ちょっと可愛さのある部分もあるのが印象的です。学校会社帰りの電車、夕暮れ時、だんだん灯りがついていく街、って感じで情景が浮かんでくるのが素敵。
8. YM71D
はじめのコードから本当最高にシャレている……カッコ良すぎ。分かりにくい喩えをしますが、この曲が人間だったら私は確実に一目惚れしています。そんな感じでした。スピッツのアルバムを聴くと必ず一曲はこう感じる曲があります。
シティポップ調で、禁断の愛を歌っているようで、でも歌詞は少しファンタジー的な感覚を覚えるというか、全方位に好き要素がある曲。あと「少しサディスティックな」のところ音ハメがすごく好きです。
とにかくカッコいいとしか言いようがない。
9. はぐれ狼
尖ったタイトルだけど、スピッツの曲となるとまろやかさが加わって物悲しげにも聴こえる不思議。「美しい悪魔を待つ」「擬態は終わり 錆び付いた槍を磨いて」とか素晴らしすぎて言葉そのものが宝石みたいです。歌詞の“完成されている”感じが凄い。この曲で歌われている人物像がとても健気で、信じて待ち続けることの尊さを感じられるような気持ちになります。
重ねてですが「擬態は終わり」って歌詞本当に良いな……無理に群れなくてもやって行ける、希望は見つけられる、っていう前向きな考え方になれます。
10. まがった僕のしっぽ
タイトルから一番気になっていた曲でした。スピッツのカラーを率直に表しているようで大好きです。初期の不可思議さもあるようなあまのじゃく感。
曲は物語調で今までとはまた違う雰囲気を感じました。草野さんが描く絵でもこの世界を見てみたいなあと思います。からの、大人しく聴いてたら唐突に始まる超展開(激ロック)でやられました。もうこれは、こういう事されたら好きになるに決まってるじゃん(?)
「優秀で清潔な地図に 禁じ手の絵を描ききって 楽しげに果てたい」、こんな風に人生を終えられたらきっと幸せだよ……これが“僕”の本音だとして、聴いててとてもスカッとします。
11. 初夏の日
このアルバムに収録されるまでは京都のライブでしか聴けなかったっていうエモーショナルさ。本当に聴けて嬉しいです……。
夏の日じゃなくて“初夏”なのが好きなところ。サビで夢であることを強調するのが儚くて切ないです。希望が見えそうなのにその後やっぱり夢なんだ……ってなるのが報われないから泣きそうです。「時が流れるのは しょうがないな」もグッとくる。でもちゃんと自分の力で進んでいく意志も見えて、そういうところが好きだなあ、と思います。
12. ヤマブキ
去年(2018)のゴースカで聴けた方羨ましいです。ライブ死ぬほど盛り上がりそうだし絶対聴きたい。
イントロ短めでスパーン!とAメロに入るのがめっちゃ潔くてシビれました。この曲の草野さんがアルバム中で一番カッコいい。特に「滑らかに永遠を」の歌い方がぞくぞくするくらい素敵です。歌唱力がほんとうに高過ぎる(改めて当たり前のことを言っています)。
“へへへと笑って”みるのすごい可愛くないですか?? かと思ったら尖った物言いもあるし、一曲でギャップがすさまじい。なんならワンフレーズ目から自分のこと言われてるみたいでドキッとしました。あと「恋はヤマブキ」って語感が良過ぎなのでもう書き出して部屋に貼りたいくらいです。
修正したわりにまだ全然理性的ではない感想ですが、これはこれとしておきます。
とにかくスピッツは最高。
「良さ」を伝えるための語彙力はこれからの人生でちゃんと身につけていきたいです。おわり。